・「核兵器の近代化、軍事システムへのAIの利用が世界を危険な道へ導いている」と警告―バチカン代表団、NPT再検討会議で警鐘

Permanent Observer Mission of the Holy See to the United Nations: statement on the non-proliferation of nuclear weaponsPermanent Observer Mission of the Holy See to the United Nations: statement on the non-proliferation of nuclear weapons 
(2026.4.30  Vatican News)

    核拡散防止条約(NPT)の運用状況を評価する再検討会議が4月27日からニューヨークの国連本部で始まった。

 オブザーバーとして出席しているバチカンの代表団は、一般討論で発言し、核保有国の指導者の中に核兵器の使用をほのめかしたり実験再開の方針を示す動きがあることを含め、「核兵器による抑止力への依存の再燃、核兵器の近代化、そして軍事システムへのAI(人工知能)の利用が進んでいることが、世界をますます危険な道へと導いている」と警告した。

*多国間外交からの逸脱

 

 そして、教皇レオ14世の言葉を引用する形で、「多国間主義に基ずく外交からの逸脱」が進んでいること、対話と合意に基づく外交が、「力に基づく」外交に取って代わられつつあることを指摘。最近起きている核施設に対する攻撃を「世界の安全保障を守る長年の規範が侵食されている兆候」として批判した。

 また、最近の動きの中で特に懸念すべきものとして、「核に関する意思決定におけるAIの役割の拡大」を挙げ、「それが危機的状況における人間の熟考の時間を奪い、誤算のリスクを高め、生死を分ける選択の道徳的重みを曖昧にする」と主張した。

*軍縮、不拡散、原子力の平和利用のNPT三本柱は不可欠

 NPTについては、「その三本柱である軍縮、不拡散、原子力の平和利用は、国際的な平和と安全保障にとって、依然として欠かすことのできないもの」とし、「軍縮」に関して、「第6条が核廃絶に向けた交渉を追求する法的拘束力のある義務を課している。核保有国が核兵器を近代化し、抑止力に関する定義を拡大している今、その義務はより緊急性を帯びている」と強調。

 核兵器の近代化や抑止力の定義を拡大する傾向が「すでに戦略的・道徳的に疑問視されているパラダイムを定着させるリスクがある。抑止力への依存は、法や信頼ではなく、武力行使の脅威によって維持される相互の脆弱性に基づく安全保障へのアプローチを反映している」と述べた。

*核兵器は壊滅的な人道的影響をもたらす

 続けて、核兵器がもたらす壊滅的な人道的影響を想起し、核兵器禁止条約への支持を改めて表明。同条約は「軍縮のための道義的・法的枠組みを強化するものだと述べた。さらに、核不拡散にも焦点を当て、国際原子力機関(IAEA)の保障措置の強化や、中東非核兵器地帯への新たな支援を主張。「対話と責任ある関与を通じて不安の根本原因に対処することなくしては、検証のみでは不十分だ」と指摘した。

*平和は恐怖でなく、信頼、対話、人間性への認識の上に築かねばならない

 また原子力の平和利用について、食糧安全保障や環境保護などにおけるその応用の意義を認めつつ、「各国の義務に沿って平和的目的のために原子力技術を開発する権利」を再確認した。

 発言の最後に、代表団は、教皇レオ14世の「武装解除され、かつ武装解除を促す平和」への呼びかけを取り上げ、「真の平和は、恐怖の上に築かれることはできない。信頼、対話、そして私たちが共有する人間性への認識の上に築かれねばなりません」と訴えた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2026年5月1日