・バチカンの財務・金融監督機関が年次報告書発表「着実の改善が図られている」

The headquarters of the Vatican Bank: IORThe headquarters of the Vatican Bank: IOR  (© Vatican Media)

(2021.7.15 Vatican News)

 バチカンの監督・財務情報局(ASIF)は15日、2020年版年次報告書を発表した。

 その中で、バチカンば不正な資金の洗浄とテロ活動への資金流出などを防止する戦いや現行の規制、監督、金融情報の収集・管理などで、 Moneyval(欧州評議会の資金洗浄対策・テロ資金供与の評価に関する専門家委員会)から高い評価を得ていることを強調。

 教皇フランシスコによって求められていた「バチカンの財政・金融活動について絶対的な透明性を図る道」への歩みが着手され、それがカトリック教会の利益との合致するものだ、と指摘している。

 報告書はまた、バチカン内の関係部局との協力と国際協力が効果を挙げていることを強調。具体的には2020年一年で、財務・金融関係で疑惑を持たれる案件が89件あり、うち16件をバチカンの司法当局に送致、49件はバチカンとバチカン市国の関係部局と124のテーマについて情報交換を行った。

 また二つの国際的な取り決めにより、諸外国の金融情報機関との間で196のテーマについて58件の情報を交換し、104のテーマについて19件の情報を自主的に提供した。

 報告書は、こうした活発なやり取りは、前年と比べて大幅に進展でしており、財務・金融犯罪との闘いで、「相当な相乗効果を挙げていることを示している」としている。

 

*精力的な取り組みの真剣な活動の一年

 新型コロナウイルスの世界的な大感染が続く中で、ASIFの活動は精力的に行われた。2020年1月に、監視体制の不備を理由に前年11月から加盟を一時差し止められていた「Egmont Secure Web」(金融犯罪に関する情報交換のための国際組織)への再加盟を果たした。そして4月には、教皇フランシスコの手で、体制が刷新され、監視制度の構造、組織の改善が図られた。

 そして、ASIFはMoneyvalの評価を受けて、重要な複数の案件にコミットし、局長のカルメロ・バルバガロのもとで捜査において重要な調整役を、バチカンを代表した果たした、と報告書は述べている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2021年7月16日