・「同性カップルの祝福をドイツの教会が勝手に進めることはできない」とバチカン国務長官(Crux)

 同性婚に対する祝福は、カトリック教会として公式に禁じられているが、ドイツの教会の多くではすでになされている。バチカン教理省は2021年に声明を出し、神が 「罪を祝福することはできない… 司祭が同性カップルに正当性を与えることは違法」と言明していた。

 だが、ドイツの教会は、先週末の”シノドス”の最終会議で、司教、司祭、一般信徒合わせて200人以上が参加して、同性カップルに司祭が祝福を与えることについて賛否を問うた結果、決定に必要な67人の司教の3分の2以上の賛成を含め、圧倒的多数、176人が賛成した。実施は、2026年3月以降としている。この会議ではまた、離婚して再婚した夫婦に例外なしに聖体拝領を認めることも可決、さらに、司祭の独身制についても見直すよう、教皇に求めることも決めている。

 パロリン国務長官は記者団に対して、2021年の教理省の声明をもとに同性カップルの祝福に関するバチカンの立場を確認し、「ドイツの司教団の判断は、今年と来年の10月に開く世界代表司教会議での判断にゆだねられねばならない。このような判断は、世界全体の教会の”シノドスの道”の歩みの中に収めるべきもの。その見地から、ドイツの教会が同性カップルの祝福を2026年まで延ばしたのは結構なことだ」と述べた。

 バチカン当局とドイツの司教団は、これまで”シノドスの道”に関して議論を続けており、教皇フランシスコは昨年夏、ドイツの教会に、「司祭の独身制、女性の司祭叙階、同性カップルに対する祝福などの問題をめぐって分裂を助長しないように」との警告の書簡を送っている。さらに昨年秋のドイツ司教団のバチカン定期訪問の際、バチカンのいくつかの部門のトップが、ドイツ流の”シノドスの道”の歩みを止めるよう試みたが、ドイツ側は受け入れなかった。

 今年に入っても、1月に、パロリン国務長官を含むバチカンの高官数人が、教皇の承認を得て、ドイツの司教団に、「司教と信徒で構成するドイツの新しい教会統治の形は受け入れられない」旨の書簡を送ったが、ドイツの司教団は、その形を具体化する“Synodal Council(共同評議会)”の設立準備を進めた。

 教皇は、ドイツ教会のこうしたやり方を「非常にイデオロギー的」であり「エリートによって作成されている」として、ドイツ式”シノドスの道”を認めないことを示唆している。

 パロリン国務長官は「教会にはこれまでも常に緊張と立場の相違が存在した」として、今回のドイツの教会の動きを”反乱”と呼ぶことは避けたものの、ドイツ流”シノドスの道”が「現在のカトリック教会の教義と正確に一致しない決定を下している。彼らが、この歩みはすべて教会法の中でなされている、と主張しても、私たちは会って、このような主張を再検討しなければならない」と強調している。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。Crux is dedicated to smart, wired and independent reporting on the Vatican and worldwide Catholic Church. That kind of reporting doesn’t come cheap, and we need your support. You can help Crux by giving a small amount monthly, or with a onetime gift. Please remember, Crux is a for-profit organization, so contributions are not tax-deductible.

 

 

 

 

 

 

このエントリーをはてなブックマークに追加
2023年3月17日