教皇フランシスコを支持する神学者、司教たちが批判勢力に対抗する書簡(TABLET)

(2017.10.18 Tablet  Christopher Lamb)

 ドイツ語を母国語とする神学者、司教たち100人のグループが、教皇フランシスコに対する‶異端〟批判の動きに対し、教皇支持の書簡を教皇に送った。

 教皇フランシスコが昨春に出した使徒的勧告「Amoris laetitia(家庭における)愛の喜び」の中で、離婚・再婚者の聖体拝領を認めることに柔軟な姿勢を示したことに対して、昨秋以来、欧米の保守派聖職者などから批判が出ていたが、先月には聖職者や学者など62人が、結婚と道徳生活に関して7つの異端的立場が示されている、とし「子としての義務を果たすために修正を求める」との要請文を教皇に送り、賛同者から1万人の署名を得ていた。

 これに対して、100人のグループは教皇に送った書簡で、教皇の司牧上の先導的な行為が強い批判を受けていることを認めたうえで、勇敢で神学的に健全な教皇の指導力を讃え、「短い間に、あなたは、イエスのもともとの意向に沿ったカトリック教会の司牧文化を作り直すことに成功されました。傷ついた人々、傷ついた自然はまっすぐにあなたのところに来ます。あなたは教会を命の瀬戸際における野戦病院と見ておられます。あなたの関心は神に愛された一人一人の人間にあります。他の人々に出会った時、律法ではなく、共感が決定的なものとなるのです」と訴えている。

 書簡の署名者には、ソ連の支配下のチェコで投獄の危険を冒して信教の自由を求める活動をし2015年にテンプルトン賞を受けた司祭のトマス・ハリク教授、オーストリア・アイゼンシュタット教区のパウル・イビー補佐司教、英国ダーラム大学のカレン・キルビー教授(カトリック神学)、米国ノートルダム大学のセリア・ディーン・ドラモンド教授(神学)などが名を連ねている。

 「子としての修正要請」は大部分が一般信徒だが、ローマの保守派消息筋によると、レイモンド・バーク枢機卿が他の枢機卿と教皇に対して「兄弟としての修正要請」を準備中、という。いつ、どのような形で発出されるのかはまだ不明だが、「子として・・」よりも重みをもつことになろう。

 バーク枢機卿は昨年11月に、Amoris laetitiaで示された離婚・再婚者への聖体拝領についての柔軟な姿勢についての質問状を仲間の3人の枢機卿と共に、教皇に送りつけている。教皇はこれに直接の返事は出していないが、先週行った「カトリック教会の教え」発刊25周年記念の講演で、「カトリックの教理は、進歩なしに保持されることができない」と言明している。

 教皇に対して修正を求めることについては、教会法上も問題がある。ローマの教皇庁立グレゴリアン大学のユーリッヒ・ロード教授(教会法)はTabletに「教皇に対して正誤を判定することはできない」と語り、「このことは、教会全体として、教皇を公式に裁くことは裁判所、会議、枢機卿、あるいはいかなる人によるものも禁じられており、法的効力も発生しない、ということを意味します」と説明した。

 また、誰にも「自分の意見を公表する」権利があるが、「教会の正当な権威をもった義務的な教えと勧告に従う限りにおいてだ」とも強調。さらにこう付け加えた。「枢機卿あるいは司教は、意見を公表しようとする場合、(叙階される時に)教皇に忠誠を誓ったことを思い起こさねばなりません。枢機卿や司教が教皇を批判するような質問をすることについて、教会法では明確な基準を定めてはいませんが、個人的あるいは当事者以外には秘匿する以外に、そうすることができるとは考えられません」。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

(Tabletはイギリスのイエズス会が発行する世界的権威のカトリック誌です。「カトリック・あい」は許可を得て翻訳、掲載しています。 “The Tablet: The International Catholic News Weekly. Reproduced with permission of the Publisher”   The Tablet ‘s website address http://www.thetablet.co.uk)

このエントリーをはてなブックマークに追加
2017年10月25日