・アルゼンチンの補佐司教が成人2名からの告発を受け解任

(2026.10.5 Crux Now  David Ramos)

アルゼンチン、コルドバにある聖母被昇天大聖堂。| 写真提供:アレ・グルッタ/シャッターストック
(アルゼンチン、コルドバの聖母被昇天大聖堂=写真提供:アレ・グルッタ/シャッターストック)

  アルゼンチンのコルドバ教区の補佐司教が2日、その職を解かれた。「司教としての職務にふさわしくない行為」で2人の成人の告発を受けた教会法上の手続きによるもの、という。

 今回の措置により、今後5年間、新たな役職に就くこと、および告解の秘跡を授けることが禁じられるが、ミサを執り行うこと、告解以外の秘跡を授けることはできる。

 補佐司教兼司教総代理を解任されたのはリカルド・セイラッティ神父(70)。アルゼンチン・コルドバ大司教区の2日付けの声明によると、この司法手続きは「2人の成人による告発を受け、バチカンの教理省の命令により、ブエノスアイレス教区間裁判所によって実施された」という。告発の内容は明らかにされていない。

 コルドバ大司教区はこの声明で、被害者への支援を約束し、「私たちの教会のすべての行動が福音に合致するよう、引き続き努力していく」と述べている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。
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2026年10月7日

・「AIの急激な発展がもたらす差し迫った危険への対処」を訴えー米カトリック司教団代表がAI企業代表らと会談

「危険への対処が喫緊の課題」:アメリカの司教らがAI代表と会談

 大手テクノロジー企業内部からAI技術に対する懸念を表明する声が増えているのを受け、米国カトリック司教協議会(USCCB)代表が16日、AI(人工知能)分野の企業代表や専門家と会談し、この新技術がもたらす「現実的かつ差し迫った危険」に対処する必要性を強く訴えた。

 USCCBの広報担当、野口千恵子氏は、「今回の会合は建設的なものだった」とし、「対話では、AIシステムを人類のために役立てる方法と、その技術がもたらす現実的かつ差し迫った危険性に対処する必要性について議論された。AIに関係する最近の出来事は、関係者全員による行動の必要性を改めて浮き彫りにしAIた」と述べた。

 また「司教たちは、こうした対話を通じて、教会がAIモデルの倫理的基盤に貢献できる方法や、企業が自社の発明の悪用を防ぎ、技術に対する人間の監視を保証するために講じることができる措置を特定するのに役立つことを期待しています」と説明した。

 16日、OpenAIはAIモデルによる「予期せぬ、あるいは懸念される」挙動に関する6件の報告書を公開した。

 8月には、Google、Anthropic、OpenAI、Microsoftなどのリーダーをはじめとする数十社が、「AIが病院を含む機関や企業に対して危険なサイバー攻撃を間もなく実行する可能性がある」とする公開書簡を発表している。

 野口氏によると、今回の話し合いでは「教会と産業界がどのように協力して、テクノロジーが人間中心の方法で使用され、一人ひとりの尊厳が尊重され、貧富を問わずすべての人に利益をもたらすようにできるかという目標にも焦点が当てられた」という。

 また、この会見で野口氏は、USCCBが「AI時代における人間の尊厳の維持に関する特別委員会」を設立し、サンノゼのオスカー・カントゥ司教を委員長に任命したと発表。また、十数名の司教が連邦議会議事堂を訪れ、議員らと面会し、AIに関する安全対策を求めるとともに、子どもたちのオンライン上の安全を守る法案への支持を訴えたことも明らかにした。

*パロリン国務長官も、AIに関して”一部の国”の単独行動”を懸念

 バチカンのパロリン国務長官も16日、国際協力が重要な時期に、一部の国がAIに関して「単独行動」を取ろうとしていることへの懸念を表明。「私が懸念しているのは、実際に、この問題で単独行動をしようとする国々が存在することだ」とし、「この現象を真に統制できる共通のルールを確立するために、すべての国が関与することが求められている」と強調。

 さらに、 「皆が協力して答えを見つけることができれば最善だ。なぜなら、この問題に、人類の未来が本当にかかっているように思えるからだ」とし、AIに対する規制強化を求める声がテクノロジー業界内で最近高まっていることについて、「こうした議論が倫理的な理由に基づくものであることを願っている」と述べた。

*教皇もAIの台頭による危険性を指摘

 

 同じ16日には、教皇レオ14世が水曜恒例一般謁見で、台頭するAI技術の危険性と可能性について語られた。

 「技術の発展、マスメディアやソーシャルメディアの普及、そしてAIの利用の拡大は、新たな可能性を切り開き、障壁を取り払い、距離を縮めている」と評価しつつ、「一方で、人間関係はますます個人的なものではなくなり、仮想的なものへと変化していく傾向があり、人間の良心のみが行うべき決定をアルゴリズムに委ねることに慣れてしまう危険が増している」と警告。

 「社会的な人間関係に真の意義と個人的な深みを持たせることこそ、キリスト教共同体が提供しようとしている貢献なのだ」と訴えた。

 また5月に発表された教皇就任後初の回勅『Magnifica Humanitas』で、AIの厳格な規制を求め、AI開発者に対し公共の利益のために尽力するよう呼びかけておられる。

2026年9月18日

(評論)欧州には、極右勢力に対するキリスト教会の「防壁」は存在するのか?(Global Catholic)

 ザクセン=アンハルト州では、ドイツのための選択肢(AfD)が、連邦共和国の歴史上初めて州政府の一員となる可能性がある。9月6日の州選挙を前に、カトリック教会とプロテスタント教会はともに、選挙結果がもたらす影響について明確に警告を発した。

 ザクセン=アンハルト州におけるドイツのための選択肢(AfD)の選挙公約によると、同党は教会の資金調達方法を根本的に変革したいと考えている。マクデブルクのゲルハルト・ファイゲ司教は、国からの資金援助がなければ、教会が運営する社会福祉サービスはこれまで通り運営できなくなると予測した。

 ドイツでは、教会は単なる私的な機関ではなく、国が登録信者から教会税を徴収し、その他の公的資金を教会が運営する病院、学校、福祉プログラムに配分している。そのため、国の財政支援制度の変更は、ドイツの教会に特に大きな打撃を与える可能性がある。

 2024年の時点で、ドイツのカトリック司教たちは、民族主義的なイデオロギーとキリスト教は相容れないものであり、極右政党はキリスト教徒が投票する選択肢ではないと宣言していた。このような明確な線引きは、ヨーロッパの他の地域では必ずしも当たり前のことではない。オーストリア、フランス、イタリアを見てみると、これらの国々でも教会と右派ポピュリストから極右政党までが衝突していることがわかるが、両者の対処方法は大きく異なっている。

 

【オーストリア】自由党が聖書を借りる

 この対立はオーストリアにおいて特に深刻であり、同国では右派政党が自らの政治活動においてキリスト教的な言葉遣いを利用している。2025年9月27日、ザルツブルクで開催された自由党(FPÖ)の全国大会での演説で、党首のヘルベルト・キックルは、使徒パウロのコリントの信徒への第一の手紙を直接引用し、「信仰、希望、そして愛」を約束した。

 オーストリア最大の右派ポピュリスト政党である自由党(FPÖ)は、数十年にわたり移民とイスラム教に関して強硬な立場をとってきた。キックル氏は自らを「国民の首相」と称して選挙運動を展開してきた。オーストリア司教協議会の議長であるフランツ・ラックナー大司教の返答は異例なほど率直だった。宗教は政党政治という窮屈な枠に押し込められてはならない。さもなければ、信仰は疑念に、希望は恐怖に、愛は憎しみに変わってしまう危険性がある、と彼は述べた。

 キックル氏はこれに対し、ラックナー氏を個人的に対話するよう公に呼びかけることで応じた。2024年の選挙運動中、特にFPÖ(オーストリア自由党)の選挙ポスターの一つが、教会内部から批判を浴びた。主の祈りをなぞるように、「御心が行われますように」(「汝の御心が行われますように」をもじったもの)というスローガンを使った。

 当時、オーストリア司教協議会の事務総長であったペーター・シプカ氏は、この党はキリスト教徒にとって最も重要な祈りをもてあそんでいると述べた。しかし、オーストリアの司教たちは、ドイツの司教たちがドイツのための選択肢(AfD)を批判したような明確な非難を、オーストリアの司教たちから受けることはなかった。教会は投票に関する勧告は出さなかったものの、責任ある決定を求めた。

 オーストリア教会はあらゆる政党と対話する。それでも、公の場での衝突は発生した。2025年初頭、当時進行中だった連立政権交渉において、FPÖ(オーストリア自由党)は、教会への寄付金や献金の税控除を制限し、宗教団体への税制優遇措置を制限しようとする計画を発表し、大きな反発を招いた。

