・今年3回目の枢機卿顧問会議(C9)、「女性の教会での役割拡大」「未成年者保護」など協議して閉幕

(2024.6.18  Vatican News   Alessandro De Carolis)

  今年3回目の枢機卿顧問会議(C9)が17、18両日、教皇フランシスコ出席のもとに行われ、教会における女性の役割と未成年者の保護の問題に焦点が当てられた。

 教会における女性の役割では、「女性について」ではなく「女性と共に」考えることが、考察と議論のテーマとなり、初日の17日には、修道女と二人の大学教授2人が基調報告を行った。

 バチカン報道局が18日発表したところによると、報告者はシスターLinda Pocher、南スイス応用科学芸術大学のValentina Rotondi教授、イタリアのピアセンツァのアルベロ―ニ神学研究所のDonata Horak教授。Rotondi教授は、「世代間の深い関係という文脈で、経済をケアと適切な管理としてとらえるというビジョンを強調」し、Horak教授は「教会法に関するより広範な考察の文脈で、正義と慈悲、協議権と審議権、階層原理と聖体拝領の教会論、民主化と君主制モデルなど、さまざまな二律背反」を指摘した。

 発表によると、これを受けた会議の議論では、キンシャサ大司教のフリドリン・アンボンゴ・ベスング枢機卿が、C9がテーマとしてこれまで4回にわたって女性の役割を取り上げたことを振り返り、「私たちの教会では、ミサに参加する信徒の半分以上が女性であるにもかかわらず、教会で責任を持たされる女性はほとんどいない」としたうえで、「教会における女性の役割をもっと広げていかねばならない、ということが、これまでの基調報告や議論を通じて改めて明らかになった… 教皇が言われるように、『教会は女性』であり、教会共同体で『母性』が重視されなければならない」と述べた。

 またボンベイ大主教のオスワルド・グラシアス枢機卿も、女性の教会における役割の重要性を高めていく必要があることに同意し、「私はインド出身だが、インドの一部の地域では女性の重要性は低く、『二流』扱いされている。今、教会はそれを改め、女性に、家族、社会、政治における適切な地位を与えるよう取り組んでいる」と説明。教会における女性のリーダーシップには「多くの可能性がある。私の経験では、女性は、男性が考えない視点で問題に対処できることを何度も経験している。女性の教会における役割の拡大に大いに期待している」と語った、という。

 2日目、18日の協議では、ボストン大司教のショーン・パトリック・オマリー枢機卿による「未成年者保護委員会の活動によって開かれた保護の分野での展望」に関する報告も行われ、グラシアス枢機卿は、この分野における「司教会議の活動と運営方法」に焦点を当てた意見を述べた。

 最後に、「公会議の枢機卿たちが出身する世界各地の状況、特に現在起こっている紛争」に焦点を当てた意見交換もされた。次回は今年12月の予定。

 枢機卿顧問会議のメンバーは2023年3月7日に刷新され、現在は以下の枢機卿によって構成されている。国務長官のピエトロ・パロリン枢機卿、バチカン市国およびバチカン市国行政区の教皇庁委員会の議長フェルナンド・ベルゲス・アルザガ枢機卿、キンシャサ大司教のフリドリン・アンボンゴ・ベスング枢機卿、ボンベイ大司教のオスワルド・グラシアス枢機卿、ボストン大司教のショーン・パトリック・オマリー枢機卿、バルセロナ大司教のフアン・ホセ・オメラ・オメラ枢機卿、ケベック大司教のジェラルド・ラクロワ枢機卿、ルクセンブルク大司教のジャン=クロード・オロリッシュ枢機卿。およびサンサルバドルデバイア大司教セルジオダロシャ。書記はクレシマの名誉司教マルコメリーノ司教。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2024年6月18日