・中国 共産党・統一戦線工作部が「中国伝統文化を学び、体験する宗教指導者のためのイベント」開催、カトリック大司教など参加(Bitter Winter)

(2025.5.28 Bitter Winter   Lai Mingxia)

Chen Ruifeng, Deputy Minister of the Central United Front Work Department and Director of the State Administration of Religious Affairs, presided over the training in Hebei. From Weibo.(写真右・中央 統一戦線工作部副部長 兼 国家宗教事務管理局局長の陳瑞鳳氏=微博より)

 中国で宗教活動を統括する共産党・統一戦線工作部が主催の「中国伝統文化を学び、体験する宗教指導者のためのイベント」が5月11日から17日にかけ、河北省で開かれ、中国全国からカトリック、プロテスタント、仏教、イスラム教など”公認”宗教団体の代表100人が出席した。

  イベントの冒頭、党統一戦線工作部の副部長で国家宗教局長の陳瑞鳳氏が演説、続いて、中国仏教協会会長の顔冉氏、中国道教協会会長の李光復氏、中国イスラム協会会長の楊発明氏、中国天主愛国協会会長のジョセフ・リー・シャン北京大司教、中国基督教会三自愛国運動委員会委員長の徐暁紅氏らが登壇した。 参加者たちは、宗教の「中国化」と「厳格な統治」を学び、テーマ別の文章作成、特別講義への出席、現場での指導への参加、グループ討論などが行われた。

 「中国化」とは、中国共産党のイデオロギーに、宗教的信念と実践を”適応”させることにある。「厳格な統治」とは、統一戦線工作部が、五大公認宗教の指導者たちを信用せず、現地の宗教団体の活動に直接介入することを意味する隠語だ。

An image of the training event in Hebei. From Weibo.

 そして、「中国の伝統文化」とは、中国共産党の公式マルクス主義のフ

ィルターにかけた伝統であり、内戦や毛沢東時代の「赤い文化」、習近平国家主席の教えを含む。議論されたテーマを見ると、参加者が「中国の優れた伝統的な中国文化」に関わることで、「中国共産党の理論、指針、政策を真摯に学び、実践する 」努力が含まれていることが明白。

 ある参加者はBitterWinterの取材に対して、「この研修で何か新しいことを期待してはいけない。彼らは宗教を中国化し、党に従順に従うべきだということをずっと繰り返している」と述べた。

(写真左・河北省での”訓練イベント”の様子=微博より。)

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

*Bitter Winter(https://jp.bitterwinter.org )は、中国における信教の自由 と人権 について報道するオンライン・メディアとして2018年5月に創刊。イタリアのトリノを拠点とする新興宗教研究センター(CESNUR)が、毎日4か国語でニュースを発信中。世界各国の研究者、ジャーナリスト、人権活動家が連携し、中国における、あらゆる宗教に対する迫害に関するニュース、公的文書、証言を公表し、弱者の声を伝えている。中国全土の数百人の記者ネットワークにより生の声を届け, 中国の現状や、宗教の状況を毎日報告しており、多くの場合、他では目にしないような写真や動画も送信している。中国で迫害を受けている宗教的マイノリティや宗教団体から直接報告を受けることもある。編集長のマッシモ・イントロヴィーニャ(Massimo Introvigne)は教皇庁立グレゴリアン大学で学んだ宗教研究で著名な学者。ー「カトリック・あい」はBitterWinterの承認を受けて記事を転載します。
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2025年5月29日