 教会関係者らは、教会と非営利団体に対する「大規模な攻撃」を警告した。数日後、連立協議は決裂し、政府は樹立されなかった。こうした意見の相違にもかかわらず、カトリック教会とFPÖ(オーストリア自由党)の間で直接対話が行われた。

 オーストリア司教協議会の招きにより、2025年1月には党首のキックル氏とFPÖの幹部代表団によるハイレベル会合が開催された。この会合は、議会に議席を持つ各政党との一連の協議の一環として開催された。議論の中心は、政治と宗教の関係、そして複数の危機の中でいかに社会の結束を維持していくか、という問題であった。

【フランス】カトリックの防壁の終焉

 フランスにおける出発点は異なっている。そこでは、政教分離の厳格な法的原則であるライシテも重要な役割を果たしている。それでも、フランス司教協議会は、2002年の大統領選挙の決選投票に進出したジャン=マリー・ルペン氏に投票しないよう、カトリック教徒に明確に呼びかけた。

 国民戦線の創設者であるルペン氏は、現在の国民連合の指導者であるマリーヌ・ルペン氏の父親である。2002年の決選投票での彼の出馬はフランスに衝撃を与え、カトリック教徒に対し彼に反対票を投じるよう司教たちが異例の明確な呼びかけを行った。

 このような直接的な投票推奨は、フランスでは非常に珍しい。それ以来、フランスの司教たちは、社会情勢の変化を理由に、具体的な投票勧告を控えている。フランスにおける右派勢力に対する防波堤は崩壊した。2024年の欧州議会選挙では、カトリック教徒の40%以上が極右政党に投票した。これは5年前の2倍以上の割合である。

 教会による投票勧告はもう不要だが、「国民連合(ルペンの国民戦線から改名され、現在はマリーヌ・ルペンとジョーダン・バルデラが率いる)の有権者を、人種差別主義的な極右の隅に押し込めることはできない」と、カトリックの国際正義と平和ネットワーク「ユスティティア・エト・パックス・エウロパ」の事務総長ステファン・ルンテは述べている。

 だからこそ、司教たちはこれらの有権者を一律に非難することを避けてきたのだ。もっとも、司教たち自身は国民連合の側に立っているわけではない。

 一方、フランスのプロテスタントはより明確な立場を示している。2022年の大統領選挙以前から、フランス統一プロテスタント教会はマリーヌ・ル・ペン氏と国民連合に警告を発し、その政策を阻止するよう呼びかけていた。

【イタリア】「キリスト教のルーツ」を共通点とする

 イタリアにおける関係はより複雑だ。ジョルジア・メローニ首相と彼女の政党「イタリアの兄弟たち」は、伝統的な家族、国民的アイデンティティ、そしてイタリアのキリスト教的ルーツを強調している。それが、カトリック界の一部との共通点を生み出し、そのためカトリックの中枢は、自らの特定の価値観に最も近い政党へと傾倒していった。

 メローニが2022年の選挙で勝利した後、イタリアの教会は個々の政治勢力を支持するというよりも、特定の価値観や具体的な問題を支持するようになった。一般的に、イタリアの司教たちは発言を控える傾向にある。声明は出すものの、特定の政治候補者を支持することはない。

 イタリア司教協議会の議長であるマッテオ・ズッピ枢機卿によると、イタリアの教会はあらゆる関係者との対話に応じる用意がある一方で、いずれの関係者からも独立性を保とうとしている。

 論争の的となっている移民政策は、同時にどれほど大きな距離が存在し得るかを示している。2025年8月、ジャン・カルロ・ペレゴ大司教は政府の方針を厳しく批判し、「政府の移民政策は卑劣だ」と述べた。メローニ首相は公然と彼の非難を否定し、大司教に「言葉遣いにもっと注意するように」と忠告した。

 この複雑な関係を象徴する、と言っても過言ではないのが、ローマのサン・ロレンツォ・イン・ルチーナ大聖堂にある天使像である。2026年2月初旬、水害で損傷した礼拝堂のフレスコ画の修復後、イタリアの新聞は、修復者がイタリア最後の国王ウンベルト2世の胸像を見守る2体の天使像のうち1体の顔の特徴を「メローニに酷似させた」と報じた。

 いわゆる”メローニの天使”は観光客を惹きつけ、全国的な議論を巻き起こした。イタリアの文化大臣は、その類似性が意図的なものだったかどうかについて調査を命じた。最終的に、「首相からインスピレーションを得た」ことを認めた修復家が、その顔を塗り直し、絵は撤去された。

 以上の記事は、 DOMRADIO.DEに最初に掲載されたコラムを翻訳、編集、加筆したものであり、Global Catholicの許可を得て再掲載したものです。

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*Global Catholicはフランスに本拠を置くカトリックの独立系評論・ニュースサイト。バチカンと世界の教会を形作る動向について、詳細な分析と洞察力に富んだ解説を提供、優秀なライターチームは、無数のニュースサイトやソーシャルメディアプラットフォームに溢れる雑音の中から真実を見抜き、明瞭さ、文脈、そして誠実さを基盤とした、思慮深く独立したジャーナリズムを提供することに尽力している。質の高いカトリック系ジャーナリズムは、情報を提供し、人々にインスピレーションを与え、有意義な対話を促進するものであるべきだと考えており、広告や商業的な影響を一切、排除し、カトリック教会を含めて外部機関、企業からの財政支援は受けていない。このような趣旨を理解してくださる方の寄付が求められている。「カトリック・あい」もまさに、同様の趣旨のもとに発行しており、今回、Global Catholid の同意を得て、記事の翻訳、掲載をさせていただくことになった。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2026年9月12日

・「移民への恐怖は欧州のアイデンティティ危機を示している」ーEU司教会議議長が警告

(2026.9.10  Crux  欧州特派員 フィオン・シャイナー)

 欧州連合司教会議(COMECE)議長のマリアーノ・クロシアタ司教が10日、Crux Now のインタビューに応じ、欧州で高まっている移民・難民への恐怖と敵意について「欧州が自らの理念を見失う兆候だ」と強い危機感を示した。

 安楽死が大陸中に広がり、神への信仰が衰退し続ける中、クロシアタ司教は、「欧州が自身の価値観を失う危険にさらされているのは、移民のせいではなく、自国民のせいです… 異なる文化的・宗教的背景を持つ人々は歓迎され、互いに尊重し合いながら共に生きることを学べる環境や社会状況にまとまっていくべきなのです」と述べた。

 そのうえで、「しかし、もし私たちが自分自身が何者であるかを知らず、アイデンティティを無視し、本当に大切なもの、そして私たちの共有する市民生活に意味を与えるものを守ることに失敗すれば、私たちが築き上げてきた価値観を他人に奪わせる必要はなくなるでしょう。なぜなら、私たち自身がそれらを放棄することになるからです」と警告した。

 そして、クロシアタ司教は、欧州にとって不可欠であり、守るべき価値観には、「文明的な共存の基盤」を形成する「すべての人間の尊厳の感覚」や、「自由、平等、連帯、そして民主主義と法の支配」が含まれている、と指摘。

「西洋社会で起きている最も深く決定的な変化は、移民や外国人の存在によってもたらされたものではない、と確信しています…  私たちの社会を最も深く形作るのは、私たち自身がどのような生き方、どのように共に生きるか、そしてどのような未来を築きたいかをどのように選択してきたか、そしてこれからも選択し続けるか、です。 他者を恐れることは、自分自身に対する弱さの表れです」と強調した。。

 

 クロシアタ司教のインタビューは、先に承認された新たなEU移民規制(移民の拘留期間の延長や迅速な強制送還などが含まれる)を受けて行われたもので、司教は新規制を批判し、「移民や難民がどのように扱われるか、到着時に彼らの尊厳が尊重されないこと、そして強制送還の性格を持つ押し戻しや移送がされることを懸念している」と繰り返し述べてきた。

 インタビューでも、「私たちは長年にわたり何度もこのことを述べてきましたが、何度でも繰り返します。私たちが話しているのは数字ではなく、人なのです… 到着する人々の状況を注意深く見極め、慎重に評価することが必要です」と語っている。

 

 以下は、クロシアタ司教との一問一答。

問: EUの新規則発表後の声明で、あなたはヨーロッパの建国理念を尊重することについて言及されました。それらは具体的にどのようなものですか?また、なぜ重要なのでしょうか?

答:欧州連合の創設理念は、欧州共同体を生み出した世代によって宣言され共有されたからというだけでなく、今日EUを構成する国々によって採択され承認された文書、すなわち欧州連合条約と欧州連合基本権憲章において認識され成文化されたからこそ、そのような理念となっているのです。

 これらの価値観は、人間の尊厳、自由、平等、連帯、そして民主主義と法の支配を物語っている。すべての人間の尊厳という感覚と、その尊厳への敬意は、文明的な共存の基盤となるものです。それを忘れること、あるいはさらに悪いことに、軽蔑することは、必ずや堕落と非人間化につながります。他者への敬意を欠く行為は、遅かれ早かれ、必ずその行為を行った本人に跳ね返ってくる。

問:欧州の価値観は、それらの価値観を共有しない文化圏の人々の増加によっても脅かされていると主張する批判者に対して、あなたはどのように答えますか?

