(2022.11.5 バチカン放送)
バーレーン訪問中の教皇フランシスコは5日午後、アワリ市内のカトリック系の学校、セイクリッド・ハート・スクールで催された集いに出席された。
集いには、同校の生徒や卒業生をはじめ、およそ800人の青少年が参加。民族衣装の若者たちによるダンスや、合唱が披露されたほか、同校のイスラム教徒の卒業生や、カトリック信者の学生らが教皇に挨拶を送った。
教皇は、様々な文化・宗教の出会いと対話の場であるバーレーンで、キリスト教とイスラム教の若者が共に集う様子を喜ばれ、「皆さんは世の中のパン種として成長し、多くの社会・文化の壁を乗り越え、兄弟愛の芽生えを促すように求められている」と述べ、「対話を恐れず、他者と交わり、友愛と連帯ある社会の基礎となって欲しい」と若い人たちに希望された。
そして、教皇は、若者たちに三つの助言を与えられた。
一つは「いたわりの文化を身につけること」。他者へのいたわりは「あなたがたの内的な感受性の成長を促し、自分自身の殻から抜け出すことを助け、無関心に打ち勝つことを可能にします」と指摘。
そして、自分のまわりにあるもの、人々や街や自然をいたわらないなら、「人生をあくせく過ごしても結局は虚しくなる。それは友情や、見返りを求めない喜びを深く味わうことがないからです」と語られた。
二つ目は、「兄弟愛の種をまくこと」。「兄弟愛のチャンピオン」となるよう勧められ、「先進的なテクノロジーや道具も、平和で兄弟的な世界を作るのに十分ではありません。事実、戦争の風を技術の発展で静めることはできないのです」と強調。
「心に働きかける努力をせず、他者との距離を広げるままにすることは、民族・文化・宗教等の違いを問題として認識させ、その恐れから、人は孤立し、他者と成長する機会を失なってしまいます」と注意されたうえで、「友情を築き、先入観を超える力のある若い皆さんには、兄弟愛の種をまき、その実りを刈り入れる人となって欲しい」と願われた。
三つ目は、「人生の選択をすること」。「挑戦のない人生はなく、挑戦を前に人はいつも選択を迫られます。そうした時、神に信頼し、恐れることなく前に進むように」と励まされた。そして、「神は決して皆さんを独りにせず、手を差し伸べ、導いてくださいまます。そのためには静かな祈りの中で神の声を聞き分けることが大切です」と助言された。
最後に、教皇は「夢を見る勇気を決して失ってはなりません」と若者たちに呼びかけ、「神が皆さんと共におられるように」と祈られた。
(編集「カトリック・あい」)
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