・中国共産党がプロパガンダでモンゴル人のアイデンティティを消そうとしている―南モンゴル出身のジャーナリストのサイトが明らかに(Bitter Winter)

(2026.4.8 Bitter Winter 

 南モンゴル出身のジャーナリスト、ソヨンボ・ボルジン氏の『PropagandaScope』=https://propagandascope.org/は、中国共産党による抹消の仕組みを捉えるための、効果的かつ新たな視点を提供している。

 時折、中国共産党のプロパガンダ体制に対する我々の理解を一新させるプロジェクトが登場する。南モンゴル(中国では「内モンゴル」と呼ばれる)出身で、現在はニューヨーク市在住のジャーナリスト、ボルジン氏によって創設された『PropagandaScope』は、昨年『Bitter Winter』が報じた彼の経歴からもわかるように、ユニークなツールとして際立っている。

 『PropagandaScope』のコンセプトはシンプルだが、その実行力は極めて高い。20の省党機関紙から収集した40万件以上の記事を収録したデータベースを備え、毎日更新され、キーワード検索が可能で、「政治用語が北京から各省へとどのように拡散していくか」を追跡できる。

 これはプロパガンダを観察する顕微鏡のような役割を果たし、これまで断片的にしか見えなかったパターンを明らかにする。さらに深いレベルでは、中国共産党が何に名前を付け、何を消し去ろうとするかの記録としての役割も果たしている。

 ボルジン氏によるこのプロジェクトの紹介は、彼自身の体験に基づいている。2020年、彼は政治再教育クラスへの参加を強制され、そこでモンゴル語は「後進的」な言語であり、科学や現代生活には不向きだと告げられた。彼は、モンゴル人のアイデンティティが単に否定されているだけでなく、その正当性そのものが否定されていることを理解した。5年後、PropagandaScopeは、かつては直感でしか捉えられなかったものを定量化する能力を彼に与えてくれた。彼がデータベースで「モンゴル人」を検索したところ、40万件以上の記事の中で言及はたった1件しか見つからなかった。それも会議のタイトルの中でのことだった。この用語は体系的に削除されていたのだ。

 それに取って代わったのは、無害化された地理的ラベル「北方辺境文化」だった。中国共産党の用語法において、モンゴル人はもはや民族ではなく、単なる場所となったのである。

(ソヨンボ・ボルジン。Xより)A Southern Mongolian journalist spent years studying Chinese propaganda online—and uncovered how it targeted Mongolian identity. AI-generated.

 PropagandaScopeはまた、党のイデオロギーキャンペーンが、国家政策となるはるか以前から少数民族地域に浸透している実態も示している。「中華民族の強い共同体意識を醸成する」というフレーズは、現在では中国の民族政策の礎となっているが、新疆の公式新聞では『人民日報』の17倍の頻度で登場していた。

 チベットと寧夏もそれに続いていた。全国人民代表大会がこのフレーズを正式に法律として採択した時点で、プロパガンダの土台はすでに築かれていた。法律はキャンペーンを開始したのではなく、既存のキャンペーンを承認したに過ぎない。

 このプロジェクトの技術的開発過程は、それ自体が物語っている。ボルジンがアリババクラウドの境界データを用いて中国地図を作成した際、九段線と台湾をとして表示しない限り、地図はレンダリングされなかった。データソースのロジックにおいて、これらの主張を含まない中国は存在しなかった。

 プロパガンダを分析するために設計されたツールでさえ、デフォルトではプロパガンダの上に構築されていたのである。中立的なパブリックドメインのソースデータに置き換えて初めて、正確な地図を描くことができた。この些細な詳細は、中国共産党の情報構造の深さを浮き彫りにしている。党の世界観は単に主張されているだけでなく、組み込まれているのだ。

 PropagandaScope は現在公開中=https://propagandascope.org/=であり、その可能性は計り知れない。研究者は政治スローガンの拡散を追跡し、イデオロギー的焦点の変化を監視し、アイデンティティのカテゴリー全体が消滅していく過程を記録できる。

 活動家は、文化的抹殺の仕組みを暴くためにこれを利用できる。ジャーナリストは、これを見れば、そうでなければ見過ごされてしまうようなパターンを検証できる。そして一般の読者は、中国共産党がどのように合意形成を行っているかを直接目にすることができる。

 このプロジェクトは、中国における真実を求める闘いが、証言だけでなくデータに、勇気だけでなくコードに、ますます依存していることを改めて示している。また、弾圧を生き抜き、沈黙ではなく記録によって応答することを選んだ人々の不屈の精神の証しでもある。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

*Bitter Winter(https://jp.bitterwinter.org )は、中国における信教の自由 と人権 について報道するオンライン・メディアとして2018年5月に創刊。イタリアのトリノを拠点とする新興宗教研究センター(CESNUR)が、毎日4か国語でニュースを発信中。世界各国の研究者、ジャーナリスト、人権活動家が連携し、中国における、あらゆる宗教に対する迫害に関するニュース、公的文書、証言を公表し、弱者の声を伝えている。中国全土の数百人の記者ネットワークにより生の声を届け, 中国の現状や、宗教の状況を毎日報告しており、多くの場合、他では目にしないような写真や動画も送信している。中国で迫害を受けている宗教的マイノリティや宗教団体から直接報告を受けることもある。「カトリック・あい」はBitterWinterの承認を受けて記事を転載している。

 

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2026年4月10日