答:これらの価値観は、何よりもまず、市民自身によって脅かされる可能性があります。もし彼らが本当にそれらの価値観を信じているのであれば、それを守り、しっかりと維持するために必要なことをするでしょう。

 異なる文化的・宗教的背景を持つ人々は、互いに尊重し合いながら共に生きることを学べる環境や社会状況に歓迎され、統合されるべきです。しかし、もし私たちが自分自身が何者であるかを知らず、アイデンティティを無視し、真に重要なもの、そして私たちの共有する市民生活に意味を与えるものを守ることに失敗すれば、私たちが築き上げてきた価値観を他人に奪わせる必要はなくなるでしょう。なぜなら、私たち自身がそれらを放棄することになるからです。

 一方、これらの価値観が私たちの内面と人々の間にしっかりと根付いているならば、異なる文化的・宗教的背景を持つ人々と共に暮らすことは、これらの価値観だけでなく、対話する能力や、すべての人に対して築くことができる敬意も試されることになるでしょう。

 

 

問:EUの新たな規制の具体的にどのような点が懸念されますか?

答:懸念されるのは、移民や難民の扱い方、到着時の尊厳の尊重の欠如、そして強制送還に等しい送還や移送の事例です。私たちはこれまで何度もこのことを述べてきましたが、何度でも繰り返したいと思います。私たちが話しているのは数字ではなく、人なのです。

 到着する人々の状況を的確に判断し、慎重に評価することが必要です。また、基準を設けずに、あるいは到着国の能力や状況を考慮せずに受け入れを組織することは不可能であることも事実です。まさにこの点において、移民問題全体を管理できるかどうかが問われているのです。

 移民に対する各国の政策を特徴づけてきたためらい、不安、そして恐怖は、最終的に私たち自身に不利に働いた。なぜなら、大規模で無秩序な移民の流れを防ぐことができる、協調的で超国家的なアプローチを構築する可能性を自ら放棄してしまったからであり、しかもその流れは悪質な人身売買業者によって悪用されてきた。

 私たちは、この歴史的な現象と向き合う必要があるという前提から始めなければなりません。国境を閉鎖するだけでこれを阻止できるという考えは幻想であり、時間と資源の無駄遣いにつながるだけです。

 出身国は、人間の尊厳に反する状況から逃れてきた自国民に対しても、その義務を果たす必要がある。また、通過国は、移民を道具として利用したり、彼らの最も基本的な権利を侵害するような状況を避けなければならない。

 

問:教会は、移住の権利と、各国が国境を管理する権利の両方を認めている。もしこの二つの権利が衝突する場合、政府はどのようにバランスを取るべきだろうか?

答:まず最初に指摘しておきたいのは、すべての人には自国において尊厳と安全を保つ権利が第一の権利として保障されているということです。それが実現しない場合、人は尊厳と安全の両方を享受できる場所を探す権利を有します。移動性は、これまでも、そして今日ではなおさら、人間の本質的な特徴である。

 人々が心の中だけでなく、あらゆる形態のコミュニケーションを通じてあらゆる境界を越える時代において、各国または各国のグループは、現行法を施行するだけでなく、移民の出身国や通過国との間で協定を締結し、関係を構築することによって、国境を管理する権利を行使することができる。

 例えば、安全かつ合法的な入国経路を確立することは、良い実践例と言えるでしょう。このようにすることで、人への敬意と国境の尊重、そして社会秩序と結束の維持を両立させることができます。法的な側面と制度的な対話は、これら二種類の権利の間のバランス点を絶えず模索し、見出す必要がある。

問:セウタ危機を受けて、スペインの司教たちは、移民がより広範な地政学的駆け引きの駒として利用される可能性があると警告した。欧州各国政府はこれに対し、どのように対応すべきだろうか?

答:この状況が浮き彫りにしている重要な点はまさにこれである。すなわち、人々を政治的あるいは戦略的な目的のために利用し、道具として扱い、さらには彼らの生存を危険にさらすことです。実際にこのようなことが起こっている場合、道徳的な判断は拒絶と非難しかない。

 この点については、断固として明確にしなければなりません。今日危機に瀕しているのは、欧州連合設立以前から私たちの共通の生活を支えてきた基本原則に関する倫理的理解そのものです。

 人間は決して、他の目的のために利用される手段や物へと矮小化されることはない。今日私たちが目の当たりにしている政治的・軍事的緊張と混乱のレベルは、容認できない行為に目をつぶってしまう、あるいは正当化できないことを正当化しようとする誘惑に陥ってしまう危険性を私たちにもたらしている。

 

問:フランシスコ教皇は、移民の苦境に対する無関心の一因として「使い捨て文化」についてしばしば言及してきました。教会は、このような考え方から、すべての人間の生来の尊厳を認める文化へと、どのように貢献できるでしょうか。

答:この点において、教会は既に様々な視点から多くの取り組みを行っていると私は考えています。難しさはまさに、特定の文化的機関から生じる思考様式ではなく、むしろ一種の分子的な社会力学を通して自発的に広がる生活様式から生じる思考様式にある。

 私たちは、自信と決意をもって、引き続き自分たちの役割を果たしていく必要があります。同時に、人々を不当に排除したり、見捨てたりすることを正当化するような考え方や慣習が、私たち信者の間や教会共同体の中に根付かないようにしなければなりません。

 

問:移民に対する恐怖は、ヨーロッパにおける多くの新たなポピュリズム運動の台頭の主要因となっているようです。移民が地域社会にもたらした急速な変化を恐れているという人に、あなたはどのように答えますか?

答:私が確信しているのは、西洋社会で起きている最も深く決定的な変化は、移民や外国人の存在によってもたらされたものではないということです。それらは間違いなく長期的に影響を与えるだろうが、私たちの社会を最も深く形作るのは、私たち自身がどのような生き方、どのように共に生きるか、そしてどのような未来を築きたいかをどのように選択してきたか、そしてこれからも選択し続けるかということである。

 他者への恐怖は、自分自身に対する弱さの表れです。現在進行中の大きな変革(移民問題はその一側面に過ぎない)が、私たち全員を真剣な内省へと導き、私たちの生活や欧州の市民社会に価値を与えるものは何かを真に再発見するきっかけとなることを願うべきです。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2026年9月12日

・「厳冬を前にしたロシアの攻撃激化の中で、人々は必死に命を守っている」ウクライナの現地から支援活動家が語る

(2026.9.9  Vatican News  Linda Bordoni)

 2022年2月にロシアが全面侵攻を始めて4年半、5度目の冬を迎えようとしているウクライナ。特にここ数か月、ロシアによるミサイルやドローン攻撃の頻度と激しさが増し、これまでの様々な犠牲で心身ともに傷ついた人々にとって耐え難いものになっている。

 国連人権監視団によると、7月は、ロシアによる全面侵攻開始当初以来、ウクライナの民間人にとって最も死者が多かった月であり、数百人の民間人が死亡し、数千人が負傷した。キエフだけでも、住民たちは繰り返される攻撃に直面し、つい最近の1週間では1日に10回近い空襲警報が鳴り響いた。(写真は、空襲警報で避難した人々―首都キエフで)FILE PHOTO: Power blackout in Kyiv

 世界的なカリタス援助ネットワークの一員であり、イングランド・ウェールズカトリック教会の公式援助機関、「カトリック海外開発機構(CAFOD)」のウクライナ緊急対応プログラム・マネージャー、ヘンリー・ウィルソン=スミス氏は「民間人が現在、現地でますます悪化する状況に直面しています… 子供を学校に送ったり、仕事に行こうとしたりしている最中に、携帯電話で空襲警報が鳴り、『命の危険を冒してそのまま行くか、すべてを放り出して避難所へ逃げ込むか』の判断を迫られる状況を想像してほしい」とVatican News に語った。

 「前線に近い地域に住む人々にとって、こうした日常生活の中断は常態となっています… ウクライナ東部のハリコフでは、小型爆弾搭載のドローンから市民を守るため、当局が市内の一部に防護ネットを設置しました。これは、国内各地の一般市民が直面している日常の現実の一端を示しています」とウィルソン=スミス氏は語った。

 

*人々の疲労、そして回復力

 戦争の影響は、爆撃による差し迫った危険にとどまらない。長年にわたる攻撃で、家族は避難を余儀なくされ、家屋は破壊され、生活に必要なサービスは、繰り返し中断されてきた。それでも、「深い疲労感と並行して、生き抜こうとする人々の並外れた決意を今も目の当たりにしています… 信じられないほどの疲労感がある一方で、ある種の回復力を持っているのです」とウィルソン=スミス氏は語る。

