(2023.6.30 バチカン放送)
教皇フランシスコは6月30日、正教会のエキュメニカル総主教庁の使節をバチカン宮殿に迎えられた。
同総主教庁の使節は、前日29日の使徒聖ペトロ・聖パウロの祭日のためにローマを訪問、同日教皇によってバチカンの聖ペトロ大聖堂でとり行われたミサに参列した。
教皇庁とエキュメニカル総主教庁は、毎年ローマの保護聖人、使徒聖ペトロ・聖パウロの日(6月29日)と、エキュメニカル総主教庁の保護聖人、聖アンデレの日(11月30日)に、ローマとイスタンブール間で使節を交換している。
教皇は、同総主教庁の使節メンバーにローマ訪問を感謝されると共に、エキュメニカル総主教バルトロメオス一世への兄弟的な挨拶を託された。
使節に渡されたメッセージで、教皇は、最近エジプトのアレクサンドリアで行われた第15回目のカトリック教会と正教会による神学対話合同委員会総会の実りを喜ばれ、アレクサンドリアおよび全アフリカのパパ・総主教セオドロス2世が同会議のために示した寛大な配慮に心からのお礼を述べられた。
教皇は、「この日の出会いは、苦しむウクライナの状況をはじめとし、私たちの平和への思いを分かち合う機会でもあります」とされ、「私たちは、特にウクライナにおける戦争を目の当たりにする中で、ありとあらゆる戦争は、人民や、家族、子ども、お年寄り、避難民、町や村、自然にとっても、完全な敗北であるという現実を突きつけられています」と指摘。
「私たちはキリストの弟子として、戦争を前にしてあきらめるのではなく、平和のために働く義務を持っています」と語られた教皇は、「すべての人が共に平和のために創造的な努力を費やす必要がある」と説かれた。
そして、教皇は、「平和は一人で到達できるものでなく、何よりも主の賜物です」とされ、「その賜物にふさわしくあるために、人間として、キリスト者として、平和を築く神の業に参与する態度が求められているのです」と強調された。
また、教皇は、「福音は私たちに、平和とは、単に戦争が無い状態から生まれるだけでなく、私たちの心から生まれるものだ、と教えています」と語られ、これに対し、心に根を張る平和の妨げとなっているもの、「個人・社会・国、また宗教にも至るまでの、あらゆる形のエゴイズム、自己の利益を優先する態度」に注意を向けられた。
教皇は、「御父の愛によって回心し、この無償で普遍的な愛を告げ、イエスの模範に倣って人々に奉仕し、利己主義から解放される必要を、またキリスト者として相互の交わりのうちに成長し、分裂した世界に助けをもたらすことが、私たちに求められている」と訴えられた。
(編集「カトリック・あい」)