◎「神への礼拝を隣人愛と一致させ、平和の構築者となるように」バーレーン・フォーラムで

(2022.11.4 バチカン放送)

 バーレーン訪問中の教皇フランシスコが4日午前、アワリのサヒール宮殿での「対話のためのフォーラム」の閉会式に出席された。イスラム長老評議会や平和的共存のためのキング・ハマド・グローバル・センターなどが中心となり、3,4の両日、「東洋と西洋の人類の共存」をテーマに開かれたもので、参加者たちは対話の橋の構築へ、人類の共存と人類の兄弟愛の推進、今日の課題に対する宗教者の役割、諸宗教対話、世界平和の追求等について考察した。

 教皇はフォーラム会場のサヒール宮殿で、ハマド・ビン・イーサ・アール・ハリーファ国王とアル=アズハル・モスクのグランド・イマーム、アフマド・アル・タイーブ師に迎えられ、宮殿の庭園で、国王と共に一本の木に水をそそぐ、という象徴的なセレモニーに参加された後、閉会式に臨まれ、諸宗教のリーダーや政治家を前にあいさつをされた。

 あいさつで教皇は、「バーレーン」の国名が「二つの海」を意味することに着目、「地が分かつものを、海が一つにする」という古い言葉を引用しつつ、様々な土地や人々を結びつけている海の水に思いを向けられ、「私たちの地球を高いところから眺めれば、それは異なる岸を同時に結ぶ広大な青い海として映り、その光景は私たちがただ一つの家族であることを起こさせるでしょう」と語られた。

 そして、「それにもかかわらず、今日の人類はかつてないほどに互いに”つながり”ながらも、一致とはほど遠い、かつてないほどの分裂を生きています… 東洋と西洋は、まるで対立する二つの海のように見ますが、私たちは、対立とは異なる、出会いと対話の針路をとりながら、一つにつながった海を旅するするためにここにいます」と強調された。

 さらに、「二つの恐ろしい世界大戦と一つの冷戦を経た後も、世界の各地で破壊的な紛争は続き、私たちは今にも崩れそうな均衡状態の中にあります… 世界の多くの人が食糧危機や環境問題、新型コロナウイルスの世界的大感染などで苦しむ一方で、ごく少数の権力者たちが自分たちの利益を得るための争いに没頭し、”人類の園”は皆に大切にされるどころか、”火遊び”の舞台となり、武器が人々に涙と死をもたらし、私たちの”共通の家”を灰と憎しみで覆っています」と指摘。

 そのうえで教皇は「こうした荒れる海を前に、神と兄弟たちに信頼を置く私たちは、人類のただ一つの海を無視し、自分の潮流だけを追う”孤立の思想”を退けるために、ここに集い、東西の対立の構図を皆の善のために改めながら、劇的に拡大するもう一つの分裂『世界の南北格差』にも注意を向け続けています」され、「宗教者たちの課題は、『互いに関係しながらも分裂している人類』が皆、共に航海できるよう力づけることであります」と説かれ、そのために必要なものとして、「祈りの精神」「女性や子供たちの保護も含めた市民の権利・義務と兄弟愛の教育」、そして「戦争や暴力にノーと言う力」を挙げられた。

 最後に教皇は、「創造主は、力ある者たちが注意を向けない人々、特に貧しい人々や、生まれてくる子どもたち、高齢者、病者、移民たちのために行動するように、と私たちに促しておられます」とされ、「私たちが、神への礼拝を兄弟や隣人への具体的な愛と一致させることで、共存と一致の預言者、平和の構築者となることができますように」と神の助けと照らしを祈られた。

(編集「カトリック・あい」)

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2022年11月5日