 彼は、ハリコフ地方での戦闘で家を失ったイゴールとルスラナという高齢の夫婦との出会いを振り返った。「彼らは、その場に留まり、損壊した家の裏にある小屋で暮らしながら、煉瓦を一枚ずつ積んで自宅を再建していました。このように、蓄積する疲労にもかかわらず、こうした状況の中で生き抜こうとする、全国の人々の信じられないほどの回復力がいまだに存在するのです」と強調した。

*厳冬というさらなる試練が目前に迫る

 

 厳冬を前に、ロシアはウクライナのエネルギーインフラを繰り返し攻撃し、多くの家庭の電気や暖房を失わせている。「残念ながら、またしても信じられないほど厳しい冬になるでしょう。CAFODとそのウクライナのパートナー団体は、特に被害の大きい前線地域の家庭にヒーター、モバイルバッテリー、毛布を配布しています」と説明した。

 長期にわたるロシアの攻撃で、人道支援の焦点は、もはや、単なる当面の生存の確保だけにとどまらないものになりつつある。

 「CAFODは、支援対象となる地域社会そのものからスタッフを輩出していることが多いウクライナの団体と協力し、この課題に立ち向かっています。支援スタッフたちは、自らも避難や喪失、戦争のトラウマを経験してきている。だからこそ、今まさにそうした経験を味わっている人々を支えるのに、彼らほど適任な存在はいません」と言う。

 CAFODが提携している団体には、カリタス・ウクライナ、カリタス・スペス、その他の宗教系の援助組織が含まれる。これらの団体は、食料、水、衣類、緊急避難所の提供だけでなく、家族が仕事に戻れるよう支援し、子どもたちが学校に戻れるよう手助けし、人々が心理的支援を受けられるようにするため、ますます連携と調整を深めている。

 また、損傷した住宅の修復や、戦争の混乱の中で失われた重要な書類を避難民が取り戻せるよう支援も行っている。

(キエフでの炊き出し=写真提供:@CAFOD)Standing in line to receive aid from CAFOD partners in Ukraine (Credit @CAFOD)

*私たちにどのような支援ができるか

 しかし、人道支援は人々を支える要素の一部に過ぎない。故フランシスコ教皇は、自身が「殉教するウクライナ」と呼ぶ状況への共感を繰り返し表明され、教皇レオ14世も平和を訴え続け、戦争の苦しみに直面する人々への連帯を表明し続けている。

 「そうしたメッセージは、間違いなく現地の人々に届いています… 祈りや人道支援を通じて表現される連帯は、物質的な支援そのものと同じくらい重要になり得る。私が全国各地で話を聞いたウクライナの人々は、その連帯や祈り、そして『一人ではない』という感覚を強く自覚しています」と語った。

 ウクライナ国外の人々に何ができるかと問われると、ウィルソン=スミス氏は、「祈り」「実践的な支援」、そして「現地の情報を得続けること」とし、「祈りと行動が彼らの助けとなり、希望を築くことができる」とし、「現地での体験談を語っているウクライナ人自身による視点や記事を、積極的に探し出して読んでほしい」と述べた。

 そして、「ウクライナの人々の多くは、自身も避難を余儀なくされ、親族を亡くし、防衛戦に従事する家族を持っています。それでも彼らは、他者の世話を続けている。経験してきたあらゆる困難にもかかわらず、自らの生活を再建しつつ、他者に奉仕することを選んでいる。だからこそ、その使命において彼らと肩を並べて立つことが、私たちの責任だと感じています」とウルソン=スミス氏は強調した。

 Click here to find out more about CAFOD’s presence in Ukraine and to make a donation in support of its Emergency response.

 CAFODのウクライナでの活動について詳しく知り、緊急対応を支援するための寄付を行うには、こちらをクリックしてください。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2026年9月10日

(評論)世界的な出生率の低下は”新しいもの”を期待しなくなった社会を露呈している(Global Catholic)

(2026.9.3  Global Catholic 

   世界的な出生率の低下は、主に経済的な要因によるものではなく、人類学的な要因によるものであり、もはや真に新しいものを期待しなくなった社会を露呈している。そして、孤独感は、その統計的な双子のような存在である。

*イタリアでは2047年に子供のいない夫婦が子供のいる夫婦を上回る

   まずは私の国イタリアの数字から始めよう。今週、イタリア国立統計局が新たな人口予測を発表した。

   中間シナリオでは、同国の人口は2025年の5890万人から2050年には5500万人、2080年には4580万人に減少すると予測されている。また、65歳以上の人口比率は現在の24.7%から今世紀半ばまでに34.5%に上昇すると見込まれている。

   しかし、これらの総数よりも重要なのは、世帯構成に関する数字である。2047年には、子供のいない夫婦の数が、子供のいる夫婦の数を上回るだろう。

 

*東アジアでは2025年に女性一人当たりの出生率が1人を下回った

 

   これは地域的な出来事のように見える。イタリアの事例は、ヨーロッパをはるかに凌駕する現象の初期兆候として捉えるべきであり、その最も進んだ形態は東アジアで見られる。 2025年には、東アジアの出生率は女性一人当たり子供一人を下回った。

  日本は1.14、中国は約0.9で、一人っ子政策の目標値を下回っている。韓国は0.8、台湾は0.695だった。ソウルは0.63、マカオは0.47を記録した。シンガポールは0.87、タイは0.93となっている。

  同年、この地域では出生2件に対し死亡3件が記録され、日本全体の出生数は67万1000人で、統計を取り始めた1873年よりも少なかった。

*50以上の国・地域で死亡数が出生数より多くなっている

 

  世界の他の地域も、最前線からの距離は様々だが、同じ曲線上に位置している。

    2024年、欧州連合(EU)の合計特殊出生率は女性1人当たり1.34人に低下し、欧州統計局(ユーロスタット)が集計を開始して以来最低の数値となった。また、加盟27カ国のうち、人口置換水準に達した国は一つもなかった。欧州の人口は2029年にピークを迎え、2100年までに3億9880万人に減少すると予測されている。

    メキシコシティは0.96、ボゴタは0.8、チリは1.03。デリーは1.2、アンカラは1.15。アジアで最もカトリック教徒が多いフィリピンは1.7、マニラは1.4となっている。

    アメリカン・エンタープライズ研究所が8月20日に発表した報告書の中で、ニコラス・エバーシュタット氏とパトリック・ノリック氏は、2023年には人類の70%以上が既に人口置換水準を下回る社会に暮らしており、アフリカを除くすべての大陸が人口置換水準を下回る閾値を超えていると試算している。

    現在、50以上の国と地域で出生数よりも死亡数が多く、世界の人口の4分の1以上がすでにそのような状況下で生活している。

*出生率低下は貧困などと関係なく起きている

 

    ここで経済的な説明は通用しなくなる。低出生率体制には、イランのようなイスラム神権国家、ネパールやミャンマーのような貧しい農村国、そして国家的な家族計画プログラムを一度も実施したことのないブラジルも含まれるようになった。

    エーベルシュタット氏は、社会の出生率を統計的に最も正確に予測できる指標は、女性が望む子供の数であり、その精度は約90%だと指摘する。状況よりも、むしろ願望が優先されるようになったのだ。

*子供は「誰の訳にも立たない存在」にされている

 

     技術的な回答は存在し、それらは真剣に検討されるべきである。

     移民は自然バランスのマイナスを相殺するが、人々が去る国自体も基準値を下回っており、相殺効果には期限がある。

     福祉制度を再設計し、定年年齢を引き上げ、ほとんどあらゆる場所で不足しているサービスによって女性の労働参加を支援することは可能である。

     しかし、出産が年金制度の財政健全化につながるという理由で擁護される場合、すでに子供を持つことを困難にする前提、つまり、人はその人が果たす役割によって価値が決まるという前提を認めてしまっている。定義上、子供は誰の役にも立たない存在なのだ。

 

*出生率の低下と一人暮らしの増加は、同じ現象の二つの側面

 

   人類学的な観点から言えば、問題の本質はここにある。「子供をこの世に生み出す」ということは、自分がコントロールできない、そしてほとんど目撃することのない時間の流れに身を縛り付けることであり、また、その子を待ち望んでいた人々の計画が誰かによって書き換えられることを受け入れることでもある。

   社会が子供を産まなくなるのは、明日を今日を管理された延長線上に位置づけ、そこに暮らす人々が少し年を取っただけだと考えるようになった時である。このように解釈すれば、出生率の低下は予測であり、真に新しいことは何も起こらないと予想される。

   その統計的な裏返しは孤独である。イタリアの事例に目を向けると、2050年までに世帯の約45%が家族の核を持たない世帯となり、一人暮らしの人の半数以上が65歳以上になると予測されている。

