・中国の”地下教会”支援の弁護士が、当局の弾圧で台湾に脱出(Crux)

(2026.9.3  Crux  カニス・ レオン=AP)

    北京の著名な地下教会を弁護していた中国人弁護士が、所属事務所や同僚に対する中国当局の圧力の高まりを受け、台湾に脱出し、移住のための支援を求めている。この弁護士は、VDoor法律事務所のパートナーであるルース・ワン氏で、2025年10月から北京のシオン教会の牧師らを代理する弁護団の一員だった。

 ワン氏は3日、AP通信とのオンラインでの独占インタビューに応じ、「中国当局から直接的な圧力を受けている。法律事務所を解散するか、閉鎖されるかのどちらかだ」と通告された、という。

 昨年10月、中国のシオン教会の創設者であるエズラ・ジン牧師を含む18人の信者が逮捕された。これは、中国における数十年来最大規模の教会弾圧の一つだった。ジン牧師は、ドナルド・トランプ米大統領が5月の会談で習近平中国国家主席に彼の件を提起した後、2か月前に釈放された。

 ワン氏は「もし私がVDoor法律事務所のパートナーとして解散に同意せず、同意書に署名しなかったら、どうなるのでしょうか?間違いなく、私のキャリアや人生の他の側面に深刻な影響を与えるでしょう」と語った。彼女の苦境は、ジン牧師の釈放後も、中国が教会とその関係者に対する圧力を続けていることを浮き彫りにしている。

 2007年にジン牧師によって北京に開設されたシオン教会は、中国当局に登録されていない、いわゆる”地下教会”または”家庭教会”の中でも最大規模の一つだ。彼らは、信者が登録された教会でのみ礼拝を行うことを義務付ける中国政府の規制に反抗している。

 米国留学中の中国シオン教会の牧師、ショーン・ロング師は昨年AP通信に対し、同教会の信者数は5000人を超え、中国国内約40都市のアパート、レストラン、さらにはカラオケバーなど100か所以上の礼拝所がある、と語った。

 中国当局の締め付けが強まる中、当局が反体制派とみなした人々を支援する弁護士たちもまた、圧力に直面している。

 VDoor法律事務所は一連の困難に直面している。同社の創業者でありワン氏の指導者でもある張凱氏の弁護士資格は剥奪され、出国も禁止された。他の弁護士も6か月間の業務停止処分を受けた。

 ワン氏によると、司法当局は、同事務所の弁護士に対し、シオン教会に関連する訴訟の弁護を中止し、事務所を辞任するよう求め、同事務所の弁護士で他の事務所に移籍しようとした者も制限を受けた、という。

 ワン氏は先月、家族と日本で夏休みを過ごしたが、中国当局から滞在先に電話があり、直接会いに来るよう求められた。彼女は「今、北京にいないので、行けない」と伝え、その後、帰国しないことを決めた。

 米国に拠点を置く非営利人権団体ChinaAidの創設者であるボブ・フー氏は、「ワン氏の事件は、迫害されているキリスト教徒やその他の良心の囚人を弁護しようとする弁護士が直面する途方もないプレッシャー受けていることをを示している」と述べた。

 「ワン弁護士は弁護士としての最も基本的な責任を果たそうとしたが、依頼人の中には北京シオン教会の関係者で拘束されている人物が含まれているため、彼女自身が次の標的になるのではないかと恐れるようになった。」

 フー氏は、台湾政府に対し、王氏の家族を保護し、中国本土への強制送還が行われないよう保証するよう強く求めるとともに、米国をはじめとする民主主義国家に対し、台湾が解決策を見出すための支援を行うよう呼びかけた。

 中国公安局はコメントを出さず、この件について問い合わせを受けた北京市司法局(法律免許を管轄する機関)は「当方には、国際メディアへの対応権限がない」と述べた。

 また、台湾における事実上の米国大使館である米国在台湾協会も、コメントの要請にすぐには応じなかった。

 ワン氏は、王さんは家族とともに台湾の空港に到着すると、現地当局に助けを求め、他国と連絡を取る間、滞在許可を求めた。台湾当局は、一時的な滞在を許可したが、中国政府と台湾の与党である民主進歩党の緊張関係のため、政治亡命申請を受け入れることはできない、と告げた。

 中国が自国領土の一部とみなす台湾には、正式な難民政策はない。北京と台湾の関係が緊迫するにつれ、台湾は中国がもたらす安全保障上のリスクに対して警戒を強めている。北京による香港への支配強化を理由に、香港からの移住を希望する一部の人々への永住権付与を拒否したり、台湾で結婚・移住した中国出身者に対する監視を強化したりしている。

 台湾の行政院大陸委員会は電子メールでの回答で、「台湾には政治亡命を扱う法律はないものの、そのようなケースに対応するための仕組みがあり、それに応じて対処する」と答えた。

 ワン氏は、「家族が移住する方法として、米国やカナダへの留学などの選択肢を検討している。それが不可能な場合は、海外で亡命申請を行うことを考える」という。

 そして、「私たちの家族は現在、不確かな未来に直面している。将来何が起こるのか、あるいは私たちを受け入れてくれる場所があるのか​​どうかも分かりません」と述べ、「ルツが新しい土地に移り住んだ後、将来への不安に直面していた時、神が裕福な親戚であるボアズを遣わして彼女を助けた」という旧約聖書の箇所を取り上げ、「神様はきっと私にも、そのような人を与えてくださると信じています」と語った。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2026年9月4日