・教皇が誤りを指摘した「主の祈り」の箇所-伊司教団の改定をバチカン承認

2019.6.7 カトリック・あい)

 教皇フランシスコがかねてから、多くの言語での翻訳の誤りを指摘していた「主の祈り」の箇所について、イタリアの司教協議会から出されていた変更の申し出をお認めになった。

 米国のカトリック・ニュースメディア「uCatholic」が報じたもので、イタリア司教協議会の定例総会が開かれた5月22日、同協議会会長のジュアルティエロ・バセッティ枢機卿が、イタリア語のミサ典礼文の第三次改訂がバチカンから認められたことを発表する中で明らかなった。

 第三次改定では、主の祈りはイタリア語の原文の英訳で「lead us not into temptation(日本語訳で「私たちを誘惑に陥らせず)」とされてい箇所を、「do not let us fall into temptation(「カトリック・あい」日本語訳で「私たちが誘惑に陥らないようにしてください」)に変更する。

 教皇はこれまで、主の祈りのこの箇所について、「神は、私たちを誘惑に陥らせるようなことをなさいません」として、表現を改めるよう繰り返しお求めになっており、フランスの司教団はすでに改定に踏み切っているとされているが、ミサ典礼書の改定版で変更を明確にすることが確認されたのは、今回が初めてのようだ。

 また、第三次改定では、「栄光の賛歌」についても、同様に英訳で「Peace on earth to people of good will(日本語訳で「地には善意の人に平和あれ」)」とされている箇所を、「Peace on Earth to people beloved by God(「カトリック・あい」日本語訳で「地には神に愛された人に平和あれ」)に改める。

 イタリア語典礼文の改定は、典礼改革にならった教会共同体刷新に寄与することを目的として、これまで16年かけて準備されてきたもので、神学的、司牧的、形式的な視点から見直しがされた、という。

 今回の改定は、イタリア司教協議会の決定をバチカンの典礼秘跡省が確認する形で行われ、改訂版ミサ典礼書は今後数か月以内に出版され、実施に移される見通しだ。

 なお、日本の司教団は、主の祈りのこの箇所についての扱いを明らかにしていない。

 

 

 

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2019年6月7日