・教皇、バチカン庭園「結び目を解くマリア」の前で、”ロザリオ・マラソン”最後の祈り

(2021.6.1 カトリック・あい)

   教皇フランシスコは一か月にわたる「ロザリオの祈りのマラソン」の終わりを迎え、5月31日夕(日本時間1日未明)、バチカン庭園に置かれた「結び目を解くマリア」の前で、新型コロナウイルスの世界的感染が速やかに終息し、世界中の人々が通常の仕事と社会活動に戻れるよう、若者、新婚夫婦や結婚を真近下に控えたカップル、少年少女奉仕団員、聖職者たちとともに、ロザリオの祈りを捧げられた。

 教皇が提起して始められた”ロザリオの祈りのマラソン”は、5月を通して、世界中の聖母マリアに奉げられた聖堂で行われ、長崎の浦上天主堂・被爆のマリア小聖堂からも祈りが世界中に動画中継され、31日の教皇の祈りも世界に向けて動画発信された。

 最終日の31日のロザリオの祈りは、教皇が特に希望されて、バチカン庭園に、独アウグスブルクの教会から届けられた「結び目を解くマリア」の前で行われ、この日の為に、アウグスブルクから教区長のベルトラム・ヨハネス・マイヤー司教が原画の模写絵を帯同し、庭園の一角に設置した。結び目を解くマリアへの祈りは、様々な時代に、様々な結び目ー失業、暴力、病気、そして司牧や奉仕の活動の躓きとなるさまざまな事柄ーを解いてくださるように、と捧げられてきた。

 31日のバチカンでの祈りは、フランス、ドイツ、ルワンダ、チリ、スペイン、スコットランド、パラグアイ、イタリアの聖堂とも動画接続され、参集した聖職者、信徒たちが新型コロナウイルスの世界的大感染の速やかな終息を共に祈った。

 祈りの最後に、教皇は庭園に置かれた聖母マリアの像に冠を載せ、聖母マリアのように、自分自身を捧げ、互いに協力して全ての人に愛と慈しみを示すことができるように、と祈られた。そして、世界に人々に向けて「私たちは、新型コロナウイルスから全世界を守ってくださるように、主に求め続けています。そして、誰もが例外なく、ワクチン接種を通じて自分自身を守る機会がすぐに与えられますように」と励まされた。

(2021.5.28 カトリック・あい)

    教皇フランシスコの提唱で世界中の教会が参加して行われている新型コロナ感染の終息を願う「ロザリオの祈りのマラソン」は、31日月曜日に最終日を迎え、教皇は同日現地時間午後5時45分(日本時間6月1日午前0時45分)から、バチカン庭園に置かれる「結び目を解くマリア」の絵の前でロザリオの祈りを捧げられ、バチカンのウエブサイトなど各種メディアで世界に実況中継される。

*「マリア、結び目を解く方」Mary-Untier-of-Knots-1.jpg

 Vatican Newsによると、「結び目を解くマリア」の絵を置くことは、教皇が特に望まれた。原画(写真右)は、教皇が30余年前、「博士論文準備」という名目でドイツのアウグスブルクに数か月滞在させられた際に、足しげく通ったザンクト・ペーター・アム・ベルラッハ教会に掛けられている。ロザリオの祈りのマラソンの最終日を前に、アウグスブルクのベルトラム・ヨハネス・マイヤー司教が、その模写を持ってバチカンを訪れ、庭園に設置する。

 この油絵は、19世紀の画家ヨハン・ゲオルグ・シュミットナーの作によるもの。2人の天使の助けを受け、愛らしい子供の天使たちに囲まれながら、マリアがウエディング・リボンの結び目を解き、一方で、悪魔を象徴する蛇の頭を、足で押しつぶしている様を描いている。絵には、次のような逸話が隠されている。

 それは、「離婚の危機に遭ったバイエルンの貴族から相談を受けたイエズス会士の司祭が、結婚式で彼が使ったウエディング・リボンを持ってこさせ、夫婦の仲をとりなりしてくれるよう聖母マリアに祈りを捧げ、(絡んだリボンの)すべての結び目が解かれるように、と、結婚の絆であるそのリボンを高く上げた。その祈りが聞き入れられて、夫婦は様々な困難を乗り越え、結婚生活を続けることができた」というものだ。

 ホルヘ・マリオ・ベルゴリオという名のイエズス会士だった教皇も、形は違うが、この絵を前に祈ることで、多くの苦難を乗り越えることができた。彼は、アルゼンチンの軍事独裁政権の下での政治的、社会的危機の中でイエズス会管区で指導・監督の役割を担ったものの、管区のイエズス会士の間で激しい対立、分裂が生じ、上長の判断で、”一時避難”の形で、アウグスブルクに事実上”左遷”された。多くの困難、苦しみを抱えた彼は、この絵に出合い、心の安らぎと助けを得るという、忘れることのできない経験をしたのだ。(「教皇フランシスコの挑戦」=ポール・バレリー著、南條俊二訳、春秋社刊=参照)

*「結び目」にちなんだ5つの祈りの意向

 1か月にわたる「ロザリオの祈り」のマラソンの締めくくりとなる31日の夜の祈りで、教皇は、バチカン庭園に置かれる「結び目を解かれる方、マリア」の絵の場所を、”野外の聖堂”とされ、「結び目」にちなんだ5つの祈りの意向を示されている。

 第一は、新型コロナ大感染の中で悪化した「傷ついた関係、孤独、無関心」。

 第二は「失業、特に若い人たち、女性たち、一家の父親たち、そして従業員の雇用を守る為に働くビジネスマンたちの抱える課題」。

 第三は「暴力の悲劇ー特に家庭内暴力、女性への暴力、そして、現在の危機によって引き起こされた社会的緊張の結果として生じている暴力」。

 第四は「人類の進歩ーすべての人、特に最も弱い人、最も貧しい人が恩恵を受けることのできる研究開発に支えられた進歩」。

 そして、最後に「カトリック共同体が、司牧活動のすべての分野で、情熱を取り戻し、新たな勢いを感じることができるような、そして、若い人々が結婚し、家庭を作り、未来を切り開くことができるように」だ。

 なお、このロザリオの祈りには、世界の聖母マリアに奉げられた以下の聖堂も参加する。

 Notre Dame de Boulogne in France; Our Lady of Schoenstatt in Germany; Our Lady of Sorrows in Rwanda; the National Shrine of Maipú in Chile; Nuestra Senora de Os Gozos in Spain; the Shrine of Our Lady of Lourdes in Carfin, Scotland; the Basilica Shrine of La Virgen de los Milagros de Caacupé in Paraguay; and the parish sanctuary of Our Lady of Health in La Spezia, Italy。

 

このエントリーをはてなブックマークに追加
2021年5月28日