   出生率の低下と一人暮らしの増加は、同じ現象の二つの側面である。

*「出生率低下の構造的要因に”孤独のパンデミック”がある」と教皇

   教皇レオ14世は5月25日、欧州議会の人口統計議員連盟との会見での挨拶でこの問題を取り上げた。教皇は出生率低下の構造的要因として「孤独のパンデミック」に言及し、人口統計データは父親、母親、そして子供に関わるものであることを改めて強調した。

   同じ挨拶の中で、教皇は欧州大陸の「著しい不毛」の一因として、欧州の制度的創設者たちのキリスト教的理念の拒絶を挙げた。この発言は物議を醸したが、因果関係について、つまり豊かさは政策よりも先に、共通の意義の源泉に根ざしているという主張を改めて考察する価値がある。

   この仮説が正しいとすれば、東アジアは最も厳しい検証対象となるだろう。なぜなら、東アジアでは出生率の低下が、宗教的伝統が大きく異なるにもかかわらず、減速することなく続いているからである。

  キリスト教は、生殖能力を生物学的な生殖と同一視したことは一度もない。何世紀にもわたり、修道生活と聖別された処女は、それらを実践する人々のものではない未来に向けた生殖活動の一形態であった。子どもを持たない人々は、写本を書き写し、土地を開墾し、まだ生まれていない人々のために病院や学校を設立したのである。

  教会自身の貢献は、家族政策よりも先に、まさにその方向性において求められるべきである。

  その演説と同じ日の朝に発表され、その後の議論ではそれとは切り離された形で扱われた「Magnifica Humanitas」は、AI(人工知能)の導入を含め、人口問題を再考すべき枠組みを提示している。

   2025年にはイタリアで35万5000人の子供が生まれた。1862年にはその数は83万3000人だった。エーベルシュタットとノリックは、これほど低い数字を見つけるには、おそらく16世紀初頭まで遡らなければならない、と指摘している。

   日本は、自国の歴史の流れを逆行してきたと言えるだろう。人口が少なくても、国は十分にやっていける—こうした予測が提起する希少性は、別の種類の問題である。未来にはまだ具体的な姿があるのか​​、それとも管理すべきシナリオと化してしまったのか、という問題だ。

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*アントニオ・スパダロ神父はイエズス会士でバチカン文化教育省の次官。米ジョージタウン大学の理事で教皇庁立美術文学アカデミーの「ヴィルトゥオーシ・アル・パンテオン」の正会員でもある。

*Global Catholicはフランスに本拠を置くカトリックの独立系評論・ニュースサイト。バチカンと世界の教会を形作る動向について、詳細な分析と洞察力に富んだ解説を提供、優秀なライターチームは、無数のニュースサイトやソーシャルメディアプラットフォームに溢れる雑音の中から真実を見抜き、明瞭さ、文脈、そして誠実さを基盤とした、思慮深く独立したジャーナリズムを提供することに尽力している。質の高いカトリック系ジャーナリズムは、情報を提供し、人々にインスピレーションを与え、有意義な対話を促進するものであるべきだと考えており、広告や商業的な影響を一切、排除し、カトリック教会を含めて外部機関、企業からの財政支援は受けていない。このような趣旨を理解してくださる方の寄付が求められている。「カトリック・あい」もまさに、同様の趣旨のもとに発行しており、今回、Global Catholid の同意を得て、記事の翻訳、掲載をさせていただくことになった。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2026年9月3日

・アイルランドのカトリック受洗者数が10年間で30%減少、原因は受洗者数の減少と世俗化

(2026.8.18 Crux Staff)

 キリスト教系の擁護・研究機関であるアイオナ研究所の最新の調査によると、アイルランドでは過去10年間でカトリック教会の受洗者が30%減少した。出生率の低下と世俗主義の台頭が減少の二大要因で、出生率の低下が減少分の約60%を占めているという。

 調査対象とした10年間で、アイルランドの出生者数は19.9%減少した。

 調査によると、報告書によると、「(洗礼数の)減少の大部分は、出生者数全体の減少によるもの」で、この10年間に出征者数は19.9%減っている。

 だが、世俗化の影響も非常に大きく、無宗教者の数は急速に増加している。

 アイオナ研究所のトム・フィネガン会長は、 「出生数の急速な減少と世俗化の進展を考えると、これらの数字はある意味驚くべきことではない」とし、「過去10年間で出生数がほぼ5分の1減少したこと、そして国勢調査で『無宗教』と回答する人が増えていることを考えると、洗礼者数が大幅に減少するのは当然のことだろう」と述べた。

 アイルランド中央統計局(CSO)の調査によると、2016年の国勢調査では、0歳から4歳までの子供のうち78.3%がカトリック教徒、9.2%が無宗教と回答した。2022年までに、これらの数字はそれぞれ65.4%と15.6%となっているが、「アイルランドでは、『文化的カトリック』が依然として根強い。2022年の国勢調査によると、0歳から4歳までの子供を持つ母親の67.9%が依然として『カトリック教徒だ』と答えているが、大多数は定期的にミサに出席する人ではないでしょう」とフィネガン会長は指摘する。

 ダブリン大司教区では、過去10年間で出生者数が40%減った。の出生率も同国の平均を上回る低下を示しているが、調査は、「ダブリンとアイルランドの違いが生じる理由は、出生率の大きな低下とともに、『無宗教』に分類される子供の割合が高いことだ」と述べている。 

 「文化的なカトリック信仰がアイルランド社会において今後も影響力を持ち続けるかどうかは、まだ分からない。注目すべきは、バチカンの年鑑によると、2023年には英国で4万2000人以上のカトリックの子供たちが洗礼を受けたということだ。英国におけるミサへの出席率は低いにもかかわらずだ」とフィネガン会長は述べた。

 「洗礼数の減少は、単に世俗化の結果と捉えるべきではなく、出生数の減少がより大きな要因となっている。アイルランドの合計特殊出生率は現在わずか1.5で、人口置換水準の2.1を大きく下回っている。これは、宗教的信条に関わらず、すべての人にとって懸念すべき事態だ」と会長は警告している。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。
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2026年8月20日

・ベネズエラに続いて隣国・コロンビアで大地震、カトリック教会も現地カリタス中心に被災者支援開始(CRUX)

(2026.8.11  Crux   ラテン・アメリカ特派員 エドアルド・カンポス)

 サンパウロ発 – 南米のコロンビアで10日、同国史上最大規模の地震が発生。救助隊員が11日も生存者の捜索を続けている。

 この地震で少なくとも169人が死亡、600人以上が負傷したが、10日夕方までに2700人以上が行方不明と報告されており、死者数はさらに増加すると予想されている。

 「(倒壊した建物に閉じ込められた犠牲者を救出するには)最初の夜が極めて重要だ」と、コロンビア・カリタスを率いるソアチャ教区のフアン・カルロス・バレット司教はCrux Nowに語った。

 マグニチュード7.4の地震は、10日午前7時34分にチョコ県の小さな自治体サン・ホセ・デル・パルマールを震源として発生し、ペレイラ、マニサレス、アルメニアといった主要都市(いわゆるコーヒー軸の3つの地域すべて)やカリでも揺れが感じられた。

 コロンビア西部を襲ったこの地震は、その前例のない規模と継続時間で多くの人々を驚かせたが、コロンビア・カリタスは迅速に対応し、被災地全域に救援チームを派遣。バレット司教は「政府が救援作業を調整しており、多くのカリタスのボランティアもこのプロセスに関わっています」と述べ、被害状況を把握するため、10日は現地のカリタスの責任者、教区司祭、司教らと協議し、国際的な協力を得るため、欧州、ラテンアメリカ、米国のカリタスのメンバーとも連絡を取っている。

 「次のステップは、すべてのフードバンクの責任者と面談し、必要な寄付の量を決定することです」。

 ボゴタ大司教区は、管轄する教区に被害はなかったと報告しており、緊急食糧援助のための中央フードバンクを維持し、被災地域の主要都市にも、それぞれフードバンクが設けられている。

 司教によると、最も被害の大きかった地域、すなわちブエナベントゥラ、ペレイラ、アルメニア、カリ、キブドなどの自治体にある施設は既に稼働しているという。来週の日曜、16日には、被災者支援のための募金活動が行われる予定だ。

 コロンビアの教会組織は、6月に大地震があったベネズエラ(北東でコロンビアと国境を接している)での救援・復興活動に、数か月にわたり積極的に関わってきた。「ベネズエラの場合と同様に、金銭的な寄付を優先する必要がある… 多くの道路が破壊されている現状では、援助物資を輸送するのは困難です」と司教は語った。

 コロンビアの大部分の地域は地震の影響を受けていないものの、大きな被害を、貧困と社会的疎外に直面している地域、例えばアフリカ系コロンビア人が多数を占め、通信障害や停電が頻繁に発生するチョコ県などが受けている。

 カリ大司教区のカリタス支部を率いるディエゴ・グスマン神父はCrux Nowに「市内で少なくとも30棟の建物が倒壊、現時点で確認された死者数は23人だが、被害を受けた家屋の数を考えると、救助活動が進むにつれて、今後数日間に、さらに多くの死者が報告されるのではないかと危惧している」と語った。

