・信徒は増えているが、司祭は減り、司教は増加―世界のカトリック教会の最新統計発表

Catholics gather in Yangon's Cathedral in Myanmar for MassCatholics gather in Yangon’s Cathedral in Myanmar for Mass  (AFP or licensors)

 

 

⇒日本では、2024年8月の司教団の最新統計によると、司教一人当たりの信者数は日本の15教区全体で2万7874人、教区別では大分教区が5833人で最も少なく、最も多い東京教区でも9万4855人。世界的にみれば、かなり”過剰”といえるようだ。(「カトリック・あい」)

*司祭は欧州中心に全世界で前年比0.2%の減少、アフリカ、アジアでは増加

 

 司祭の数を見ると、2023年末時点で、世界3041の司牧区域に40万6996人で、前年末比で0.2%減の734人。地域別では、アフリカが2.7%、アジアが1.6%、それぞれ増えているのに対し、欧州が1.6%と最も減り方が大きく、ついでオセアニアが1.0%減、南北アメリカが0.7%減となった。

 教区司祭と修道司祭に分けてみると、アジアとアフリカでは、教区司祭と修道司祭の両方が増えている。特にアフリカでは、教区司祭の約3.3%増と大きく増え、修道司祭の1.4%増を上回った。南北アメリカでは、中南米での増加が際立っている。これに対して欧州では、教区司祭と修道司祭のいずれもが減っており、オセアニアでも減少率は若干低いものの、同様の傾向が見られる。

 2023年の地域別司祭が世界の総数に占める割合は、欧州が38.1%が依然、最も大きく、南北アメリカが29.1%、アジアが18.2%、アフリカが13.5%、オセアニアが1.1%の順となっている。

 地域別の司祭数の全世界の総数に占める割合を信者のそれと比べることで、司牧の需要と供給の均衡、不均衡を浮き彫りになるが、2023年の状況を見ると、北米では司祭数の世界全体に占める割合が10.3% に対し、信者数の割合は6.6%、欧州は38.1% に対し20.4%、オセアニアは1.1% に対し0.8%と、司祭数が世界の総数に占める割合が、信者の割合を上回っている。これに対して、司祭の不足が、この比較で明確に現れているのは、南米で、司祭12.4%に対し信者27.4%。アフリカも13.5%に対して20.0%と不均衡が目立つ。

*終身助祭は2.6%増だが、特にアフリカ、アジアでは司祭不足を補うには足りない

 司祭の減少が続く中で、終身助祭の増加が顕著だ。2023年には、2022年の5万150人から2.6%増え、5万1433人。ただ、地域別には大きな差が出ており、オセアニアが前年比10.8%、南北アメリカ3.8%それぞれ増えているのに対し、アフリカと欧州では微減。世界の終身助祭の総数に占める地域別割合をみると、南北アメリカ、特に北米が39%、欧州が31%で、この二つの大陸で7割を占めている。

 司祭と終身助祭の比率をみると、2023年現在の全世界平均の司祭100人当たりの終身助祭の数は13人。地域別では、アジアが0.5人と最も少なく、南北アメリカは最高の29人と最も多い。欧州は約10人だが、アフリカではわずか1人だ。

 司祭不足の中で終身助祭の司牧の役割は重要になってきており、特に司祭一人当たりの信者の多い地域でその数が増える傾向にあることが確認されたが、現状の数字を見ると、特にアフリカ、アジアなどで役割に見合う貢献をするには、まだその数は少ないことが明らかだ。

 

*修道者の数はアフリカ以外、欧州もアジアもすべての地域で減っている

 

 司祭でない修道者と修道女の減少は、長年にわたって続いてきたが、2023年には減少のペースが鈍化している。

 特に、司祭でない修道者については、アフリカでは2022年から2023年にかけて増えた。他のすべての地域では減少が続いているが、南米での減少は鈍化、中央アメリカでは安定状態にあることは強調に値する。司祭でない修道誓願者の相対的な割合を各地域で経年でみると、欧州で2023年も減少が続いている。

 修道女の数も2023年には減少が続いた。世界全体では、2022年の59万9228人から2023年には1.6%減の58万9423人。世界の総数の地域別割合では、欧州が32%、次いでアジアが30%、南北アメリカ大陸が23%、アフリカが14%、オセアニアが1%となっている。

 世界的に修道女の数が減少しているのは、高齢修道女の割合が高いことから、死亡数が大幅に増加していることが主な原因。一方、修道生活を放棄する修道女の数は、2年間にわたってそれほど大きな変化は見られなかった。

 地域別の変化を見ると、アフリカでは前年比2.2%の大幅な増加が記録され、次いで東南アジアで0.1%の増加。一方、北米では3.6%減少、南米でも3%の減少となったが、アメリカ大陸中央部および中央アンティル諸島では減少は緩やか。欧州は3.8%と大幅減を続けている。

 この結果、2022年から2023年にかけて欧州と北米の修道女の世界の総数に占める割合は低下し、アジアとアフリカにの割合が相対的に高くなった。2022年には欧州と南北アメリカの修道誓願者の総数が世界の総数の55.8%を占めていたが、2023年には54.8%に減少した。対して、東南アジアは28.7%から29.2%、アフリカは13.9%から14.5%へ割合を高めている。

 世界的に減少傾向にあることや、いくつかの大陸地域で減少しているにもかかわらず、修道女の数そのものは多く、その総数は司祭の総数の1.45倍で、キリスト教共同体の活動への彼女たちの貢献は依然として大きく、時には司祭の役割を代行することさえある。

 

*神学生の減少も欧州、アジアなど、アフリカ以外の全地域で続いている

 

 司祭の候補である神学生数は、全世界で2012年以降、減少を続けている。総数でみると、2022年の10万8481人から1.8%減って2023年には10万6495人となった。地域別では、前年比で1.1%増えたアフリカを除くすべての地域で減少。欧州が4.9%減となったほか、アジア4.2%減、南北アメリカ1.3%減となった。オセアニアは微減。

 地域別割合は、緩やかな変化しており、アフリカとアジアが世界の総数の61.0%を占めていた2022年から2023年には61.4%に上昇。オセアニアではわずかに低下。南北アメリカと欧州を合わせた割合は、2022年の38%から2023年に37.7%に落ちた。

 神学生数と信者数の世界の総数に占める割合を地域別にみると、著しい格差が出ている。

 アフリカが神学生32.8%に対して信者20%、アジアが28.6% 対 11%と神学生の割合がカトリック信者の割合を上回っており、地域における使徒職を自立的に維持する条件が満たされている傾向にあると判断できる。一方、、欧州と南北アメリカでは、神学生数の世界の総数に占める割合が信者数の割合より低く、欧州は12.0%に対して20.4%、南北アメリカでは25.7%に対して47.8%。聖職者の世代交代という観点から、信者のニーズに適切に対応することがより困難になっているのが見て取れる。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

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2025年3月21日