・教皇、世界の巡礼地と共にロザリオの祈り-苦しむ人々を聖母の保護に託して

(2020.5.31 バチカン放送)

 カトリック教会が伝統的に聖母に捧げる月、5月の終了を前に、教皇フランシスコは、30日夕方(日本時間31日未明)、バチカン庭園の「ルルドの洞窟」前で、ロザリオの祈りをなさった。

 バチカン庭園の丘の上にある「ルルドの洞窟」は、フランスの聖母巡礼地ルルドのマッサビエルの洞窟を模し、1902年、教皇レオ13世にフランスのタルブ教区司教から寄贈された。この中にある祭壇は、ルルドにおいて聖ベルナデッタ・スビルーが聖母の出現を受けた場所に置かれた最初の祭壇で、1960年、タルブとルルド教区の司教より聖教皇ヨハネ23世に贈られた。同教皇は、1962年、バチカン庭園の「ルルドの洞窟」内の現在の位置にこの祭壇を据えられた。

 教皇フランシスコによるこのロザリオの祈りは、世界各地の巡礼地とビデオ中継で結ばれ、これらの巡礼聖堂でも、バチカンの会場と一致し、祈りが唱えられた。

 祈りに参加した巡礼聖堂は、ヨーロッパでは、ルルド(フランス)、ファティマ(ポルトガル)、チェンストホヴァ(ポーランド)、バヌー(ベルギー)、ロレート(イタリア)、ポンペイ(イタリア)、ディビーノ・アモーレ(イタリア・ローマ)サン・ジョヴァンニ・ロトンド(イタリア)、アフリカでは、エレレ(ナイジェリア)、ノートルダム・ドゥ・ラ・ぺ(コートジボワール)、北米では、イマキュレート・コンセプション(米・ワシントンD.C.)中南米では、グアダルーペ(メキシコ)、チキンキラ(コロンビア)、アパレシーダ(ブラジル)、ルハン(アルゼンチン)、ミラグロ(アルゼンチン)など。この他、多くの巡礼地からの参加があった。

 バチカン庭園の「ルルドの洞窟」前の広場では、間隔を広く開けて置かれた椅子に座った参加者らが、教皇と祈りを共にした。

 この参加者らの中には、新型コロナウイルスとの闘いにおいて第一線に立つ医師や看護師ら病院関係者、この感染症で亡くなった方の遺族、病院付きの司祭、薬剤師、またこのパンデミック危機の間に新しい命の誕生を体験した家族などの姿が見られた。

 バチカンの教皇と参加者、また世界各地の巡礼聖堂の関係者は、ロザリオの「栄えの神秘」を観想しつつ、パンデミックが引き起こした様々な状況に苦しむ人々のために、神に癒しと解放、救いを祈り求めた。

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 教皇は、「聖母月」において、パンデミックで家にいる信者たちにロザリオの祈りを推奨する書簡の中で、ご自分で特別に用意された祈りを紹介されている。バチカン庭園でのロザリオの祈りを、教皇はこの祈りをもって締めくくられた。

 「聖なる神の御母よ、御保護に寄りすがり、御助けを求めます。

 全世界を揺さぶる、この苦しみと不安に満ちた劇的状況の中で、神の御母、私たちの母よ、あなたの御保護に寄りすがり、御助けを求めます。

 乙女マリアよ、このコロナウイルスの拡大の中で、私たちに慈しみ深い眼差しを注いでください。愛する者を亡くし、ぼう然とし、悲しむ人々を慰めてください。亡くなった方々は、時には痛ましい方法で埋葬されました。

 感染防止のために病者のそばにいられず、苦悩する人々を支えてください。不確かな未来と、経済と仕事への影響のために、不安の中にいる人に信頼を与えてください。

 神の御母、私たちの母よ、私たちのために、慈しみ深い御父にお祈りください。この辛い試練が終わり、希望と平和を再び未来に見出せますように。カナであなたがそうなさったように、神なる御子にお願いしてください。患者や犠牲者の家族を励まし、彼らの心を信頼へと開いてくださるようにと。

 医師や、看護師、医療関係者、ボランティアたちをお守りください。彼らはこの危機の中第一線に立ち、他の人々のいのちを救うため、自らのの命を犠牲にしています。彼らの英雄的な努力を支え、彼らに力と愛と健康をお与えください。

 朝晩、患者を見守る人たちや、司祭たちに寄り添ってください。彼らは、司牧的配慮と福音的努力のために、皆を助け、支えようとしています。

 聖なる乙女よ、科学者たちの精神を照らし、このウイルスに勝つための正しい方法を見出させてください。

 国々の責任者たちを支えてください。彼らが賢明と配慮と寛大さをもって、生活の必要に事欠く人々を助け、先見の明と連帯精神のもとに、社会・経済的解決策を計画できますように。

 至聖なるマリアよ、軍備拡張と増強のための莫大な費用が、未来の同様の災害を防止するための正しい研究促進に向けられるよう、彼らの良心に触れてください。

 愛する御母よ、すべての人を結ぶきずなの自覚のうちに、わたしたちがただ一つの大きな家族に属しているという意識を、世界に育ててください。わたしたちが兄弟愛と連帯の精神をもって、多くの貧困と悲惨な状況を助けることができますように。信仰に固くとどまり、忍耐強く奉仕し、絶えず祈ることができますように。

 苦しむ人の慰め手なるマリアよ、試練にあるあなたのすべての子らを抱擁し、神がその全能なる御手をもって私たちをこの恐ろしい感染症から解放してくださるように、そして、私たちが安心のうちにいつもの生活を取り戻せるよう、どうか神にお祈りください。

 私たちは、あなたにより頼みます。あなたは私たちの歩みを救いと希望のしるしとして照らしてくださいます。慈しみ深い、慈悲あふれる、優しき乙女マリアよ。アーメン」

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 集いの終わりに、教皇は、ビデオ中継を通してこの祈りに参加したラテンアメリカの巡礼地に、スペイン語で次のように挨拶をおくられた。

 「中継で結ばれ、祈りに一致してくださった、ラテンアメリカの巡礼地におられる皆さん。グアダルーペや、他にもたくさん、ここから見えます。私の母国語でご挨拶します。私たち皆と一緒にいてくださってありがとう。私たちの母、グアダルーペの聖母が、私たちを見守ってくださいますように!」

(編集「カトリック・あい」)

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2020年5月31日