・カリタス・ウクライナなど国際組織は今も、ロシア占領地域から避難するウクライナの人々を支援している

Caritas Ukraine, KyivCaritas Ukraine, Kyiv 

(2026.5.26  Vatican News   Svitlana Dukhovych)

  ロシアによる軍事侵略が今も続くウクライナ。ロシアの占領地域で苦難にあえぐ人々が脱出に利用できる唯一の人道回廊はモクラニ-ドマノヴェ国境検問所。ここ1年間でカリタス・ウクライナなど国際支援組織が2500人以上の避難民を支援してきた。

 ロシアに占領された地域から脱出し、ウクライナ政府の支配下にある地域に逃れるために人々がたどらねばならないルートには、皮肉な現実がある。ウクライナへ直接入国するのではなく、ロシアとベラルーシを経由して移動することを余儀なくされているのだ。

 数千キロに及ぶ旅路、数え切れない手続き、そして何時間にも及ぶ検査を経て、彼らはようやくベラルーシとの国境にあるヴォリン州のモクラニ・ドマノヴェ国境検問所に到着する。

 ここは、今日でもウクライナの人々のために唯一機能している人道回廊だ。ウクライナに入国する頃には、多くの人が疲れ果て、トラウマを抱え、緊急の支援を必要としている。

 彼らを支援する人道支援団体の一つがカリタス・ウクライナ。2025年2月からこの国境検問所で活動している。「私たちの活動は、人々のニーズと、彼らが到着した際の状況から始まります」と、カリタス・ウクライナの副代表グリゴリー・セレシュチュクは説明した。

 「当初、ニーズは非常に現実的なものでした。人々は旅を続ける手段も、交通手段へのアクセスもないまま国境に到着していた。そこで私たちは、特に一人旅の高齢者や、移動に支障があり、自力で移動の困難を乗り越える手段を持たない人々のために、移動の手配をしました。占領地域からの旅は、乗り換えを何度も繰り返すため、3日、4日、あるいは5日もかかる。それは長く、極めて過酷な旅です。人々の尊厳を大切にしながら、これらのニーズに応え、彼らが歓迎され、認められていると感じられるようにすることが不可欠でした」。

国境沿いの人的悲劇

 セレシュチュク氏によると、時が経つにつれ、他の緊急のニーズも明らかになってきた。多くの人々はウクライナ国内を移動するための切符を買うお金を持っていなかったため、代わりに切符を購入した。同時に、列車やバスを待つ時間は3時間、5時間、あるいは7時間にも及ぶことがあった。その間、温かい食事や何か食べ物を提供することは、人々に少なくともわずかながらも気遣いともてなしを感じてもらうための重要な手段となった。

 「14歳と16歳の2人の子供を連れて、占領地域から脱出できた女性がいました」と彼は振り返った。「夫は現地で亡くなり、書類はすべて焼失していた。彼女は子供たちだけを連れてここに到着しましたが、次に何をすべきか、どこへ行けばいいのか分からず、書類も何も持っていなかった」。

 このような場合、カリタスのケースマネージャーや危機対応カウンセラーが、国境に到着した人々の宿泊先探しを支援する。また、身分証明書の再取得を支援するための法的支援を提供し、身元確認や生活再建を可能にするため、ウクライナの公文書アーカイブを調査する。

心理的支援

 「私たちは心理的支援も行っている」とカリタス・ウクライナの副代表は強調した。「多くの人々が、強い不安を抱え、方向感覚を失い、混乱した状態で到着するからです。中には、2022年以前から、ウクライナ政府が支配する地域に何年も足を踏み入れていなかった人々もいました。また、国境にたどり着くまでに、様々な検査や選別手続きを受けねばならなかったことも、わかっています。彼らは深い恐怖と緊張を抱えた状態で到着する。だからこそ、心理的支援は不可欠なのです」。

 モクラニ・ドマノヴェ国境検問所で、カリタス・ウクライナは人権擁護官事務所と緊密に連携している。「このネットワークを通じて、私たちは、脆弱な立場にある人々、医療支援を必要とする人々、あるいは移動に制限のある人々に関する多くの報告を受けています… 私たちはこうしたケースの責任を引き受け、人々が宿泊先を見つけられるよう手助けし、ウクライナで必要なサービスを利用できるよう支援しています。人々が当面のニーズを満たし、ある程度の自立を取り戻すための最低限の資金を確保できるよう、初期の金銭的支援も行っています」。

 支援活動にはカリタス・ウクライナだけでなく、複数の組織が関わっており、資金が常に継続的に確保できるとは限らず、利用可能であるとも限らないため、協力体制が不可欠だ。ある組織に資源があり、別の組織にない場合、一種の引き継ぎと相互支援が行われる。こうしたパートナーシップのおかげで、カリタスは1年間で2500人以上を支援することができた。「4人の小さなチームにとって、これは途方もない取り組みです」。

 先週5月19日、ウクライナ・ベラルーシ国境のモクラニ・ドマノヴェ検問所を、ウクライナ人権委員のドミトロ・ルビネツ氏が率いる約30カ国の大使館代表団が訪問した。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)や国連児童基金(ユニセフ)の高官を含む国連関係者も同行した。

  「この取り組みの目的は、非難する人々の旅路と、関わる人々が直面する過酷な状況を伝えることにあります。特に、占領地域から到着する子どもや若者たちの支援が重要。カリタスの支援対象者だけでも未成年者が400人近くいるため、これは極めて重要な問題です」とセレシュチュク氏。彼らが安全にウクライナに避難できる仕組みを構築することは不可欠だ。カリタス・ウクライナは「セーブ・ウクライナ」と協力し、子どもや若者向けのプロジェクトを実施している。

 「目標は、ウクライナ政府が支配する地域への移送を円滑にし、書類の再取得や日常生活への再統合を通じて、彼らの社会復帰を支援することだ」とセレシュチュク氏は説明した。「彼らがウクライナで学業を続けたり、将来を築いたりしたいと望むなら、私たちはその道のりを共に歩みます」。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

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2026年5月27日