・”バチカン銀行”が2019年決算で3800万ユーロ(約46億円)の黒字 (2020.6.9 カトリック・あい) バチカンの資金管理・運営を担当する”バチカン銀行””(正式名称は「宗教事業協会」)が8日、2019年決算報告書を発表した。 それによると、利益は3800万ユーロ(日本円換算約46億円)で前年の2倍を上回る増収となったが、決算報告書の中で、同行監督委員会ののジャン・バティスト・フランス議長は、増収の理由を、保有資産の適切な管理運用とコスト抑制によるもの、と説明した。 また報告書によると、同行の2019年末現在の資産は51億ユーロ(約6300億円)で、これには1万4996の顧客(大部分が世界の諸修道会、バチカンの諸機関、職員、および聖職者)からの預金と投資資金が含まれている。また、金融機関の健全性を測る指標である第一分類自己資本6億3000万ユーロ(約770億円)で、その比率は前年の 86.4%から82.4%と若干低下しているが、これは、普通株勘定の減少と資産の信用リスクの上昇によるもの、と説明。 「協会は、カトリック教会の社会教説が示す倫理、社会原則を守ることを最優先した資産の管理運用を行い、その条件を満たす顧客との関係を心がけている」といい、市場金利で借り入れができない機関、団体に対して低利融資の実施、病院事業や難民など弱者保護の活動をしている組織に無償で不動産を貸し出すなどの社会貢献も行っていることを強調している。 また、今年は、新型コロナウイルスの世界的大感染で世界経済が大幅に後退、バチカン財政も影響が避けられない状態となっているが、決算見通しは「きわめて不透明」だが、協会としては、バチカンの法規と国際法に完全に準じた形で、金融面での専門的助言を通して、世界の牧者である教皇の使命達成に奉仕を続けたい、としている。 決算報告書全文(英語版)は⇒http://www.ior.va/content/ior/en/media/annual-report/annual-report-2019.html The tower of Nicholas V, the seat of the IOR (© Vatican Media) ツイート