・バチカン人間開発省移民難民局が「国内避難民の司牧指針」発表

シリアの国内避難民たち、北部アレッポ県で 2020年2月シリアの国内避難民たち、北部アレッポ県で 2020年2月  (AFP or licensors)

(2020.5.5 バチカン放送)

 教皇庁の人間開発省移民難民局は5日、「国内避難民の司牧指針」のガイドブックを発表した。

 国内避難民問題の国際的な調査機関、Internal Displacement Monitoring Centre(IDMC・国内避難民モニタリングセンター)によると、2018年末現在の全世界の国内避難民は約4130万人と、統計開始以来、最高を記録している。

 国内避難民の発生には様々な背景があり、主な原因として、武力紛争、暴力の常態化、人権侵害、自然災害(突然のもの、あるいは何年もかけて進行するもの)があり、都市の再開発、大規模なインフラ整備などによるものもある。避難民の生活が、遠隔の地で長期にわたる場合、教育や、仕事、所有財産、生活に必要な支援へのアクセスが複雑・困難になり、未来の展望も容易ではなくなる。

 人間開発省・移民難民局が5日発表した「国内避難民の司牧指針」は、冒頭で「国内避難民の状況は複雑で、国際社会の介入が難しく、メディアや一般社会の関心も薄いために、その存在は忘れられ、避難民らの立場はますます弱いものになっている」としたうえで、「教会は、関係国政府はもとより、広くメディアや社会に、国内避難民への関心を呼びかける必要がある」と主張。

 具体的には、「受け入れる」「守る」「推進する」「統合する」の4つをテーマに、122の指針を示し、避難民を保護するための様々な働きかけ、人権擁護のための法整備、子どもや家族への特別な配慮、人身取引防止のための情報や教育、人道支援要員の安全確保の必要などを記している。避難民の社会・経済生活への参与、医療サービスへのアクセス、子どもたちの権利、支援運営の透明性、物的だけでない精神的支援などの推進に触れ、さらに、避難生活からの生活再建、受け入れ先への適応、帰還の計画に、教会の支援・協力を促している。

このエントリーをはてなブックマークに追加
2020年5月6日