・「互いを受け入れることは、永遠の挑戦」教皇、マルタ・ゴゾ島のタ・ピヌ巡礼聖堂で祈り


(2022.4.2 バチカン放送)

 教皇フランシスコがマルタ訪問初日の2日午後、ゴゾ島の巡礼地、タ・ピヌを訪問され、祈りの集いを持たれた。

 およそ3千人の信者たちに迎えられてタ・ピヌの聖堂に到着された教皇は、聖堂内の礼拝堂に掲げられた聖母画に金の薔薇を捧げられ、信者たちと共に、聖母が願ったように「アヴェ・マリア」の祈りを3回唱えられた。

 次いで、教皇は聖堂前の広場での集いで、マルタの信者の代表者たちが語る信仰の体験に耳を傾けられ、説教で、「イエスの十字架上の受難の時、それは終わりではなく、新しい命の始まりをしるすものでした」とされ、「十字架上で私たちに両腕を開き、ご自身の死を通して、私たちを永遠の命の喜びへと導く、キリストの慈しみの愛を観想するように」と促された。

 そして、タ・ピヌのかつての小さな教会が、今や多くの巡礼者が訪れるマルタ共和国の国立巡礼聖堂となった歴史を思い起こされ、「ここでは人々は聖母に悲しみや喜びを託し、皆が受け入れてもらうことの喜びを感じることができます」と話された。そして、「失われたかのように思われたが、今、信仰と希望の再生の地となったこの場所で、私たちもイエスの時、救いの時への招きを受け入れ、信仰と教会の宣教を新たにしましょう」と呼びかけられた。

 さらに、霊的・司牧的豊かさに恵まれたマルタの教会の貴重な歴史に触れる一方で、「教会生活を”単なる過去の遺産”として生きるのではなく、”大きな未来の構築”に向かうものとするように」と願われた。

 また教皇は、十字架の下でイエスが、弟子ヨハネを御母に、御母をヨハネに託されたことに注目され、「教会の皆が唯一の家族として、互いに受け入れ合い、愛し合うことの大切さ」を指摘され、「互いを受け入れることは、キリストの名において、永遠の挑戦です」とされたうえで、「地中海の十字路に位置し、使徒言行録に記された素晴らしい人間性を持つマルタの人々が、これからも貧しさや暴力に苦しむ人々、困難にある人々を受け入れ続けることができるように」と祈られた。

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 タ・ピヌ巡礼聖堂の起源は少なくとも16世紀にさかのぼる。この時代、すでに聖母に捧げた小さな礼拝堂が建っていたが、完全に荒廃していたために、1575年、マルタを視察に訪れた教皇特使に取り壊しを命じられた。しかし、その作業が始まったとたんに作業員が腕を負傷した。これにしるしを見た人々は取り壊しを中止。後に、礼拝堂は小さな教会として修復・再建された。1883年に一人の農婦が「アヴェ・マリアを3回唱えてください」との聖母の声を聞いて以来、病者の快癒など特別な出来事が続き、さらに、1887年、ゴゾ島は奇跡的にコレラ感染を逃れたことから、タ・ピヌには次第にマルタ全土から信者が訪れるようになった。1931年、同地に新しい巡礼聖堂が献堂された。

 1990年、教皇聖ヨハネ・パウロ2世はタ・ピヌの巡礼聖堂を訪問している。教皇フランシスコが訪問したこの日、4月2日は、聖ヨハネ・パウロ2世の命日でもある。

(編集「カトリック・あい」)

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2022年4月3日