・パロリン国務長官、キーウでゼレンスキー大統領と会見、教皇の寄り添いと和平への努力を強調

(2024.7.23 バチカン放送)

 ウクライナを訪問中のバチカンの国務長官、ピエトロ・パロリン枢機卿が23日、キーウでゼレンスキー大統領と会見した。バチカンの国務省によると、パロリン枢機卿はこの会見で、「教皇の寄り添いと、苦しむウクライナのために正しい恒久の平和を見出す努力」を強調した。

 ゼレンスキー大統領が教皇特使を迎えるのは、昨年6月、ボローニャ大司教でイタリア司教協議会会長のマッテオ・ズッピ枢機卿のウクライナ訪問時以来となる。一方、教皇フランシスコは、今年6月14日、人工知能(AI)をめぐりスピーチを行うために、イタリア・プーリアで開催された先進7カ国首脳会議に招かれた際、会場でゼレンスキー大統領と個人会談を行なっている。

パロリン枢機卿、キーウの小児科病院を訪問

 ウクライナ訪問中のバチカン国務長官パロリン枢機卿は23日、今月8日のロシアのミサイル攻撃で深刻な被害を受けたキーウの小児科病院を訪れた。

 パロリン枢機卿が訪問したオーマトディト小児病院は、ウクライナの小児科専門施設として最も大きいものであるが、今月8日のロシアのミサイル攻撃で、医師1名を含む2人の死者、子ども8人を含む50人の負傷者を出した。また、施設の破壊で、当時627人いた患者のうち、94人はキーウの他の病院に移された。

 パロリン枢機卿は、ビクトル・リャシュコ保健相と病院関係者の説明を受けながら、同病院を訪問。病院の外部では、攻撃による深刻な被害を前に足を止めていた。

 病院内では、同枢機卿は入院中の子どもたちや両親らを励まし、医師をはじめ医療関係者に感謝の言葉を述べた。また、病院責任者らと、バチカンが運営するバンビーノ・ジェズ小児科病院との協力について話し合ったという。

 同日、パロリン枢機卿は、キーウ市内の聖ソフィア大聖堂への訪問も行った。

パロリン枢機卿、ウクライナ・ベルディチェフの聖母巡礼聖堂でミサ

  ウクライナを訪問中のバチカン国務長官、ピエトロ・パロリン枢機卿は21日、ベルディチェフの聖母巡礼聖堂でミサをとり行なった。

 カルメル山の聖母に捧げたベルディチェフの巡礼聖堂は、ウクライナのカトリック共同体の精神的拠り所の一つとなっている。

 教皇フランシスコの特使として、パロリン枢機卿が司式したこのミサは、同国のラテン典礼のカトリック信者たちがこのたび行った巡礼行事を締めくくるものとなった。このミサは巡礼聖堂の内部で捧げられたが、聖堂の外でも多くの巡礼者がミサに与り、共に平和を熱心に祈った。

 パロリン枢機卿はミサ中の説教で、悪がまさるかのように見え、戦争がもたらす恐怖、多くの犠牲者と大規模な破壊がもたらす苦しみが信仰を危機に陥れ、もはや祈る力さえない時でも、決して神における信頼と希望を失わないように、と信者らを励ました。

 また、十字架につけられたキリストを見つめるように招いた同枢機卿は、罪が勝利し、神の救いの計画は失敗に思われたまさにその時、復活の輝ける朝日が光を放った、と述べ、たとえ復活の地平線を見出すことが容易ではなくても、最後に勝利を見るのは死ではない、と強調した。

 終わりに同枢機卿は、子どもと若者たちが平和で確かな未来を持ち、家庭が愛の炉床となり、お年寄りと病者が苦しみの中で慰められ、祖国を防衛する人たちが悪から守られ、戦争捕虜が家族のもとに帰り、犠牲者たちが天国に迎え入れられるようにと、聖母の取り次ぎを信者たちと祈った。

(編集「カトリック・あい」)

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2024年7月25日