・ドイツ司教団が、バチカン高官たちと”シノドスの道”の進め方について議論

Pope Francis meeting the German Bishops on ThursdayPope Francis meeting the German Bishops on Thursday  (ANSA)

(2022.11.19  Vatican news staff reporter)

 「アドリミナ訪問」のためにローマ滞在中のドイツ司教団が19日、バチカン高官たちと、同国で進めている”シノドスの道”について協議した。

 「アドリミナ訪問」とは、世界各国の司教団が原則として5年おきにローマを訪問し、教皇に謁見し各国・各教区の状況を報告するもの。日本の司教団は2015年3月に7年ぶりに訪問したが、その後はされていない。ドイツ司教団は今回の訪問で17日に教皇フランシスコと会見している。

 世界の全教区、全司祭・信徒が参加する”シノドスの道”は教皇フランシスコの提唱により2021年秋から始まったが、ドイツの教会ではそれより2年早い2019年から、深刻化している聖職者による性的虐待問題による危機への対応を中心に教会のあり方について、全教会挙げての話し合いが進められてきた。

 19日の協議後の発表された共同声明によると、この話し合いは、国務長官のピエトロ・パロリン枢機卿が主宰して行われ、 国務長官は冒頭あいさつで、この協議を「分かち合いと恩寵、そしてさまざまな相違における一致の場」となることを希望したうえで、ドイツの”シノドスの道”において提起された懸念は、「“risk of reforms of the Church(教会の改革についてのリスク)であり、 within the Church(教会内部の改革のリスク)ではない」と述べた。

 

*ドイツ司教団は「神の民に耳を傾けるシノドスの精神」と「聖職者の性的虐待が引き起こした痛み」を強調

 これに続いて、ドイツ司教団を代表して司教協議会(DBK)会長のゲオルク・ベッツィング司教が、これまでのドイツにおける”シノドスの道”とその過程で出された諸提案を説明するとともに、「神の民に耳を傾けること基礎を置くシノドスの精神」と「聖職者による性的虐待によって引き起こされた痛み」を強調。

 さらに、ドイツの”シノドスの道”で取り上げられたテーマとして、教会の権力と権力の分裂、共通の参加と福音宣教の企画立案、現代の司教生活、教会の管理運営における女性の在り方、人間関係における活気ー性とカップルの関係における生き生きした愛、などを挙げた。

 そして、教皇フランシスコが先に、”シノドスの道”を2023年秋の世界代表司教会議総会までとしていたこれまでの計画を、2024年秋まで一年延長する決定をされたことに、ドイツ司教団として、感謝を表明した。

  最後に、ドイツの司教団の会長は、2021年から2024年のシノドスにおけるシノドリティに関する作業と、それを1年延長するという教皇フランシスコの決定に感謝の意を述べた。

 

*バチカンは、ドイツの”シノドスの道”から出た提案などに「懸念と留保」を表明

    また声明では、バチカン側から、ルイス・ラダリア教理省長官とマルク・ウエレット司教省長官が、ドイツ司教団の説明に対して、同司教団の”シノドスの道”の進め方、内容、そこから出てきた提案について、「率直かつ明確に、教義上の懸念と留保」を表明。両長官は、「教会の一致とその福音宣教の使命」のために、これまでのドイツの”シノドスの道”で出された要望を「普遍教会のシノドスに含めること(全世界代表司教会議の議論にゆだねること?)」を提案した。

 

*「意見の違いはあっても、”忍耐強い神の民”と共に旅している」認識で一致

 以上のようなドイツ司教団、バチカン双方の代表による意見の交換の後、数人のドイツの司教と教皇庁の代表者が参加する討論が行われ、ドイツの”シノドスの道”の歩みから出てきたいくつかのテーマを特定し、議論を深めることの重要性と緊急の必要性を確認するとともに、互いの意見に違いがあっても、「すべての聖なる”忍耐強い神の民”と共に旅をしているのだ」という認識を共有。

 その意味で、これまで出された多くの主張は「進行中の”シノドスの道”の最終的な目標として福音宣教と使命を指向するとともに、特定の問題を棄却することができない、という認識を示している」との判断についても共有した。

 また、ドイツ司教団は、自国教会の”シノドスの道”の”一時停止”を含むいくつかの提案を行い、いずれもバチカン側から却下されたが、「現在生じている諸困難を踏まえて、さらに考察をし、互いの意見を聞き合うことを促進する必要がある」と強調した。

 協議を終えるにあたって、パロリン国務長官は、今回の協議を、「現在進行中の(”シノドスの道”の)耳を傾ける過程において、無視することができないもの」であり、「必要かつ建設的なものだった」と評価した。

 

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2022年11月20日