(2024.11.22 バチカン放送)
バチカンは2024年度のラッツィンガー賞受賞者に、スペインのサグラダ・ファミリア教会で彫刻に取り組んだ彫刻家・外尾悦郎氏とアイルランド人神学者のシリル・オレガン教授(米インディアナ州のノートルダム大学)を選び、22日に教皇フランシスコに謁見の後、パロリン国務長官主宰の授賞式が行われた。
ラッツィンガー賞は、2010年に教皇ベネディクト16世に設けたもので、神学を中心に、研究分野において際立った功績をあげた学者・研究者、またキリスト教的インスピレーションのもとに音楽・建築・美術など芸術分野で優れた活動を行った人に贈られる。アジアからの、また彫刻の分野での受賞は外尾氏が初めて。
外尾氏は、1953年生まれ。福岡県出身。京都市立芸術大学美術学部彫刻科卒業。非常勤講師を経て、1978年、スペイン・バルセロナを訪れ、そこで出会った建設中のサグラダ・ファミリア教会で彫刻家・石工として働きはじめた。アントニ・ガウディが生前に唯一手がけ、完成に近づけた「生誕のファサード」の仕事に取りかかり、ガウディの指示とその精神に照らしながら、数多くの修復と彫刻製作を行った。
「生誕のファサード」は、2005年、「アントニ・ガウディの作品群」として世界文化遺産登録された。サグラダ・ファミリア教会の装飾に長年携わった外尾氏は、2013年より主任彫刻家を務めている。教会建築と福音のメッセージ・象徴であるその装飾と深く向き合い、ガウディが考え見ていたものを追求する中で、受洗し、現在では、ガウディの列福調査の推進にも取り組んでいる。
シリル・オレガン教授は、1952年生まれ。アイルランド出身。米国・インディアナ州のノートルダム大学神学部で教鞭を取っている。組織神学とキリスト教史を専門とし、多数の著作がある。熱心な教育者として知られ、学生たちとの絆を大切にしている。ヨゼフ・ラッツィンガー=ベネディクト16世の教えや人となりについての重要な論文を多く記している。
(編集「カトリック・あい」)