・バチカン銀行頭取が「諸改革でバチカン銀行は完全に刷新、問題は皆無」と言明

 

A file photo of the Vatican BankA file photo of the Vatican Bank  (© Vatican Media)

(2019.10.10 VaticanNews )

  イタリアの日刊経済紙 “Il Sole 24 Ore”が、バチカン銀行のジャン・バプティステ・ドービル・ド・フランス頭取の大型インタビュー記事を掲載した。ド・フランス氏は2014年7月に頭取に就任以来、同行を国際的な規範・慣行に倣った機関とするように、との教皇フランシスコの指示にに従って、枢機卿委員会の監督の下に、同行の改革を進めてきたが、マスコミのインタビューを受けたのは初めて。

 インタビューで、頭取はまず、バチカンの検察当局の捜査によってバチカン国務省の職員4人と金融・財政情報管理局の局長に職務停止の措置がとられたことについて「捜査は内部の緊張の結果ではなく、単に、法律を適用した公務員の行動であり、日常的な活動で見つかった不具合を報告する義務に則ったもの」であり、「金融・財政情報管理局を相手にしたものでも、まして国務省を相手取ったものでもない」と言明。さらに「誰も、どの部署も告発されているわけではない」と述べた。

 さらに、検察当局への通報は、制度を守るために、名称不明の人に対してなされたもので、当局は現在、捜査中であり、「当然のこととして採らねばならないは、『推定無罪』が常に適用される、ということだ」と語った。

 バチカン銀行の欧州単一通貨への加盟については、「数年前に比べて、バチカン銀行は完全に刷新され、企業統治、内部管理についての専門知識・技能や、取引相手への対応も十分。これまでの結果は満足すべきであり、現在目指しているのは、これまでしてきたことを、特に顧客の利益のために、継続、洗練し、完全にすること。改革は、常に改善しているもので、継続されている。透明で適法な方向は決して放棄されることは無い。顧客は私たちの仕事で十分に守られている。

 また、バチカン銀行の使命についての問いに対しては、「世界中の教会への奉仕であることに変わりはない。今日、バチカン銀行は一つの本部、100名あまりの職員で、世界112か国に対応し、その中には地勢的に難しい場所、信頼がおける満足のいく金融サービスを受けられない所もある。そうした領域で活動するのがバチカン銀行の使命だ」と答えた。

 また頭取は、バチカン銀行の現在の正式名称IOR(宗教事業協会)を変えるつもりはない、とし、バチカンの各部署が自分たちの預金の管理をIORに任せることができるのは、第一に、「我々がカトリックの信仰とカトリック教会の社会教説の規範を大切にしているから」、第二に、「我々が挙げた収益は教皇の司牧活動に回されている。バチカンのある部署、あるいはある顧客がIORと仕事をした時、教皇の仕事に直接、具体的な財政貢献をし、一般の銀行に特徴的な経済的動機で動いていないからだ」と説明。

 最後に頭取は、バチカン銀行のサービスの質、極めて低いコスト、資金運用にあたっての倫理的規範に言及し、「これらは、倫理的、カトリック的規範に最大限遵守することを保証するために、これまで以上に精緻で完全なものだ」と言明した。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

 

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2019年10月12日