・来年1月1日・第60回「世界平和の日」のテーマは「(AIなど)技術の”武装解除”、平和への奉仕:政治の予防責任」に

(2026.8.11  Vatican News   Alessandro Di Bussolo and Kielce Gussie) 

 バチカン総合的人間開発省は11日、2027年1月1日の第60回世界平和の日のテーマとして、教皇レオ14世が「技術の”武装解除”、平和への奉仕:政治の予防責任」を選定されたと発表した。

 同省の声明によると、教皇はこの「世界平和の日」のメッセージで、「政治の場で行動するよう召された者たちの道徳的責任」を強調することを強く希望され、「技術の非武装化」を第一歩として、一人ひとりの尊厳を促進し、平和の醸成に寄与するよう人類に呼びかけられる。

 そして、ご自身の回勅Magnifica humanitas第198項―「戦争を道徳的に容認しうるアルゴリズム(ある目的を達成したり、問題や課題を解決したりするための計算や作業手順)など存在しない」―を取り上げ、軍事上の判断などAIを用いることに関連するリスクについて、世界の国々、国際機関の指導者に対して強く警告。「人命や、民族間の平和的共存が危機に瀕している状況において、人間の責任と人道主義の原則を守ることのできる共通の合意」に努めるよう求めている。

 今年5月の回勅発表の際、教皇は、この200ページ近くに及ぶ文書が、「私たちの生活・活動の多くの分野に影響を与え、意思決定に関与し、『戦争の遂行方法を根本的に変えつつある新技術と人工知能(AI)』についてのバチカンにおける考察の成果であること」とされているが、特に、「AIは”武装解除”されねばならない」と指摘したことについて、「これが強い表現だと承知しているが、今この瞬間、人々の注意を引き、良心を呼び覚まし、人類が進むべき道を指し示すことのできる言葉が必要と判断し、意図的にこの言葉を選んだ」と説明されていた。

 また教皇は、教会が「平和と人類家族の尊厳への奉仕」として、これまで核軍縮に向けて取り組んできたことを強調したうえで、同じように、「今、AIも非武装化されねばならない。なぜなら、原子力と同様に、AIもすべての人々と共通善に奉仕せねばならないからです… 技術に関する決定は、良心と責任から、決して切り離してなされてはなりません」と強調。

 回勅で教皇は、平和を「単に戦争がない状態」ではなく、「正義が実践された状態」と定義されているが、「技術に対して、私たちが批判的感覚を弱めるとき、平和そのものが危険にさらされる。”武装解除”だけでは不十分。私たちは、平和を築き上げることに努めねばならない」と訴えられる。

 教皇は続けて、ご自身がペルーでの宣教活動中に洪水が起きた際に得た教訓について、「『再建』とは、単に『破壊されたものを新しいものに置き換えること』ではない。『絆を修復し、信頼を取り戻し、未来への希望を再び灯すこと』だ。また、誰も一人で『再建』はできない」と述べ、「こうした包括的な視点があって初めて、AIを共通善へと導くことができる。システムを設計する者と、その結果を背負う者、豊かな国と貧しい国、機関と個人、権力の中心と周辺にいる人、これらすべてが共に歩んでこそ、特権的な少数者のためではなく、人類家族全体のための未来を築くことができるのです」と強調される。

 

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

このエントリーをはてなブックマークに追加
2026年8月11日