・バチカン機構改革の新使徒憲章で最終合意へ-枢機卿顧問会議

(2019.6.26 カトリック・あい)

 教皇フランシスコを補佐する枢機卿顧問会議の第30回会合が、教皇参加のもとにバチカンで25日朝から始まった。会合の目的は、教皇の宿願とされてきたバチカンの統治機構改革を主題とする新使徒憲章「 Praedicate Evangelium=福音の宣教(仮題)」を最終合意し、教皇に答申することにある。会合は27日まで続けられ、教皇庁発表によると、会合終了後に事務局長による記者会見が予定されている。新使徒憲章については4月の前回の枢機卿顧問会議会合で最終原案を決め、全世界の各国司教協議会と東方教会協議会の会長たち、教皇庁担当部署代表、主要修道会総長、教皇庁立大学代表などに送付され、意見を聴取してきた。今回の会合は、その結果などをもとに、”決定版”を確定するもので、教皇臨席のもとに行われることから、それほどの間を置くことなく、使徒憲章として教皇から発表されるとみられる。

Cruxが前回会合直後の4月22日ローマ発で報じていたところでは、新使徒憲章で示されるバチカンの統治機構改革の最大の目玉は、福音宣教を担当する”スーパー官庁”の設置となる可能性がある。その名称は「福音宣教のための部署」で、”宣教地域”を監督・指導する「福音宣教省」と欧米諸国の急激な世俗化に対処するために名誉教皇ベネディクト16世が2010年に開設した「新福音化推進評議会」を統合する形で、新設される。バチカンの官庁の中で“The Supreme Congregation(最上位の省)”と呼ばれてきた教理省をしのぐ最も重要なバチカン官庁となるとみられる。

もう一つは、バチカンの官庁がこれまで、上位の「congregation(省)」とそれより低い地位にある「pontifical council(評議会)」に分けていたのを、独立した官庁の呼称を「dicastery(部署)」に統一すること。教皇フランシスコが就任以来、すでにバチカン組織の再編統合が一部実施され、「信徒・家庭・いのちの部署」と「人間開発のための部署」が生まれているが、この呼称を全面的に適用することになる。

(2019.6.25 VaticanNews)

 枢機卿顧問会議の第30回会合が、教皇フランシスコ参加のもとにバチカンで25日朝から始まった。27日まで続けられる。主たる議題は、新使徒憲章「 Praedicate Evangelium=福音の宣教(仮題)」の最終取りまとめだ。バチカン国務長官のピエトロ・パロリン枢機卿はじめ6人の顧問会議メンバー全員に加え、事務局から局長と局長補佐が出席している。

 新使徒憲章は、聖ヨハネ・パウロ2世教皇が1988年に出され、前教皇ベネディクト16世と教皇フランシスコ本人が追加修正された現行の使徒憲章にとって代わるものだ。4月の前回会合の議論では、新使徒憲章で福音宣教を基調とする、教会のあらゆるレベルで synodality(合議制)のプロセスを強化することを明示すること、バチカン諸機関の指導的な役割に女性の参加をより大きなものとすることの必要性、などが話し合われた。また、枢機卿顧問会議の役割は、世界の教会統治について教皇を助けていくことにあり、今回の新使徒憲章公布で終わるものでないことも確認している。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

 

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2019年6月26日