・中国版チャットGPTに当局が規制-反国家、反共産党の内容は禁止(BW) 

Baidu’s press conference unveiling ERNIE Bot, its version of ChatGPT. From Twitter.

 人工知能チャットボット「チャットGPT」が世界的に流行し始め、規制の是非をめぐって大きな議論を呼んでいるが、中国当局が11日、Alibabaや Baiduが始めようとしている中国版チャットGPTに関する規制案を公開した。中国共産党が承認しないテキストを利用者が取得するのを防止する狙いだ。規制案を公開し、国民の意見を聞く体裁をとっているが、案に対する批判は受け入れられず、ほぼ案通り実施される。

 チャットGPTでは、人工知能が中国政府・共産党に批判的なテキストを作り出す”危険”があると判断した中国政府・共産党の対応は素早く手を打ち、その指示を受けた国家サイバースペース管理局が「生成型人工知能 (AI) サービス管理措置」をまとめた。

 それによると、中国のユーザーに対して、「人工知能プラットフォームは、社会主義の核心的価値を反映すべきであり、国家権力の転覆、社会主義制度の打倒、国家分裂などを扇動し、国民の一致を損なうものであってはならない」という条件を満たすコンテンツの配信のみを認める」とし、具体的に禁止されるのは、「テロ、過激主義、民族的憎悪、民族差別、暴力、わいせつ、ポルノ、虚偽の情報を助長し、経済秩序と社会秩序を混乱させる内容」で、中国共産党 に対する批判や反対意見は禁止される。

 Alibaba は 「Tongyi Qianwen」 と呼ばれる中国版チャットGPT の提供を始めた。提供企業は「人間」が経営しているが、人工知能は「人間」ではない。だが、中国では、コンテンツの作成に「人間」が関与しない場合も、「生成されたコンテンツに対する作成者の責任」の原則が適用される。

 このことは、提供企業はアルゴリズム(解が定まっている「計算可能」問題に対して、その解を正しく求める手続き)を規制当局と共有し、常にチェックを受け、使用するソースとその使用方法を開示する必要があることを意味する。また、 サービスの利用者の名前を当局に開示するよう求められる場合があり、「社会主義の核心的価値観や中国政府・共産党の利益に沿わない質問をしたり、テキスト メッセージを要求したりする顧客の利用を禁止する必要がある。

In turn, Alibaba lunched its ChatGPT-style chatbot called Tongyi Qianwen. From Twitter.

 このような当局による中国版チャット規制は、インターネットと関連する技術を支配しようとする、習近平・主席が主導する中国共産党の闘争の新たな章のようだ。 中国政府・共産党にとっての問題は、特定のテクノロジーが本質的に制御不能であり、犯罪の可能性があるという警告にもかかわらず何百万人もの中国の若者が VPN (インターネット回線を利用して作る 仮想の専用ネットワーク)を使って当局の監視を逃れようとしていることでだ。中国共産党の”イデオロギー警察”の対応が、最終的には機能しない可能性もある。

 少なくともそうなるまでの間、Alibabaや Baiduの中国版チャットGPT を利用して学生たちが欠こうとする学期末のレポートは、中国共産党と習近平を賛美するものになるだろう。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

*Bitter Winter(https://jp.bitterwinter.org )は、中国における信教の自由 と人権 について報道するオンライン・メディアとして2018年5月に創刊。イタリアのトリノを拠点とする新興宗教研究センター(CESNUR)が、毎日4か国語でニュースを発信中。世界各国の研究者、ジャーナリスト、人権活動家が連携し、中国における、あらゆる宗教に対する迫害に関するニュース、公的文書、証言を公表し、弱者の声を伝えている。中国全土の数百人の記者ネットワークにより生の声を届け, 中国の現状や、宗教の状況を毎日報告しており、多くの場合、他では目にしないような写真や動画も送信している。中国で迫害を受けている宗教的マイノリティや宗教団体から直接報告を受けることもある。編集長のマッシモ・イントロヴィーニャ(Massimo Introvigne)は教皇庁立グレゴリアン大学で学んだ宗教研究で著名な学者。ー「カトリック・あい」はBitterWinterの承認を受けて記事を転載します。

 

 

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2023年4月21日