・教皇ルーマニア訪問:スムレウ・チュクのミサで「他教会の人々も参加するのは対話と一致、兄弟愛のしるし」

(2019.6.1 バチカン放送)

 教皇フランシスコは、ルーマニア訪問2日目の1日、東北部モルダヴィア地方を訪問、スムレウ・チュクの巡礼聖堂でミサを司式された。

 美しい自然に囲まれたスムレウ・チュクの聖母巡礼聖堂は、かつてのハンガリー王国の歴史とのつながりが深く、特にルーマニア国内のハンガリー言語の信者をはじめ、近隣国からも多くの信者が訪れる。

この日、不安定な空模様にも関わらず、教皇ミサが行われた巡礼聖堂の緑地帯には、およそ10万人の信者たちが朝早くから集った。

 ミサの説教で教皇は、この巡礼聖堂の聖母の大祭に、ルーマニアとハンガリーの伝統が共に活かされ、他のキリスト教教会に属する人々も参加することは、「対話と一致、兄弟愛のしるし」であると話された。

 また、「巡礼とは一つの民が自分たちの家に向かうことであり、その民は様々な顔、文化、言語、伝統からなることを忘れてはなりません」と述べ、「分裂を生む声に負けず、兄弟愛を育てていくことの大切さ」を説かれ、「巡礼とは、共に交じり合い、助け合うことでもあります」と指摘。「主は連帯と兄弟愛、善への熱意、真理と正義へと、私たちを招いておられます」と呼びかけられた。

 このミサの後、午後、ヘリコプターで、モルダヴィア地方の政治・経済・文化において最も重要な地であると共に、同国で2番目に人口の多い都市ヤシに移動された。同市のカトリックのカテドラルで、信仰の象徴であるろうそくの火を、高齢の司祭から受け取られた教皇は、それを福者アントン・ドゥルコヴィチ司教の聖遺物の前に置かれた。同福者は、1947年、ヤシの司教となったが、共産党独裁政権の迫害下のもと、1951年に獄死した。

 教皇は聖遺物の前で沈黙のうちに祈られた後、詰めかけたおよそ600人の信者らに、十字架をもって祝福をおくられ、特に病者らが神に捧げる犠牲に感謝されると共に、お年寄りたちを励まされた。

(編集「かとりっく・あい」)

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2019年6月2日