・教皇、オロリッシュ枢機卿(元上智大学副学長)を2023年シノドスのキーパーソンに任命

(2021.7.8 カトリック・あい)CNA 5d9f6958b9067 165860

教皇フランシスコが8日、2023年10月に予定する第16回世界代表司教会議(シノドス)総会のgeneral rapporteur に、ルクセンブルグ大司教のジャン=クロード・オロリッシュ枢機卿を選任した。バチカン広報局が同日付けで発表した。

 「General rapporteur 」の役割は、総会開始に当たって議論される課題の概要を提示し、総会での司教たちの発言を取りまとめ、教皇に報告する具体的な提言の下となるものを作成することとされている。

 今回のシノドスのテーマを教皇は「For a synodal Church: communion, participation and mission(「カトリック・あい」試訳は「共働する教会へー交わり、参加、そして使命」、バチカン放送仮訳は「シノドス性ある教会のために:交わり、参加、ミッション」)とされ、今年10月から2023年10月のシノドス総会までの2年間を、世界の全てのキリスト者が参加する「シノドスの旅」とし、世界の小教区レベルから始めて、教区レベル、各国レベル、5大陸レベル、そしてその仕上げとしてのシノドス総会に至る道筋を提示されている。

 したがって、「General rapporteur 」は、単なるシノドス総会の課題の概要報告者、総会議論の取りまとめ者にとどまらず、この「シノドスの旅」全体の成否を握るキーパーソンになり得る存在だ。

 オロリッシュ枢機卿は、教皇フランシスコによって枢機卿に叙任され、欧州カトリック正義と平和委員会会議議長、2018年からは欧州カトリック司教連盟会長を務め、信教の自由や欧州における難民問題、教会の世俗化問題などに積極的に取り組む姿勢を示し、イエズス会士としても教皇の”後輩”にあたるなど、教皇の信任が厚い。そうしたことが、教皇がこの要職をオロリッシュ枢機卿に託した背景にある。

 なお、オロリッシュ枢機卿は1958年、ルクセンブルク大公国生まれの62歳。1990年に司祭叙階。イタリアとドイツの3つの大学で、哲学、神学、教育学を学んだあと、1987年に上智大学外国語学部ドイツ語学科非常勤講師、99年に同学科助教授、2006年に同教授となった。同大学のカトリックセンター長、ヨーロッパ研究所所長、学生総務担当副学長、学術交流担当副学長、学長補佐、上智学院国際交流担当理事などを務め、20年以上を日本で過ごした。2011年にルクセンブルク大司教に任命され、欧州カトリック司教協議会委員会(COMECE)委員長、さらに2019年9月に枢機卿。同年11月の教皇訪日にも同行している。

 

 

 

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2021年7月9日