(解説)21人の新枢機卿、世界の周辺地域からも―教皇が予想外の”7月人事”(Vatican News)

Pope Francis announces a consistory for the creation of new cardinals on 30 SeptemberPope Francis announces a consistory for the creation of new cardinals on 30 September  (Vatican Media)

(2023.7.10 Vatican News  Andrea Tornielli)

 新しい枢機卿の多くが世界の”周辺地域”から選ばれ、叙任のための枢機卿会議が、世界代表司教会議(シノドス)総会の直前、9月に招集されることが注目を集めている。

 バチカン関係者の多くは、2023年がフランシスコによる9回目の新枢機卿叙任式で終わると確信していた。7月に枢機卿会議で21人の枢機卿の新任が発表されるとは誰も予想していなかったのだ。そして、新枢機卿叙任のための枢機卿会議が招集される9月末。 それは、シノダリティ(共働性)をテーマにした2期にわたるシノドス総会の1期目が開催される直前に当たる。

 21人の新枢機卿をみると、18人が80歳未満で、次の教皇選挙で選挙人となる可能性がある。教理、司教、東方教会の3省の新長官がそろってリストに載る一方で、世界各地の大司教の名前も並んでいる。

 米国とイタリアに駐在する2人のバチカン大使―77歳のクリストフ・ピエール大司教と76歳のエミール・パウル・チェリグ大司教―もリストに載ったが、現地駐在の大使が、枢機卿に昇格するのは2016年11月の駐シリア大使以来。2人に共通するのは、外交官としての任務の終わりに近づいている高位聖職者であること。特に注目に値するのは、米国の教会における新司教の選任で教皇と協力し、重要な役割を果たし、今後も果たし続けるといわれる「優れた平衡感覚」を持ったピエール大使の枢機卿入りだ。

 ラテン典礼教会初のエルサレム総大司教として枢機卿に選ばれたピエルバッティスタ・ピッツァバラ師も注目される。憎しみ、衝突、暴力の温床であり続ける地、聖地の卓越した「母」教会であるラテン典礼教会は、今や、国家の統治への関与においても功績を残してる。

 教皇の世界の 周辺部と最前線の教会に対する高い関心との関連では、昨年2月に訪問された南スーダン・ジュバのスティーブン・ムラ大司教、 南アフリカ・ケープタウンのスティーブン・ブリスリン大司教、タンザニア・タボラのプロタセ・ルガンブア補佐大司教の、アフリカ3大都市のカトリック教会のトップが枢機卿に選ばれた。

 ほかにも、香港の教区長に就任したばかりのイエズス会士、周守仁司教やサレジオ会のアンヘル・フェルナンデス・アルティメ総長も新枢機卿のリストに載った。

 80歳以上で新枢機卿に選ばれた人の中には、移民・難民の保護・司牧協議会の元議長のアゴスティーノ・マルケット大司教、第二バチカン公会議で顧問を務めた高齢のカプチン会修道士、懺悔司祭のルイス・ドリ師もいる。2人とも、 フランシスコが教皇選出前から懇意だった。

 9月30日の枢機卿会議での叙任式で教皇選挙権を持つ枢機卿の総数は137人となる。地域別の内訳は、欧州53人(うちイタリア15人)、北米15人(米11人、加4人)、中南米24人、アフリカ19人。 アジア 23 人、オセアニア 3 人だ。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2023年7月11日