
(2026.7.16 Vatican News Deborah Castellano Lubov
ノーベル賞受賞者、国際的な専門家や科学者、宗教指導者、元国家元首や政府首脳たちが16日、ローマのカンピドリオの丘に集まり、「人工知能と核兵器の時代における非武装・軍縮の平和のためのローマ宣言」に署名。「核兵器とAIがもたらす計り知れない課題に直面する中で、国際協力の再構築」を呼びかけた。
この宣言の正式名は「AI、核兵器および自律型兵器、新たなデジタルプロトコル、そしてデジタル開発の新たなモデルがもたらす時代における、非武装かつ軍縮による平和のためのローマ宣言」を発出、三日間にわたる会議の幕を閉じた。
平和とAIの分野において、世界で最も権威ある人物や主要な国際研究機関の代表者200名以上が一堂に会したこの会議は、人工知能の時代における人間の尊厳の保護に捧げられた教皇レオ14世の回勅『Magnifica humanitas』に触発されたもの。
会議はまず14、15の両日、ローマ郊外カステル・ガンドルフォの教皇庭園内にある「ボルゴ・ラウダート・シ」で引かれ、最終日の16日は、会場をカピトリーノの丘にあるローマ市庁舎に移して行われた。
16日は、グアルティエリ・ローマ市長の開会挨拶に始まり、シカゴ大学の実存的リスク研究所(X Lab)創設所長、ホルツ教授が講演で、「悪いニュース」は「今が前例のない危険に満ちた時代である」ということだが、「良いニュース」は「核兵器やAIから身を守るために、私たちにできることはたくさんあること」指摘した。。
ローマ教区総代理のレイナ枢機卿は、「このローマ宣言は、急速な変革と深刻なリスク-AI、核兵器、地政学的不安定、多国間主義の危機、そして安全保障を恐怖、抑止、相互の脅威に委ねようとする誘惑-に直面する今の世界で、特別な意味を持つ」ことを、「私たちが今、歴史の転換」に立っている」ことを強調した。
「科学技術の進歩は、医療、教育、公衆衛生、環境保護、貧困との闘い、そして平和の構築において、並外れた機会をもたらしている。しかし、その同じ進歩も、倫理や責任、そして人間の尊厳への尊重から切り離されれば、支配を排除することは難しくなる」と警告し、さらに「破壊の手段を排除し、人類の存続がかかっている決定の中心に、いかなる機械、アルゴリズム、自律システムも据えてはならない」と述べ、「生と死、平和と戦争、未来の民族や次世代の未来に関する決定は、完全かつ責任ある有意義な人間の管理下に置かれ続けなけばなりません」と訴えた。
また、教皇庁生命アカデミー事務局長のチウッチ神父は、「人間の創意工夫」を取り上げ、「人間は信じがたいほどの傑作を生み出す能力を持つが、他方で、その創意工夫が甚大な破壊をもたらす可能性もあるとし、「AIや原子力も例外ではないとし、AIは人間を建設へと駆り立てることも、破壊へと駆り立てることもある」と指摘した。
トマーシ枢機卿と、コロンビア大学のレッサ教授(ノーベル平和賞受賞者)もまた、「軍拡競争や、前例のないリスクに直面するこの時代に道徳的指針が求められています」と強く訴えた。
ノーベル物理学賞受賞者で、カリフォルニア大学理論物理学の学長特別教授のグロス教授は、「核兵器の危険性に対する私自身の評価は、30年前よりもはるかに高まっている」とし、「核軍縮条約が消滅し、現在9カ国が核保有国となっている現状を嘆き、「我々は加速する軍拡競争の真っ只中にい。」世界の人々は、こうした脅威が自分たちの生活だけでなく、間違いなく子供や孫の生活にも影響を及ぼし得ることを、もはや無視してはならない」と強調。
さらにグロス教授は、この宣言について「提言していることは単純で、我々が以前も耳にしたことのあるもの』したうえで、「我々は、核保有国に対し、戦争、核戦争、そして絶滅のリスクを低減させる政策を推進するよう求める」と述べた
教授は、「教皇や教会、そして道徳心を持つすべての人々の言葉に触発され、会議に参加し、共同声明に署名した私たちは、今直面している危機に具体的に行動せねばならない」と訴え、平和大使のシャロン・ストーン氏も「公共の利益とすべての人間への尊重という目標の下で団結し、機械の能力が拡大するにつれて、それを構築する人々の道徳的な努力もまた拡大せねばなりません、人間の尊厳は、アルゴリズムで定めるものではありなせん」と訴えた。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)