・教皇キプロス訪問「守護者聖バルナバの『忍耐』と『兄弟愛』に倣おう」

(2021.12.2 バチカン放送)

 2日にキプロス訪問を開始された教皇フランシスコは同日午後、最初の行事としてニコシア市内のマロン典礼カトリック教会カテドラルで、同国のカトリック司祭、修道者、助祭、カテキスタ、一般信徒の団体や運動の代表者たちとお会いになった。

 会見での冒頭のあいさつで教皇は、特にレバノンからキプロスに渡って来た信徒たちに思いを向け、現在レバノンが直面している危機と人々の苦しみに連帯と祈りを示された。

 また、キプロスに古くから存在するラテン典礼の教会は、今日多くの移民の兄弟姉妹たちと共に、様々な民族・文化を迎えることになったが、「多様化した教会の姿は、人民の出会いによってモザイクのように織りなされてきたキプロスの歴史と役割そのものです」と話された。

 そして、キプロスの教会の保護者、使徒聖バルナバの生き方と宣教生活を振り返り、その特徴を「忍耐」と「兄弟愛」という二つの言葉で表された。

 バルナバは、深い信仰を持つ均衡の取れた人物としてエルサレムの教会から選ばれ、アンティオキアに派遣されたが、「新しい世界、異なる文化、別の宗教的感受性を持つ人々と接しながら、容易ではない環境の中で旅を続け、神の業のしるしを様々なものに見出し、物事を識別できた『忍耐強い人』でした」とバルナバを讃え、「私たちもバルナバのような、辛抱強い教会を必要としています」と強調された。

 さらに、バルナバのもう一つの特徴として「兄弟愛」を挙げられた。教皇は「キリスト者への容赦ない迫害者であったサウロ(パウロ)の回心後、皆がまだ彼を恐れていた時、バルナバはサウロを連れて使徒たちのところへ案内(使徒言行録9,章27節参照)し、サウロの回心の経緯を説明して、彼の保証人となったこと」を思い起こされ、「バルナバのこの態度、これこそが『兄弟愛』です」と語られた。

 パウロとバルナバは兄弟として宣教旅行を共にしたが、特には議論することもあった。やがてパウロとバルナバは、宣教に若いマルコを連れて行くかどうかで意見が合わず、パウロは、マルコを連れたバルナバと別行動をとることになった。だが、「それは個人的な理由ではなく、宣教における考え方の違いによるものでした。二人はわだかまりをその後に残したわけではなく、パウロは、テモテに送った手紙で『マルコを連れて来てください。彼は私の務めをよく助けてくれるからです』(テモテへの手紙2・4章11節)と述べていることからも分かります」と指摘された。

 そして、「これが教会における『兄弟愛』なのです。世界の兄弟愛の道具となるために、私たちはこうした『兄弟愛』に満ちた教会を必要としているのです」と訴えられた。

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 キプロスのキリスト教共同体の誕生は、使徒時代に遡る。キプロスの初期教会の歴史は、偉大な宣教者、聖パウロと聖バルナバ、そして福音記者聖マルコと結びついている。中でもバルナバはキプロスの出身だ。人口の約8割をキリスト教徒、約2割をイスラム教徒が占めている。キリスト教徒のうち大多数が正教会に属し、カトリック信者は全人口の4.47%。

(編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2021年12月3日