 カリの教会庁舎や大聖堂を含む教会建築物が被害を受けた。別の教会では屋根が破壊された。「ありがたいことに、カリの人々は非常に協力的でした。多くの人が瓦礫の中から被災者を救出したり、家を失った人々に食料や水を届けたりしてくれています」と言う。

 

 マニサレス大司教区のジョン・エディソン・マルケス神父は、市内で5人が死亡し、コロンビアで最も高い大聖堂であるマニサレス大聖堂をはじめ、多くの教会が被害を受けるなど、被害は甚大だが、「幸いにも、多くの家屋などの倒壊があったにもかかわらず、現場の雰囲気は落ち着いている。レストレポ副大統領が救助活動の調整のため、この街を訪れている」と語った。

 また、略奪者が一部損壊した家屋を荒らすのを防ぐため、市内に夜間外出禁止令が出されている、という。

 バレット司教は、カリタスの責任者全員との会合後にならないと教会建物の被害額を推定することはできないが、ペレイラとキブドからは既に複数の教会が被害を受けているとの報告を受けている、と述べた。

 また司教は、「多くのコロンビア人ボランティアが洪水、火災、さらにはゲリラや準軍事組織による爆弾攻撃といった災害への対処経験を持っていることを踏まえ、救助活動が成功することを期待している」と述べ、「海外からの支援の申し出が届いている」と説明した。

 コロンビアでは、8月7日にエスプリエラ大統領が就任したばかりだが、極右政治家である彼は、政治的暴力と犯罪に対して強硬な姿勢を取ることで国内の平和を取り戻すと公約していたが、今や自然災害への対応を迫られている。バレット司教は「大統領は既にキブドを訪問している。彼に優れたコミュニケーション能力があることは誰も否定できない。彼は決断を下すと、すぐに住民に何をするべきかを説明している」と、新大統領の手腕に期待を寄せている。

 コロンビア・カリタスは、被災地における最も差し迫った具体的な支援について、12日に対応を策定する予定だ。

 

2026年8月12日

・ユダヤ人入植者の暴力に苦しむパレスチナ唯一のキリスト教徒の村が、教皇と世界に助けを求めている

Taybeh, northeast of Ramallah in the West BankTaybeh, northeast of Ramallah in the West Bank  (AFP or licensors)

 (2026.8.10  Vatican News    Myriam Sandouno )

 パレスチナで唯一残された全キリスト教徒の村、タイベでは、ユダヤ人入植者による襲撃が繰り返されている。過去5年間、「救い主キリスト」のラテン典礼教会の主任司祭を務めてきたバシャール・ファワドレ神父は「村民たちが土地を離れざるを得なくなる」と懸念している。

 「タイベを忘れないで! タイベが沈黙の中に消え去られてはなりません」。これは、パレスチナで最後に残された完全なキリスト教徒の村における過酷な現実を語るファワドレ神父による切実な訴えだ。

 聖書では「エフライム」とされ、イエスとその弟子たちが避難したと伝えられるタイベでは、現在、地域社会が、ユダヤ人入植者による組織的な威嚇、財産の没収、そして所有地の浸食に直面している。

 そうした中で、イスラエル軍は9日、タイベを「非居住者立ち入り禁止区域」にすると宣言し、ユダヤ人がこのパレスチナの町に入ることを禁止した。

 軍報道官によると、この措置は「この地域におけるユダヤ人による数件の暴力的な攻撃」を受け、「地域の住民を保護する」ために発令されたという。

 Vatican Newsとのインタビューで、ファワドレ神父は、世界中の教会に対し、タイベの住民たちのために祈りと支援を捧げるよう強く求めている。インタビューの一問一答は以下の通り。

問:タイベはユダヤ人入植者による侵入に苦しんでいる。5日には、入植者たちが、あなたの教会に属する家族の家に押し入った、と聞いている。実際に何が起きたのか。

答:極めて憂慮すべきものだ。その家族は、入居者が引っ越してくる準備が整ったばかりだったが、2人の入植者がその家の敷地に何度も侵入し、土地を占拠し、囲いを壊し、羊の群れを家のすぐそばまで連れてきた。これだけではない。この村のパレスチナ人家族を圧迫して土地から追い出すことを目的とした、意図的な暴力だ。

問:今回の侵入の際、その家族は家にいなかったが、これは肉体的にも精神的にも耐え難い試練に違いない。

答:家族のために家を準備しておいたのに、見知らぬ者たちが勝手に侵入し、好き勝手に占拠していることを知らされる彼らの嘆き、苦しみを想像してほしい。実際、今こうして話しているまさにこの瞬間にも、同じ入植者たちが戻って来て、家の敷地にテントを張っている。信じられないほど過酷な状況だ。

問:ここ数日、他の家族もこの暴力の被害に遭っているのか?

答:タイベの西、東、南にまたがる地域の多くの家族が、入植者による同様の暴力に苦しめられている。入植者たちはいつものように、空き地に放火を繰り返している。ごく最近も、村の南東にある丘陵地帯に火を放った。ユダヤ人入植者たちは、危害を加え、土地を占拠するためにやってくるのだ。ここ数か月で、状況は劇的に悪化している。ほぼ毎日、住民たちは侵入、私有地への攻撃、農地の破壊、道路封鎖、移動制限、そして住民への執拗な圧力に直面している。

問:タイベの人々は、見捨てられたと感じているのだろうか?

答:その通りだ。私も、住民たちも「見捨てられた」と感じており、「完全に孤立している」と感じている。こうした行為に対抗する法的手段は存在するが、非常に限られており、効果を発揮することはめったにない。だからこそ、今こそ世界の国々、国際機関の力が必要なのだ。住民を保護し、暴力に終止符を打つための真摯な政治的意志と具体的な行動と強く求める。

 ここで生活し、イエス・キリストとその弟子たちへの証しを続けられるよう、助けが必要だ。タイベでキリスト教徒の存在を守り抜くことは、皆が分かち合う責任だ。暴力にさらされ続ける中で、住民の中には、「もう耐えきれない。村を離れ、すべてを捨て去りたい」という気持ちが強くなっている。

問:そうした状況にもかかわらず、留まることを選ぶ人々を、キリストへの信仰はどのように支えとなっているか。

答:政治的な解決の兆しは見えないが、私たちを前進させ続ける非常に特別なものがある。それは、イエス・キリストへの希望と、教会への信仰だ。私たちは世界中の教会に対し、私たちへの祈りを強め、エルサレム・ラテン総大司教区、そして聖地全体を支援するよう強く訴える。祈りが奇跡を起こすと、私たちは固く信じている。

 タイベを忘れないでほしい。世界中のすべてのカトリック教会に対し、ここでの状況について声を上げ、恐怖の中で暮らすこれらのキリスト教徒の兄弟姉妹について語りたい。キリスト教共同体の発祥の地が、沈黙の中に消え去ってはならない。共に力を合わせれば、この生きた信仰の証しを守り抜くことができる。付け加えるなら、外交使節団やピッツァバッラ枢機卿の訪問は、私たちを安心させ、不可欠な安心感を与えてくれている。

問:正教会、ラテン系、メルキト、ギリシャ・カトリックの各共同体は、被害者を支援するためにどのように組織化しているのか。こうした痛ましい出来事は、何らかの形でキリスト教の団結を強めたと言えるだろうか。

答:この危機に直面し、キリスト教コミュニティは完全に団結している。教会はこれらの家族と共に歩み、最も弱い立場にある人々を支え、住民間の連帯を育み、人間の尊厳を守り続けている。また、タイベの現実が広く知られ、私たちの声が封じられないよう、外交使節団や国際機関、メディアとも緊密に連携している。

 Vatican Newsを通して、私は教皇レオ14世に訴えたい。ヨルダン川西岸地区に残るこの最後のキリスト教村のために介入し、入植者による攻撃を止め、我々の土地の占領を終わらせてほしい。私と住民たちが望むのは、正義と尊厳をもって平和に暮らすことだけだ。

問:タイベはパレスチナ・キリスト教コミュニティにとって何を象徴しているのか。

答:タイベは、すべての人にとって、極めて重要かつ根源的な象徴だ。とりわけ、イエス・キリストがこの地上におかれてから2千年となる2033年の記念の年を前にして、その意義は大きい。タイベは、この聖地におけるキリスト教を守り抜く最前線に立っている。イエスは受難、死、そして復活の前に、タイベに避難することを選ばれた。私たちは、キリスト教と、聖地におけるその不朽の存在を体現し続ける生きた証人でなければならない。世界はタイベに寄り添わなければならない。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2026年8月11日

・「世界の総人口の7.8%、6億4500万人が飢餓に直面している」—2025年版国連報告書

Hunger crisis in GazaHunger crisis in Gaza  (AFP or licensors)
〈2026.7.23 Vatican News  Deborah Castellano Lubov)

