・「中国共産党の基本原則に従い、社会主義の中核的価値観を擁護せよ」北京で全国宗教団体連合会議

(2025.3.28 Bitter Winter 

| 中国で政府・共産党管理下の宗教団体による重要な会議が開かれ、習近平・政権の最新文書を説教や学習会で強調することが呼びかけられた。

 中国の全国人民代表大会(全人代)と中国人民政治協商会議(政協)の合同会議が3月4日から11日まで北京で開催された。不安定な国際情勢を背景に、習近平・主席は、両会で中国の経済と軍事力の強化に重点を置いた。発表された法案のなかには、民族の団結強化、分離主義との闘い、および全地域における標準中国語の使用を定めるものもあった。

Bishop Shen Bin. Screenshot.

 会議終了から2日後の13日、北京で全国宗教団体連合会議が開かれ、カトリックの沈斌・上海司教(写真右)が議長を務めた。

 沈司教は2023年4月、バチカンに通知することなく、(中国政府・共産党によって)上海司教に任命された。これは、2018年になされ、今も更新されているバチカンと中国の司教任命に関する暫定合意に明らかに違反する者だったが、バチカンは、その3か月後の同年7月、いわゆる「正規外の任命」を認めた。

 沈司教は昨年10月のバチカンでの世界代表司教会議(シノドス)第18回総会にも招かれ、「中国のカトリック教徒は完全な信教の自由を享受している」とする演説をした。彼は中国カトリック司教会議の議長も務めているが、この組織は中国共産党の公認だが、バチカンは認めていない。

 全国宗教団体連合会会議では、国内の宗教を管理・統括する中国共産党の統一戦線工作部の副部長で国家宗教事務局の局長でもある陳瑞峰(写真左下)を始め、その管理下にある宗教団体の指導者たち、演覚(中国仏教協会)、李光富(中国道教協会)、楊馳明(中国イスラム協会)、李山(中国愛国カトリック協会:北京大司教)、徐暁紅(三自愛国教会)なども演説した。

Chen Ruifeng, Deputy Minister of the United Front Work Department and Director of the National Administration of Religious Affairs. From Weibo.

 中国共産党は、五つの公認宗教団体の布教・学習活動を調整するために、全国宗教団体合同会議を開いている。「厳格な統治」と呼ばれる政策の下、統一戦線工作部による統制がますます強まっており、会議は、参加宗教団体に対して、「両会(全国人民代表大会と全国人民政治協商会議)のテキストと精神」と習主席の演説をもとに、布教や学習を行うよう命じた。

 しかし、同会議が強調したかったのは、「すべての聖職者および宗教団体が、党の中央委員会の決定と取り決めに沿って、思想と言動を一致させること」だった—説教や研究グループは、「宗教活動に関する党の基本原則に従い、社会主義の中核的価値観を擁護し、中国文化を統合し、国内の宗教の中国化を促進し、宗教事務の厳格な管理を強化すべき」とし、政府・共産党が管理する宗教団体は、中国共産党の”教義”を説くべきであり、その中には「両会のテキストと精神」も含まれると告げられ、体制の代弁者としての役割を果たすよう求められた。

 

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

*Bitter Winter(https://jp.bitterwinter.org )は、中国における信教の自由 と人権 について報道するオンライン・メディアとして2018年5月に創刊。イタリアのトリノを拠点とする新興宗教研究センター(CESNUR)が、毎日4か国語でニュースを発信中。世界各国の研究者、ジャーナリスト、人権活動家が連携し、中国における、あらゆる宗教に対する迫害に関するニュース、公的文書、証言を公表し、弱者の声を伝えている。中国全土の数百人の記者ネットワークにより生の声を届け, 中国の現状や、宗教の状況を毎日報告しており、多くの場合、他では目にしないような写真や動画も送信している。中国で迫害を受けている宗教的マイノリティや宗教団体から直接報告を受けることもある。編集長のマッシモ・イントロヴィーニャ(Massimo Introvigne)は教皇庁立グレゴリアン大学で学んだ宗教研究で著名な学者。ー「カトリック・あい」はBitterWinterの承認を受けて記事を転載します。

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2025年3月29日