・バチカンの使徒座管財局(APSA)が2025年度決算発表―純資産は約27億ユーロ(約4900億円)に増加

(2026.7.31 Vatican News    Edoardo Giribaldi)

 バチカンの不動産と動産を管理運用し、活動や奉仕のための原資を供給する使徒座財産管理局(APSA)が31日、2025年度決算を発表した。それによると、営業利益は2280万ユーロ(約41億5000万円)、純資産は8900万ユーロ増えて26億8600万ユーロ(約4900億円)となった。

 APSAの優先課題は、教会の財産を保護・強化すると同時に、バチカンの諸サービスを確実に提供し続けることにあるが、局長のジョルダーノ・ピッチノッティ大司教は、Vatican Newsに対して、「フランシスコ教皇の逝去とレオ14世教皇の就任という出来事があった特別の年に、バチカンの諸サービスの完全な継続と安定を確保し、聖座に奉仕する機関としての役割を確固たるものにすることができた」と述べている。

また2025年度の営業利益は2280万ユーロで、前年度の6220万ユーロから大きく減った形になっているが、ピッチノッティ局長は、「前年度は、投資ポートフォリオの再編に伴う収益が膨らんだという特別の事情があり、2025年度は通常の運営状況への回帰したもので、指標としては良好」と説明した。

 

*資産運用先は、債券32%、金地金29%、株式は17%に抑える

 さらに、「最も注意を払うべき数字は投資ポートフォリオに関するもの」とし、財務諸表上は370万ユーロの会計上の損失が計上されているが、これは、主に聖座の新しい会計基準である『バチカン財務管理方針(VFMP)』が適用されたことによる。同方針で、資産運用の価値変動を損益計算書ではなく、純資産に直接計上することにされたためだ」と指摘。

 「資産運用で実際に上げた約1600万ユーロの利益は、損益計算書を経由せず、純資産内の準備金として直接計上されるようになった。このため、会計上の結果(370万ユーロの損失)と、約1260万ユーロのプラスを維持している資産運用の結果との間に、当然の乖離が生じたが、これは、透明性と慎重な会計処理の観点から下された判断。その1600万ユーロは失われたわけではなく、バチカンの行政機関の純資産を強化するために直接計上されたのだ」と説明。

 そして、「APSAの使命は、毎年利益を生み出すことではなく、委託された資産を保全し、強化することにある。投資は投機的な手法で利益を追求するものではなく、高いリスクを冒すものであってはならない」とし、「2025年度では、最大限の慎重さを指針として、運用資産の株式への投資は限定的(約17%)なものとし、債券への投資は32%、金地金への投資は29%であり、適切な流動性を確保している。自己運用の全体としての利益率は14.37%」と語った。

 この堅実な資産運用は、数値によって裏付けられ、純資産は前年度比約8900万ユーロ増の26億8600万ユーロに達した。この増加は主に、運用資産の中の金地金の再評価(4080万ユーロ増)、不動産価値の上昇(3920万ユーロ増)、および有価証券の再評価(1,630万ユーロ増)によるものであり、その他のマイナス要因による相殺はごくわずかだった。

*不動産投資では4450万ユーロの利益

 

 不動産部門は通常業務の主な牽引役となり、効率的な管理、営業収益の増加、および維持管理費の合理化により、前年度より940万ユーロ改善して4450万ユーロの利益を計上した。

 APSAが管理している不動産物件はイタリア国内が4281、ロンドン、パリ、ジュネーブ、ローザンヌの約1200の物件は完全子会社を通じて管理している。2025年度は、不動産ポートフォリオの価値向上に向けた取り組みが強化され、非戦略的不動産の処分および都市計画・地籍記録の正規化を目的とした3カ年計画(2025~2027年)が開始された。これにより、収益性の高い資産への再投資に向けた資金を捻出することを目指している。

*聖座への奉仕:拠出金と財務諸表に表れないものがある

 またピッチノッティ局長は、「APSAの第一の関心事は資産の保護だが、それと切り離せないものとして、聖座が依存するサービスを保証することがある。教皇庁のニーズを賄うために求められた拠出金2270万ユーロを全額支払った。これは、教会の使命に対して同庁が提供する構造的な支援を具体的に裏付けるものだ」と述べた。

 その一方、「しかし、おそらくこの奉仕活動の中で最も重要な部分は、財務諸表の数値には表れていない。APSAの職員の約40%は、聖座の他の機関のために働き、そのサービスは大部分が無償で提供されている。APSAは聖座の中央調達機関としての役割を果たしており、77の機関の会計管理を行い、5万件以上の支払いを処理し、他のバチカンの部門が使用する不動産を含む全不動産資産の維持管理を監督している。これらの活動には時間と人員を要するが、財務諸表に計上できる収益を生み出すわけではない。それでも、これらは教皇庁の行政上の”大黒柱”を成している」と強調した。

*2025年は「単なる管理の年」ではなく、「築き上げる年」だった

 APSA局長は、2025年度を振り返り、「2025年は単なる管理の年ではなく、築き上げる年でだった」と述べ、具体的な事業として、バチカンの東方教会省との不動産資産管理に関する協定の締結、 不動産価値向上計画の立ち上げ、そして2026年に向けて進行中のプロジェクト―回勅『Laudato si’』にインスピレーションを得たサンタ・マリア・ディ・ガレリアでの「フラテッロ・ソーレ」農業用太陽光発電プロジェクトから、ドムス・パオロ6世の再開発に至るまで―は、「持続可能性と倫理的原則に導かれた、将来の収益性に焦点を当てたビジョンを物語っている」としている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

このエントリーをはてなブックマークに追加
2026年8月1日