 国連食糧農業機関(FAO)など5つの国連機関が共同でまとめた『世界の食料安全保障と栄養の状況(SOFI)報告書〈2025年)』によると、世界の総人口の7.8%、約6億4500万人が飢餓に直面している。

 この数字は、世界全体で2022年のピーク時と比べて4300万人、2024年と比べても1400万人減っており、特に南米や南アジアで、食料事情が大幅に改善されたことが大きく影響している、という。

 だが、地政学的緊張や気候変動が世界の食料供給システムを脅かす状況は続いており、飢餓人口は依然として憂慮すべき水準にあることから、食糧安全保障の強化を改めて訴えている。

*「”ホルムズ海峡”が当面最大の懸念事項だ」とFAOチーフ・エコノミスト

 FAOのチーフエコノミスト、マキシモ・トレロ氏は、ロイター通信のインタビューで、「エネルギーや農業投入物の主要ルートであるホルムズ海峡を通る海上輸送の混乱が、当面の最大の懸念事項の一つだ」と指摘、特に、「燃料、肥料、輸送費の価格を押し上げ、世界的な食料生産コストを増加させていることで、大きな打撃を受けている」とし、「このような状況に加えて、強大なエルニーニョ現象が起きると、脆弱な地域での農業生産が打撃を受け、さらなる食糧危機をもたらす可能性がある」と警告した。

 

 

*アフリカで5人に1人、3億900万人が依然として栄養不足、2030年でも世界全体で5億2000万人が飢餓に

 報告書の発表にあたって、FAOの屈東玉(ク・ドンユ)事務局長は、報告書の調査結果が「断固とした政策措置が成果をもたらし得ることを示している」と評価したうえで、「最近の成果を維持・加速させるための取り組みを継続せねばならない」と強調した。

 報告書によると、アフリカでは依然として約3億900万人が栄養不足の状態にあり、急速な人口増加で今後数年間で飢餓に苦しむ人々の絶対数が増加する可能性がある。アフリカ大陸における飢餓率は、2024年の20.3%から2025年には20.0%へと低下し、2017年以来初めて飢餓の増加傾向に歯止めがかかったものの、なお5人に1人が栄養不足の状態にある。

 今後の展望について報告書は、2030年の段階でも世界全体で約5億2000万人が飢餓に直面する可能性があり、そうなれば世界は「持続可能な開発目標(SDGs)2(飢餓ゼロ)」の達成軌道から外れることになる。子どもの栄養不良が依然として高止まりしており、女性の貧血が悪化しており、成人の肥満が着実に増加し続けていることも指摘している。

 報告書発表の記者会見でFAOなどの関係者は、「食料、エネルギー、農業投入財の市場を開放し続け、輸出制限を回避し、脆弱な立場にある人々を対象とした社会保護プログラムを強化する必要性」を強調。各国政府や開発パートナーに対し、「作付けの決定が取り返しのつかないものになる前に」、農家が肥料、良質な種子、水、融資、その他の不可欠な投入財へのアクセスを可能にすることを求めた。

 また、長期的には、農業・食品システム全体、とりわけ灌漑、貯蔵施設、コールドチェーン、輸送インフラ、早期警報システム、および先を見越した行動メカニズムへの投資も要請。「こうした投資により、栄養価の高い食品のコストを削減し、ショックに対する回復力を高め、健康的な食生活をより手頃な価格で実現できる」と訴えている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2026年7月24日

・「ナイジェリアのキリスト教徒は『改宗するか、殺されるか』の選択に直面、最近3か月だけで2500人以上殺害」と調査報告書

(2026.7.9  Crux  Africa Correspondent  Ngala Killian Chimtom)

     このほど発表された「 International Society for Civil Liberties and the Rule of Law(Intersociety)」の2026年上半期報告書によると、今年わずか180日間で、ナイジェリアでは少なくとも2550人のキリスト教徒が殺害された。2800の拉致事件が起こり、300の教会が破壊され、イスラム教に強制改宗されたキリスト教徒も800人に上るという。

 

 

*女性や子供たちが洗脳され、改宗を強要されている

 

*アフリカに広く分布するフラニ族のジハーディストによる”反キリスト教十字軍”

 

*政府は数千人のキリスト教徒が虐殺されても何もせず、隠蔽

 

*キリスト教指導者たちの大部分は、

(政府と手を組み、虚偽の主張を広めるだけだ

 

*加害者の責任を問う手段はまだ残されている

 

2026年7月12日

・「ヨルダン川西岸地区のキリスト教徒の村が、イスラエル人入植者によって生活を脅かされている」教区司祭が理解と支援を訴え

Israeli settlers set fire to fields surrounding TaybehIsraeli settlers set fire to fields surrounding Taybeh  (AFP or licensors)
(2026.7.7  Vatican News   Beatrice Guarrera)

  ヨルダン川西岸地区で唯一の全員がキリスト教徒のパレスチナ人の村タイベが、イスラエル人入植者の前哨基地建設による生活破壊の危険にさらされており、教区司祭のバシャール・ファワドレ神父は「信徒住民にとってかつてない脅威。聖地を守るためには、言葉だけではなく、具体的な行動が必要」と訴えている。

 ここ数か月、タイベ村には、イスラエル人たちによる暴力行為が繰り返されていたが、住民や地元の監視団体によると、イスラエル人入植者たちは、村が所有する山岳地帯であるジャバル・アル・マシス地区で、違法とみられる前哨基地の建設を開始した。このまま進められれば、住民の家からわずか数メートルの場所に入植者の前哨基地が設置される可能性があり、住民たちは不安をさらに高めている。

 ファワドレ神父によれば、村の各家庭は絶え間ない威嚇の下で生活することを恐れており、農民たちは村の東部にある畑や養鶏場へ行けなくなることを懸念している。

 神父は、「このような入植者の動きは、武力によって、新たな既成事実を押し付け、タイベの住民に土地を離れるよう圧力をかけることが目的です… 前哨基地の設置は、多くの場合、恒久的な入植地建設の先駆けをなすものであり、地域住民は不安感をいっそう強めています」と語る。

 この村は、オスロ合意に基づく「エリアB」に該当し、「民政」はパレスチナ自治政府が担当し、「治安」はパレスチナ警察とイスラエル軍当局が共同でされている。そして、村当局者は過去数か月にわたって、各国の大使や宗教指導者、国際代表団を招き、事件を記録した報告書、写真、動画、目撃証言を提供することで、自らの状況に国際社会の注目、理解を集めようとしてきた。だが、村の西側でも暴力は続いており、落胆が深まる中、「国際法や国際社会への繰り返しの訴えが、もはや何の変化ももたらさないのではないか」と理解と協力の可能性に疑問を抱き始めている住民も多い

 ファワドレ神父は、聖地におけるキリスト教徒の存在を守るため、具体的な措置を講じるよう、世界各国、国際機関、そして、善意あるすべての人々に、「聖地は言葉だけでは守れません。具体的な行動によって守られねばならない… 新たな前哨基地の設置を許せば、地元のキリスト教コミュニティに対し、『あなたがたの安全、ここに住み、生活する権利、そして未来は、もはや保障されない』という絶望的なメッセージを送ることになります。手遅れになるまで待ってはなりません。今こそ行動すべき時です」と呼びかけた。

 村の墓地や古代のアル・カデル(聖ジョージ)教会の近くで、入植者グループによって放火事件が発生してから1年経つが、タイベのキリスト教徒たちは、依然として不安を抱えながら生活し、教区の活動も続けられている。161人が参加する村の子供向けサマーキャンプは6日から始まった。タイベの3つのキリスト教共同体―ギリシャ正教会、メルキト・ギリシャ・カトリック教会、ラテン・カトリック教会―の司祭たちが共同で調整して実施するものだ。

 国際社会への信頼は揺らいでいるものの、ファワドレ神父によれば、信者たちは依然として神と教会に信頼を寄せ続けているという。神父は、 「タイベに住む人々を忘れないでほしい。もしこの村から人々が去ってしまえば、世界は、単なる一つのキリスト教徒の村だけでなく、生き生きとしたキリスト教共同体をも失うことになるでしょう」と訴えている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2026年7月8日

・ロシアの攻撃でウクライナの首都の正教会大修道院・聖ソフィア大聖堂が破壊、炎上

(大規模な夜間攻撃により、火災が発生したウクライナ首都キーウのキーウ・ペチェールシク大修道院=15日/Ukrainian Culture Ministry/Handout/Reuters)

