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以下はCruxの記事.
(2019.11.14 Crux Elise Harris)
ゲレーロ師が新長官に就任するのは新年の1月。任命発表は、初代長官で前任のジョージ・ペル枢機卿が未成年性的虐待による有罪判決を不服として二度目となる上告をオーストラリアの裁判所から認められた翌日に行われた。
1959年にスペインのメリダで生まれたゲレーロ師は1979年にイエズス会に入会、1992年に司祭に叙階された。経済学、哲学、神学の学位を持ち、南米、フランス、米国で学んでいる。2008年にスペインのカスティーリャ管区長、2014年にモザンビークに派遣され、イエズス会の現地本部の会計とプロジェクトコーディネーター。2017年からローマのイエズス会本部で総務・管理の責任者を務めている。
今回の任命についてゲレーロ師は「教皇から直接、連絡を受けました。あまりに突然のことで言葉を失いました。でも、私に与えられた使命に感謝しています」としたうえで、バチカンのアウトサイダーであることを認識し、新しい世界に入りつもりで、担当の職務に専念し、時間をかけてバチカンの他の部署との関係を作っていきたい、と抱負を述べた。
教皇フランシスコは就任当初から主要課題としてバチカンの財務・金融改革を掲げ、その大役を担うポストとして財務事務局長官を新設、初代長官にペル枢機卿を就けた。だが、枢機卿は長官就任から間もなく、1990年代に母国の教会聖歌隊の2人の少年に性的虐待を働いたとして起訴され、2017年に休職に追い込まれ、その後、有罪判決を受けて退任。オーストラリア高等裁判所に控訴したが却下され、さらに最高裁判所への上訴が13日認められたが、有罪判決が取り消される可能性は低い。
長官ポストが長期に空白となり、肝心の財務・金融改革も目立った進展を見せない中で、一時は後任の長官に財務事務局の女性幹部が取りざたされていた。その意味でも、今回の人事は予想外で、バチカン関係者の多くから、「力量不足だが、教皇の盟友のイエズス会士である人物が、バチカンの重要ポストに就いた。真の改革が進む可能性は低い」と不満の声が出ている。
ゲレーロ師はバチカンのアウトサイダーだが、イエズス会士として教皇と密接であり、経済学の知識という強みがある。今回の人事で、バチカンの財政・金融改革が再び軌道に乗るかどうかは、未知数だ。
(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)
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