・世界家庭大会で中心的役割の米枢機卿2人が欠席-”性的虐待”の影響(TABLETなど)

( 2018.8.16 |Tablet  Sarah Mac Donald)

 8月21日からアイルランドのダブリンで開かれる世界家庭大会「家庭の福音:世界のための喜び」のキーパーソンの1人、米ボストン大司教のショーン・オマリー枢機卿が欠席することになった。教区内の神学校で性的に”不適切な行為”が行わた疑いが浮上しており、その対応に集中する必要があるためだ。

*また19日付けのCruxによると、同大会で基調報告者に予定されていた米国の首都ワシントンを教区にもつドナルド・ワール枢機卿も18日に出席を取りやめたことが明らかになった。

 (「カトリック・あい」=教皇フランシスコが使徒的勧告「(家庭における)愛の喜び」を実践につなげるための重要な大会とし、教皇自身も参加する今回の大会に、その成否を大きく左右する高位聖職者2人が欠けることは、その成果の行方にも少なからぬ影響を与えると懸念されるとともに、世界的に深刻な事態となっている聖職者による性的虐待スキャンダルが、「家庭」という教皇にとって、世界の教会にとって最重要の課題への対応にも影響を与え始めた、とも言えそうだ。)

 ボストン大司教区事務局が15日、声明を発表し、「ボストン大司教区の聖ヨハネ神学校と養成課程に入る神学生の司牧に関する重要な案件」のために、オマリー枢機卿がアイルランド行きを中止することを決めたことを明らかにした。声明はまた、神学校の問題に関する捜査が枢機卿の「個人的な配慮と参加」を求めている、と説明した。

 オマリー枢機卿はバチカンの児童保護委員会を主宰しており、24日に世界家庭大会のセミナーに性的虐待の被害者やバチカンの弱者保護委員会の前委員、マリー・コリンズ氏とともに出席、座長を務めることになっていた。このセミナーには、他に、やはり弱者保護委員会の前委員のシェイラ・ホリンズ氏、ボストン大司教区の前司牧支援・幼児保護事務局長のバーバラ・ソープ氏、弱者保護委員会の現委員でフィリピン人のガブリエル・ダイ・リアッコ教授も、出席を予定している。

 オマリー枢機卿は先週10日、不適切な行為の訴えを受けて捜査されているの聖ヨハネ神学校の校長について職務停止の措置をとっている。この件では、元神学生2人が、同校に在学中に「道徳的な規準とカトリック司祭に求められている規律に反する行為を、目撃し、経験した」とソーシャル・メディアを使って訴えて、表面化していた。枢機卿はまた、先に枢機卿のタイトルを事実上剥奪されたセオドール・マカリックに関する警告を、ボストン大司教区事務局が無視した、との訴えについても、対応を求められている。マカリックは幼児に対する性的虐待とニュージャージーの神学校での神学生たちとの”不適切な行為”の訴えをもとに捜査を受けている。

 3年に一度開かれている世界家庭大会で、児童保護に関するセミナーが開かれるのは今回が初めて。ペンシルバニア州の大陪審報告書で聖職者の恥ずべき行為が次々と具体的に明らかにされ、セオドール・マカリックの枢機卿タイトルの事実上の剥奪などに続いて、ボストンの神学校での疑惑と、米国のカトリック教会が、聖職者による性的虐待スキャンダルの泥沼にはまる中での、セミナーとなる。

(翻訳・「カトリック・あい」南條俊二)

(Tabletはイギリスのイエズス会が発行する世界的権威のカトリック誌です。「カトリック・あい」は許可を得て翻訳、掲載しています。 “The Tablet: The International Catholic News Weekly. Reproduced with permission of the Publisher”   The Tablet ‘s website address http://www.thetablet.co.uk)

 

 

このエントリーをはてなブックマークに追加
2018年8月19日