・ウクライナ紛争を「終わらせ、その先を見据えることが急務」バチカンの外務局長が訪露、ラブロフ外相との会談で強調

(2026.8.26  カトリック・あい)

 訪露中のバチカン国務省のギャラガー外務局長が25日、モスクワでラブロフ外相と、ロシアのウクライナ侵攻開始以来初めての会談を持った。

ロシアのラブロフ外相と会談したバチカン(ローマ教皇庁)のギャラガー外務局長(外相、大司教)。

 ロイターなど内外の報道機関の報道によると、会談で外務局長は、4年半に及んでいるロ​シアとウクライナの戦争が続く限り、⁠「日々、新たな犠牲者が生み出され、将来の和解​がますます困難になっている」と指摘した。

 会談後の共同会見でも、外務局長は、「紛争を終わらせ、その先を見据えることが急務か​つ必要だ」と強調。バチカンは戦争を終わらせるため「対話に貢献​し、その場を​提供する⁠ことで、精神的、外交的、人道的に強力な支援を続けていく」と述​べた。

 会談後の共同会見で、ギャラガー外務局長は、「双方の間に大きな隔たり」があることを認めつつも、真摯な交渉、民間人の保護、そして捕虜、行方不明者、家族と離ればなれになった子どもたちをめぐる人道協力の重要性を訴えた。 また、会談ではウク​ライナ和平に向けた道筋について協議し、戦争の影響‌を受⁠けた子供たちのケアといった人道問題で協力することで合意したことを明らかにした。

 またラブロフ外相も共同会見で、「デリケートな子どもに関する問題についてバチカンと協力を継続する」と表明した。

・・・・・・・・・・・・・・・・

(2026.8.26 Vatican News   Stefano Leszczynski – Moscow)

 モスクワのロシア外務省で25日行われた二国間会談で、バチカンの国務省外務局長のポール・リチャード・ギャラガー大司教と、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は、国際問題における共通認識について協議し、対話継続で合意。またロシアのカトリック共同体に関する事項や、ロシアとウクライナの間の平和への道を切り開くことを目的とした人道支援活動について話し合った。

*交渉と人道的な取り組み

 1時間以上にわたる会談の終了後、ギャラガー大司教とラブロフ外相は報道陣に対して声明を発表した。

 大司教は、ロシアとウクライナ間の敵対行為を終わらせ、国際社会の支援のもとで「真の交渉」を開始するよう求めた教皇レオ14世の呼びかけに言及。「バチカンの立場は明確だ。この紛争は軍事的な手段では解決できない」と言明。「政治的・外交的プロセスを進めるための条件を整えることが不可欠だ」と強調した。

 また、ロシアとウクライナ双方に対し、「開放性と善意の姿勢を示し、特に民間人、インフラ、負傷者、および戦争捕虜に関して、国際法および人道法を尊重するように」と呼びかけた。

*戦争を終わらせねばならない

 ウクライナの状況について、大司教は「はっきり言っておくが、この戦争は終わらせねばならない… 敵対行為の結果、双方の死傷者数は着実に増え続けており、民間人の苦しみも同様に増大している。敵対行為を終わらせ、過去の過ちに囚われ続けることのないよう将来の関係性を計画し、憎しみに息の根を止めることは、緊急かつ不可欠だ」とロシア側に強く求めた。

*ラブロフ外相は、バチカンの平和への取り組みに謝意、「人道問題での協力強化の必要で一致」と

 ラブロフ外相は、対話に前向きな姿勢を示し、平和への取り組みを続けているバチカンに対し謝意を示すとともに、紛争に関連する人道問題について協力を強化する必要性について、バチカンの担当者と意見が一致したと述べた。そして、今回の会談を「非常に有益なもの」と評した。

*平和に向けバチカンは「善意の仲介」を続ける

 大司教は、「人道分野におけるいかなる具体的な成果も、苦しみを和らげ、紛争当事者間の最低限の信頼を回復することを可能にするだろう」と期待を込め、この点に関して、(注・教皇特使の)ズッピ枢機卿による今後のロシア訪問の重要性が改めて指摘した。

 また、「バチカンは、対話の場の創出に貢献し続け、人道支援活動を強化し、平和の実現に向けて『善意の仲介』を提供していく、という決意を改めて表明している」と述べた。

 ラブロフ外相との会談で、ギャラガー大司教はまた、「和解の精神に基づき、最も弱い立場にある人々を支援する上で、教会や地域の教会共同体が果たす重要な役割」について言及。「ロシアにおけるカトリック教会の状況とニーズ、特に信徒への牧会活動や、教会および宗教団体によって行われている慈善活動」についても強調した。

*ロシア正教モスクワ総主教庁の対外局長とも会談

 ギャラガー大司教は25日夕、モスクワ総主教庁の対外教会関係局局長であるヴォロコラムスクのアントニー大主教と会談。現在の地域情勢も踏まえなつつ、共通の関心事について言え権を交わし、アントニー大主教は、両教会とバチカンの間で継続している友好的な交流について、満足の意を表明した。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

このエントリーをはてなブックマークに追加
2026年8月26日