 ロシアが14日夜、ウクライナ各地を攻撃し、少なくとも合わせて11人が死亡、複数の負傷者が出た。首都キーウへの攻撃では、4人が殺害されたほか、国連教育科学文化機関

キーウ:聖ソフィア聖堂と関連修道院群、キーウ・ペチェルーシク大修道院

(ユネスコ)の世界遺産に登録されているウクライナ正教会のペチェールシク大修道院で11世紀に建てられた聖ソフィア大聖堂などが大きな被害を受けた。

 ウクライナ当局によると、北東部ハルキウでは、ロシアの攻撃で起きた火災の消火に当たっていた救助隊員5人が死亡した。

 ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアはこの日の攻撃でウクライナ各地にミサイル70発とドローン611機を撃ち込んだとし、歴史的な大聖堂破壊は、「現在のキリスト教文化に対する、ロシアによる最大の犯罪の一つとなった」と非難。

 シビハ外相も「キーウ・ペチェールシク大修道院という、キリスト教にとって最も聖なる場所のひとつを攻撃したことで、プーチンは歴史上最悪の野蛮人のリストに永遠に名を連ねた」と厳しく批判し、さらに、「我々はユネスコおよびその他すべての国際的枠組みの下で、関連するあらゆる手続きを緊急に開始し、国家によるこの蛮行に対して即時かつ適切な対応を求める」と強調した。

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)は15日に発表した生命で、「ウクライナで最も重要な精神的・文化的ランドマークの一つへの攻撃」を非難。「こうした施設が破壊されることは、復興と社会的結束に不可欠な文化、教育、共有空間へのアクセスを地域社会から奪うことになる」と述べた。

 ユネスコによると、大聖堂は、第2次世界大戦中に南東の塔を除きほぼ完全に破壊されたが、1999年から2000年にかけて、18世紀後半のウクライナ・バロック期の建築様式に基づいて再建されていた。

(BBC6.16更新、Reuter6.15の報道をもとにまとめました)

2026年6月17日

・教会など標的のテロ頻発のモザンビークで、カトリック司教が銃殺される(Crux)

Bishop slain in Mozambique(2026.6.6   Crux Now Staff)

 アフリカのモザンビークで6日未明、カトリック司教が銃撃され、遺体となって発見された。事件の詳細はほとんど明らかになっていないが、司教は公邸の廊下で胸部を撃たれたとみられる。

 司教殺害は、教会や国全体を襲うその他の暴力、特にモザンビーク北部のカボ・デルガド州におけるテロリストによる暴力が頻発する中で発生した。

 54歳の同司教はコンソラタ宣教会の宣教師であり、教区長着任から1年未満。モザンビーク司教協議会会長のイナシオ・サウレ大司教が同日、教会支援団体「Aid to the Church in Need(ACN)」への声明で述べたところによると、ケリマネ教区のオソリオ・シトラ司教が同日、司教公邸で「息絶えているのが発見された。まだ解明されていない不可解な状況下にあった」という。

 大司教は、この「悲しい出来事」に直面するすべての人々に対し、「信仰の平静と兄弟愛による連帯」を呼びかけた。

 Crux Nowは、ACN米国支部のジョン・バーガー氏からのメールでこの事件を知った。同協会による声明によると、犯人は依然として不明。

 モザンビークのダニエル・チャポ大統領も声明を発表し、司教の早すぎる不自然な死の報に「深い悲しみと衝撃」を表明した。そして、この喪失をモザンビーク社会およびキリスト教共同体にとって「取り返しのつかないもの」と表現し、殺害された司教は「生涯を通じて、謙虚さ、牧会への献身、そして平和と和解の価値を説くことで際立っていた」と述べた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2026年6月8日

(評論)モザンビークの司教殺害事件は、教皇スペイン訪問中にキリスト教徒への迫害を浮き彫りにした

(2026.6.7  Crux  Editor-in-Chief  Charles Collins)

   モザンビークのケリマネでオソリオ・シトーラ・アフォンソ司教が6日殺害されたことについて、 教皇レオ14世は「悲しみをもって知った」と語られた。バチカン報道局の声明によると、教皇は「この途方に暮れる時、教区民およびモザンビークの人々と共に祈りを捧げ、主が彼らに慰めを与え、その愛をもってすべての男女を守り、暴力の手を止められるように」と願われた。

 54歳のシトーラ・アフォンソ司教は、司教公邸で銃撃され死亡した。ケリマネの司教に任命されたのは昨年7月。ベイラ大司教区の使徒座代理も務めていた。

 司教殺害は、モザンビークのカトリック教会にとって衝撃だ。モザンビークはかつてポルトガルの植民地であり、ケリマネの北に位置するカボ・デルガド州ではイスラム過激派による反乱が続いている。シトーラ・アフォンソ司教は、同教区への任命前は同国司教協議会の事務総長を務めており、国内北部の紛争について頻繁に報道陣に語っていた。故国に戻る前、彼は長年イタリアに滞在し、コンソラータ宣教会の様々な役職に就き、バチカンの福音宣教省でも職務に就いていた。

 

 

*世界中で起きているキリスト教徒迫害について、教皇は今のところ言及せず

 

 司教の殺害は、世界中で起きているキリスト教徒への迫害に注目を集めることになる。現時点では、教皇はスペインにおいて、この問題について言及することを避けている(とはいえ、彼のスペイン訪問はまだ始まったばかりではあるが)。

 1930年代のスペイン内戦中、西欧におけるカトリック教徒への最大の迫害とされる事件が起きた。13人の司教を含む6800人以上の聖職者をはじめ数万人のキリスト教徒が信仰のために殺害された。これらの殉教者のうち2200人以上が列福され、そのうち11人が列聖されている。

 教皇レオ14世も、昨年12月に120人以上のスペイン人殉教者を列福しており、4月27日には、今週首都バルセロナを訪問する予定のカタルーニャ地方で殉教した47人の将来の列福を承認した。これらの殉教者の多くは、主に反宗教的であった共和派によって殺害された。フランコ将軍率いる国民派はカトリック教会の支持を受けており、教会は国民派を「キリスト教徒を守る唯一の存在」と見なしていた。フランコは勝利し、1975年に他界するまで独裁者として国を統治。スペインの政党は、今もなおこれら二つの派閥と結びついている。

 スペイン訪問中の教皇はスペイン内戦についてまだ直接言及していないが、6日の講話で、現在も続く緊張関係に暗に言及。「真理への愛ゆえに、私は皆に、社会の現実や歴史に関する分裂や対立を招く物語を脇に置き、複雑さを実りあるものとして受け入れることで、実りのない単純化を乗り越えるように」と呼びかけ、「複雑さを理解し研究し、それを否定するのではなく祝福として受け入れることを学び、すべてを説明しているように見えながら実際には世界を『亡霊』や敵で満たすだけの、アイデンティティに基づくアプローチから逃れること。これこそが、偉大な歴史の継承者たちの課題だ」と言明した。

 

 

*司教殺害は、キリスト教徒への迫害が単なる「歴史」でないことを示している

 

 モザンビークで起きた最新の殺人事件は、キリスト教徒への迫害が単なる歴史ではないことを示している。スイスのクルト・コッホ枢機卿は昨年、教皇から教皇庁財団「教会援助協会(ACN)」の会長に任命された。今月初め、彼はACNに対し、「教会史の最初の数世紀よりも、今、多くの殉教者がいる。独裁者たちは、カトリック、正教会、ルーテル派、英国国教会、あるいはプロテスタントといった区別をしない。そして、流された血は、分裂を超えてキリスト教徒を結びつける」と述べている。

 慈善団体Open Doorsによると、世界中で3億8800万人以上のキリスト教徒が、信仰ゆえに深刻な迫害や差別に苦しんでいる。その多くはアジアやアフリカだが、中南米の一部でも同様の状況が見られる。

 だが、欧米諸国で長年勢力を伸ばしてきた「ポスト・キリスト教的進歩主義」は、結婚、性、性自認、安楽死、その他の医療問題について、これとは相反する見解を掲げてきた。それによって、スペインを含む多くの欧米諸国で、伝統的なキリスト教的見解を持つ人々に対する社会的、司法的な弾圧が生じている。

 この問題が提起する課題は、欧米諸国にとどまらず、南半球や東アジアにも及んでいる。そこでは、西側による搾取が日常的であり、西側からの援助が21世紀の進歩的な道徳観を受け入れる意思があるかどうかに左右されることが多い。教皇フランシスコは、このような現状を「イデオロギー的植民地化」と呼んだ。この言葉は、強制的かつ文化・社会的な再構築に帰着する「社会的、地政学的な現象の複雑な網の目」を形容する痛烈な表現である。

 教皇レオ14世は、現在の”危機の火種”の一つであるスペインで、慎重に歩みを進め、社会の様々な要素の間で、より深い和解と協力を模索している。

 彼は6日、スペイン国民に向けて、「現実には、平和のメッセージは、現在残念ながら一部の人にはナイーブに、また他の人には対立的だと受け取られているが、先入観に囚われず、むしろ真理に開かれた人々には歓迎されている」と語った。教皇は、スペイン国内だけでなく、21世紀の世界中の各地において、スペイン内戦の「亡霊」と戦わねばならないかもしれない。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2026年6月8日