・教皇、ベネズエラ情勢に強い懸念、政治指導者に和平への対話求める

(2019.7.14 VaticanNews  Linda Bordoni)  

  教皇フランシスコは14日正午の聖ペトロ広場でのお告げの祈りの説教の最後に、政治・社会不安が強まっているベネズエラに言及し、同国の政治指導者たちに対して、同国と地域全体の平和回復のために話し合い、合意するよう強く促した。

 教皇はその中で、「改めて、私は、打ち続く危機に打ちのめされている、愛するベネズエラの人々に親愛の情を示します」と述べ、広場に集まった信徒たちに、ご自分と共に、「主が同国の関係者たちを力づけ、教え導いてくださるように、それによって彼らが、自分の国と地域全体のために人々の苦しみを、できるだけ早く終わらせるような合意に達することができるように」と祈るよう求めた。

 この問題に関して、ベネズエラの司教団は11日にニコラス・マドゥーロ大統領に対して、正当性を欠いた行為をしているとして辞任を求め、可能な限り速やかに新大統領を選ぶよう要求した。同司教団が総会の最後に発表した使徒的勧告で、「正当性を欠き、対応を誤った統治の現実を目の当たりして、ベネズエラは憲法への回帰、国の行き先を変えることを強く求めている。そのために、正当性を欠いた形で権力を行使している者の退陣と、新たな共和国大統領のための選挙をできる限り早期に実施する必要がある」と言明している。

 マドゥーロ社会主義政権の下で、ベネズエラは暴力の騒乱によって社会秩序が著しく損なわれ、食料や薬品の不足、失業の増大、極度のインフレに見舞われている。そうした中で国外に逃避する人が続出し、その数は、2015年からこれまでに400万人を超えた。司教団はまた、国連人権委員会の報告を引用し、ベネズエラの現政権は違法な大量殺人を含めた様々な人権侵害を行っている、と強く非難している。

このエントリーをはてなブックマークに追加
2019年7月15日