・バチカン国務長官、ロシア軍のウクライナ南東部の産科・小児科病院攻撃を強く非難(VN)

(2022.3.9 Vatican News )Remains of the pediatric hospital in Mariupol

ロシア、ウクライナ双方が住民を避難させるために一時的な停戦で合意していたウクライナ南東部の都市マウイリポリで9日、大規模な産科・小児科病院がロシア軍に爆撃され、乳幼児を含む多くの死傷者が出ている。

 これに対して、クライナのゼレンスキー大統領が「非道だ」と露軍を糾弾し、米国のサキ大統領報道官も記者会見で「野蛮な武力行使」と非難したが、バチカンのパロリン国務長官も9日、ロシア軍の残虐非道な行為に落胆を表明。ウクライナが希望すれば即時停戦へ向けた調停をロシア側と行う用意があることを言明した。

*「民間人に対する容認できない攻撃だ」

 9日夜に開かれた会議に出席したパロリン長官は、記者の質問に答える形で、ロシア軍のこの行為を強く批判。「理由が何であれ、女性と子供のための病院への爆撃は容認できない」と語り、「要請があれば、ウクライナとロシアの和平交渉を仲介する」と述べた。長官は、交渉で平和が直ちに実現する余地は少ないものの、「ある程度の合意」に達する可能性に希望を表明した。

*「バチカンは外交的解決へ努力を続ける」

 長官は既に前日8日に、ロシアのラブロフ外相と電話で会談し、即時停戦と「人道回廊」の安全確保を求めていたが、「外相はそれを保証しなかった」と述べる一方、「バチカンは、すべての当事者と外交的解決を図る努力をする用意がある」と強調した。

 教皇フランシスコは、ウクライナなどに2人の枢機卿を”教皇特使”として派遣しているが、パロリン長官は「2人の使命は、精神的、物質的、外交的にウクライナの平和回復に貢献したい、という教皇の願いを行動で示すもの」と説明。また、ロシア正教会のキリル総主教の6日の主日ミサでの説教の内容に言及。「総主教の声明は、ウクライナの危機的状況への理解を深めるものではなく、和平の道に向けた危機克服につながるどころか、危機をさらにあおるものになっている」と強く批判した。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2022年3月10日