(2024.10.18 Crux Senior Correspondent Elise Ann Allen)
ローマ – 今月の「中国本土から二人の司教が出席しているが、慈善事業や社会事業における協力の重要性と、「あらゆる文化を尊重」することの重要性を強調する発言をしている。
Vatican News によるとシノダリティ(共働性)」に関する世界代表司教会議(シノドス)総会に、二人のうち、ヨゼフ楊永強(ヤン・ヨンチアン)司教は数日前の発言で「中国の教会は世界の他の国のカトリック教会と同じだ」とし、「私たちは、同じ信仰に属し、同じ洗礼を受けており、皆、唯一の、聖なる、カトリックの、使徒的な教会に忠実だ」と語った、という。
ヤン司教は、中国浙江省の省都、杭州の教区長で、福建省下浦(福寧)教区長のビンセント詹思露(ヤン・シル)司教と共にシノドス総会第2会期の会合に出席している。2018年の若者がテーマのシノドス総会と昨年10月のシノドス総会第1会期の会合に続き、中国本土の司教のシノドス総会への参加は3度目。昨年10月に司教2人が参加した際は、「教区の司牧上の必要」を理由(中国政府が発給した査証の有効期間がもともと会合の中途で切れることになっていたため、との見方もある)に中途で帰国した。今回は、会合がすでに半分を過ぎているため、終了まで滞在する可能性が高い。
二人の総会参加は、2018年に中国での司教任命に関するバチカンと中国の暫定合意を受けた両者の”和解”の一環と見られ、三度目の更新時期を迎える今月中に更新される見通しだ。暫定合意以前は、中国本土の司教は、第二バチカン公会議やそれに続くシノドスなどのローマの行事に参加できなかった。
楊司教は、今総会での発言で、中国の教会は「『すべての人々にとってすべてのものになる』という福音主義の精神に従っている… 私たちは社会に効果的に適応し、社会に奉仕し、カトリックの中国化の方向性に従い、福音を説いています」と説明。中国のカトリック教会は「平等、友情、相互尊重の原則に基づき、世界中のカトリック教会共同体と活発な交流を始めている」と述べた。
交流について司教は、「福音伝道、司牧、社会奉仕、神学研究などの問題でさまざまな形で行われており、平和の促進にも取り組んでいる」とし、さらに、「私たちは、平和のための宗教の国際会議や祈りの活動に積極的に参加している。世界平和と人類が共通の運命を享受できる共同体の促進のために、『光と塩』のような存在となるよう努めています」と言明。
「中国の教会もさまざまなプロジェクトを通じて発展を促進しており、中国の教会への訪問を希望する全ての国のカトリック教会共同体と宗教団体を歓迎する」と語った。
また、ヤン司教は、中国におけるキリスト教の歴史と、文化的誤解のために宣教師が福音伝道の取り組みで出会った困難に焦点を当てた。特に、イエズス会の宣教師マテオ・リッチ神父と「キリスト教の福音をさまざまな人間の慣習に適応させる」という「実験」を取り上げ、「文化の違いとキリスト教の信仰の真正性を保つ必要性の識別は、中国の宣教師にとって混乱の原因となった」とし、これが最終的に彼の教区である閔東(ミンドン)で起きた儀式論争につながった、と指摘した。
1582年から1742年頃まで続いた儀式論争は、17世紀と18世紀に儒教と中国の儀式の宗教性をめぐって外国人カトリック宣教師の間で行われた論争だった。この論争は主に、中国人改宗者が伝統的な儀式を守り、キリスト教の神を指すのに「天主」や「上帝」などの”非カトリック用語”を使用できるかどうかをめぐる、さまざまなカトリックの宣教団間の争いとなった。
「歴史的観点から見ると、この挫折の原因の1つは、教会が人類文化の相違と補完性を無視したことにある」とヤン司教は指摘。「福音宣教の使命に従事するシノダル(共働的)な教会であることは、人類の究極の目標である『神』を求める旅において、さまざまな物語、文化、伝統の声を尊重し、耳を傾けることを意味する」と主張した。
また、中国の教会が新たな視点で取り組まなければならない問題の中には、「混合婚(異なった人種、宗教または文化の2人の間の結婚)が家庭教育にもたらす課題にどう対処するか。現地の法律や規制にどう適応するか。あるいは一般信徒の間で一般的な信仰と伝統文化のいくつかの側面との間に存在する違和感をどう解決するか」などがある、と説明。と述べた。
教会が新たな時代と格闘する中で「聖霊の声は常に穏やかで聞き分けるのが難しいにもかかわらず、識別という新たな課題が与えられている」とし、「まさにこの理由から、歴史的経験と現在の経験の両方から謙虚に学ぶことは、福音伝道の重要な方法であり、つまり主が教会に示している新たな道を識別することです」と述べた。
*なお二人の司教は、中国政府・共産党の統制下にある中国天主愛国協会のメンバーで、楊司教は同協会の副会長を務めている。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)