・教皇、10月のアッシジ訪問時に新回勅 「Fratelli tutti(すべての兄弟)」ーバチカン発表(Crux)

(2020.9.5 Crux  SENIOR CORRESPONDENT Elise Ann Allen

 ローマ発ー新型コロナウイルスの大感染終息の展望が見えず、行動に大きな制約を受ける教皇フランシスコの今後が注目される中で、教皇が10月3日にアッシジを訪問され、その場で新回勅「 Fratelli tutti(すべての兄弟)」に署名されることが、公式に明らかになった。教皇フランシスコの回勅は、教皇就任直後の2013年6月の「Lumen Fidei((信仰の光)、2015年5月の「Laudato si’(ラウダート・シ――ともに暮らす家を大切に」に次いで三つ目となる。

 バチカン広報の発表に先立ち、アッシジの聖フランシスコ聖堂の責任者、エンゾ・フォルトゥナ―ト神父が5日に出した声明によると、教皇は10月3日にアッシジを訪問され、聖フランシスコの墓所で信徒が参加しない個人的なミサを捧げられた後、新回勅「 Fratelli tutti(すべての兄弟)」に署名される。バチカンのマテオ・ブルーニ報道官も5日、この内容を確認、新回勅は「友愛と社会的友好」に関するもので、教皇はその日のうちにバチカンにお戻りになる、と説明した。

 新回勅のタイトルは、聖フランシスコの説話集の第6巻にある「Let us all, brothers, look to the Good Shepherd who suffered the passion of the Cross to save his sheep(我らすべて、兄弟たち、羊を救うために十字架に掛けられた良き羊飼いに倣おう)」からとられた。

 この箇所ではさらに「主の羊は、苦難と迫害、侮辱と空腹、衰弱と誘惑、そして他のすべての中で、主に付き従った。それゆえに、永遠の命を主からいただいた」とし、 「だから、私たち神の僕にとって大きな恥は、聖人が(実際に)そうした苦難に耐えて得た栄光と名誉を、単に彼らの行いを詳述するだけで得たいと思うことだ」と語っている。

  教皇フランシスコが2013年に教皇に選ばれた時、兄弟姉妹関係の模範として聖フランシスコの名を取ったことを考えれば、それをテーマにした回勅を、アッシジで、聖フランシスコの祝日の前日に署名することを選んだのは、驚くようなことではない。教皇は、就任当初から、アッシジの聖フランシスコを社会正義の模範とし、特に、貧困、平和、友愛に関してそうして、祝辞を祝ってきた。

 教皇選出から数日後、5000人の記者たちを前にした教皇は、この13世紀の聖人の名をいただこうと思ったのは、教皇に選出されることが確実になり、祝福の抱擁をしたサンパウロ大司教のクラウディオ・ウンメス枢機卿から「貧しい人々を忘れないように」と言われた時だったことを明らかにした。そして、「その言葉は私に響きました-貧しい人、貧しい人、と。そしてすぐに貧しい人々のことを考え、アッシジのフランシスコのことを考えたのです。それから、全ての戦争のことを考えました。投票結果の整理がまだ続いている最中にです」と語り、「聖フランシスコは、私にとって『平和の人』でもあるのです」と付け加えた。

  そして、「それが、教皇の名前として私がフランシスコを選んだ顛末です。私にとって、彼は貧しさの人、平和の人、被造物を愛し、保護する人です」と強調し、聖フランシスコを「貧しい教会を望む貧しい人」としたうえで、「私は、貧しく、貧しい人々のための教会をための教会をどれほど愛しようとしていることでしょう」と訴えた。それ以来、貧困と不平等との闘い、兄弟愛の絆を新たにすることによる平和の追求、そして環境への配慮は、すべてフランシスコの教皇職の主題となった。

 世界のカトリック教会はじめキリスト教諸教会が参加する「被造物の季節」月間は、アッシジの聖フランシスコを記念する10月4日で終わりを迎える。新回勅の署名は、その締めくくりの日の前日に行われるが、その月間は、来年まで続く、教皇が2015年に出された環境回勅「Laudato Si」5周年の記念年の一部でもある。したがって、新回勅には、環境問題だけでなく、他の社会正義に関するテーマも盛り込まれる可能性がある。

 フォルトゥナ―ト神父は、Cruxの取材に対して、教皇のアッシジ訪問は「大きな意味を持ちます。なぜなら、教皇が、聖フランシスコと友愛についての聖霊によって与えられた預言の核心にあたる文書に署名されることになるからです」と語り、フランシスコは「私たちに、人々とその尊厳を守ることの重要性を教えています。そして、教皇フランシスコは、新回勅を策定される時に、このことを認識し、考慮されているのだと思います」と述べた。

 そして、新型ウイルス大感染の後の世界で、「この友愛という感覚は、従来よりも重要性を大きく増しており、それは隣人であることを意味し、共にいて、互いに愛し、敬意を払うことを意味しています」と語った。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

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2020年9月6日