・バチカン警察が教皇庁の国務省を家宅捜査(La Croix)

(2019.10.3 LaCroix Rome VaticanCity  Nicolas Senèze)

*教皇フランシスコが疑惑解明へ徹底捜査を要請

 バチカン警察は1日、教皇庁の国務省総務局および金融情報室の家宅捜査を実施した。捜査は、今夏の初めに宗教事業協会(通称”バチカン銀行”)と監査役室から出された告発を受けたもので、バチカン市国の検察官の許可の下に行われ、国務省幹部にも通告された。

 バチカン広報の発表では、今回の捜査は「過去になされた金融業務」に関するもの、とだけしか説明がされていない。

 これに関して、2日付けの週刊紙 L’Espressoは、今回の家宅捜査はロンドンでの不動産取引疑惑に関連して行われた、とし、聖座の主要な資金源の一つである the Saint-Pierre Penceの管理運営も問題にされており、それが、教皇フランシスコの徹底捜査による疑惑解明要請、という速やかな対応がなされた理由だ、と報道した。

*金融情報室長ら国務省の職員数人のバチカン立ち入りを禁止

 また同紙は、バチカン市国の憲兵隊が、国務省のトマソ・ディ・ルーザ金融情報室長と職員数人のバチカン内への立ち入りを禁じた書類をスクープした。幹部の中には、アンジェロ・ベッキウ枢機卿が国務長官代理だった時に秘書を務めたマウロ・カリーノ師も含まれている。

 同師はこの夏、国務省と聖座のメディア部門のやり取りを監視し、公文書類の管理をする権限を持つ情報・文書管理室の室長に任命されていた。この人事は、昨年夏に教皇フランシスコを非難、辞任を求めて問題になったマリア・ビガーノ前駐米大使(大司教)の甥にあたるカルロ・マリア・ポルバーニ師の後任のポストにあった。ポバーニ師は、バチカンを批判する爆弾情報を持っていると公言し、教皇庁の文化評議会の次官を解任されていた。

 

*国務省内の頻繁な人事発令…

 教皇庁国務省の総務局はカトリック教会で現在起きている問題すべてについてに責任を持つ部署で、教皇の公設秘書を出し、教皇庁の業務を調整・統括する。国務長官の指揮のもとに局長代理を務めるのは昨年8月に任命されたエドガー・ペーニャ・パラ大司教で、この何週間かの間に、長年同じポストを務め、前の局長代理と親しかった何人かの上級幹部を退任させる人事を行っていた。情報・文書管理室の人事異動に加えて、総務監査室についても、室長のパオロ・ボルジア師が先日、コートジボアール大使となり、教皇によって司教に叙階されている。

 その他の人事では、職員が捜査対象になっている国務省の行政管理室にも新室長が選任されており、重要な外交官ポストでも大規模な異動が進められている。

 聖座の財政・金融関係の諸部門では、性的虐待で有罪判決が出たジョージ・ペル枢機卿の後任の財務事務局長官など、いくつかの人事異動の発令が棚上げされている。財務事務局長官には同事務局のクラウディア・チオッカ規制・管理部長の名が挙がっているが、彼女は以前、国務省で歳出管理の業務についていた。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

(注:LA CROIX internationalは、1883年に創刊された世界的に権威のある独立系のカトリック日刊紙LA CROIXのオンライン版。急激に変化する世界と教会の動きを適切な報道と解説で追い続けていることに定評があります。「カトリック・あい」は翻訳・転載の許可を得て、逐次、掲載していきます。原文はhttps://international.la-croix.comでご覧になれます。

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2019年10月5日