・「新規範で”メジュゴリエでの聖母マリアご出現”に早期結論を期待」と教理省長官

In new vetting process for apparitions, Vatican nixes ‘supernatural’ label
Pilgrims walk around a statue of the Blessed Virgin Mary near the church of St. James in Medjugorje, Bosnia and Herzegovina, around 75 miles south of the Bosnian capital of Sarajevo on Sunday, June 25, 2006. On Friday, May 17, 2024, the Vatican issued revised norms for discerning apparitions “and other supernatural phenomena,” updating a set of guidelines first issued in 1978. (Credit: Amel Emric/AP.)

Senior Corresponden Elise Ann Allen)

 ローマ – バチカン教理省のビクトル・マヌエル・フェルナンデス長官は17日、聖母マリアの御出現やその他の霊的現象の信憑性を評価するための新たな規範を発表した。その際、記者団に対して、ボスニア・ヘルツェゴビナのメジュゴリエでの「聖母マリアの出現」については引き続き調査、検討中であることを明らかにした。

 新規範は、バチカンが幻影やその他の同様の霊的出来事を本質的に「超自然的」なものとはみなさなくなると規定。代わりに、「Nihil Obstat(何も支持されない)」 「Prae oculis habeatur(肯定的な兆候が認められる)」など、6 つの可能な判定のうちの 1 つを採用する、としている。

 カトリック教会で長期の議論の焦点となってきたメジュゴリエの聖母マリアのご出現は、1981 年 6 月に 当時10歳から17歳までの若者6人に毎日のように幻影が現れ、その後の幻視者の一部は1989年以来、時々毎日出現していると主張した。一連の最初の御出現はすべて同じ場所で起こったとされているが、「今でも、聖母マリアからメッセージを受け取っている」と主張する予言者たちは、さまざまに異なる時間と場所で聖母を見ると述べている。

 2010年、教皇ベネディクト16世は、ローマ司教代理だったカミッロ・ルイニ枢機卿をトップとする委員会を設置。同委員会は2014年に「ルイニ報告書」と呼ばれる報告書を教皇フランシスコに提出した。フランシスコはこの問題について、2017年5月のポルトガルのファティマ訪問から帰途の機中会見で、記者団に「最初のメジュゴリエの聖母マリアご出現は、現在進行中の出現と区別すべきです」としたうえで、この報告書は、「(最初にご出現を見たとする人々が)若かった頃の出現について、調査を継続する必要がある、としていますが、現在進行中とされる出現については、疑問を表明しています」と語っていた。

 そして同年、ポーランドのヘンリク・ホーザー大司教を担当に任命、大司教は翌2018年5月、フランシスコ会が管理・運営するボスニア・ヘルツェゴビナのメジュゴリエの聖ヤコブ教区に「使徒訪問者」として出かけ、2020年5月に教皇が「メジュゴリエへの巡礼は許容される」との判断を出す一方、バチカンは声明で、「ご出現とされるものの真偽についての研究はまだ進行中であり…、巡礼が教義的な面で混乱や曖昧さを引き起こすことは避けなければならない」と述べていた。

 フェルナンデス長官は17日の記者会見で、幻視者自身が「”超自然的”であるとみなされる場合、その人物に聖人としての地位を求める傾向がある」とし、それがバチカンが超自然現象に関する判断を下さない「もう一つの理由」だと言明。”メジュゴリエのご出現”は「その起源においては危険ではなく良いものであると考えられるが、その後の発展においては問題を引き起こす可能性があることを心に留めておいていただきたい」と関係する信者たちに求めるとともに、新たな規範によってこの問題について速やかな結論が出ることを期待する、と述べた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。
 Crux is dedicated to smart, wired and independent reporting on the Vatican and worldwide Catholic Church. That kind of reporting doesn’t come cheap, and we need your support. You can help Crux by giving a small amount monthly, or with a onetime gift. Please remember, Crux is a for-profit organization, so contributions are not tax-deductible.
このエントリーをはてなブックマークに追加
2024年5月18日