・「人命の尊厳を守る手段が失われる!」英国にある世界有数のカトリック系生命倫理研究機関が閉鎖に

(2025.7.3  Crux  Managing Editor   Charles Collins)

  世界有数のカトリック系の生命倫理研究機関の一つが、今月末に閉鎖される。イングランド・ウェールズ・カトリック・トラストは3日、オックスフォードにある「アンスコム生命倫理センター」を閉鎖すると発表した。(理由は明らかにされていない。)

 同センターは1977年に設立された英国最古の生命倫理研究機関。豪シドニーのアンソニー・フィッシャー大司教は「英国屈指のキリスト教系生命倫理研究所であるだけでなく、キリスト教系、世俗系を問わず、世界でも最も優れた研究所の一つ」と語っている。

 センター長のデイビッド・アルバート・ジョーンズ教授は声明を発表し、その中で閉鎖の発表を「深い悲しみ」とともに受け止めている、とし、「センター職員一同は、センターが創出してきた資源を引き続き利用できるように、そして『人間の尊厳を全面的に尊重する生命倫理研究と教育』という重要な活動を継続していくための何らかの手段が見つかることを切に願っている」と訴えた。

 また教授は、「過去1年間、センターの活動の大部分は、スコットランド、イングランド、ウェールズにおいて、『末期』とみなされる人々に対する『自殺の助長・幇助』を非犯罪化しようとする試みを抑えることに注力してきた。私たちの活動は議会で引用され、この問題に関心を持つ多くの人々への情報提供に貢献してきた」としたうえで、「多くの善意ある人々の努力にもかかわらず、スコットランド、イングランド、ウェールズにおいて、自殺幇助法案は、若干の多数票を取り、成立に向けて進んでいる。センターは今後新たなリソースを提供する立場にはないが、既に提供済みのリソースを活用し、スコットランド議会の貴族院が危険で思慮に欠ける法案の議論を続ける中で、関係機関と連携していくよう強く求めたい」と強調した。

 同センターと深い関係をもつ人物は、「今回の決定は、センターで進行中のプロジェクトや協力関係を危険にさらす」と述べ、「センターは非常に積極的に活動しており、特に自殺ほう助との闘いにおいて活発だった。センターがなくなることは、教会が学術に根ざしつつも、より広範な国民や政策立案者に対して訴えかけることができる重要な擁護の源泉を失うことを意味する」と批判している。

 新教皇、レオ14世は、在バチカンの外交団に「胎児から高齢者、病人から失業者、市民から移民まで、特に最も虚弱で弱い立場にある人々を含む、すべての人の尊厳を尊重に努める義務から、誰も免除されない」と述べ、テクノロジーの変化、特にAI(人工知能)の台頭は、カトリック教会の大きな懸念事項だ、と指摘している。

 英国のカトリック教会は今、これらの問題における最も有力な擁護者の一人を失うことになるだろう。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

2025年7月6日

・世界の諸宗教代表の「平和に関する円卓会議」東京で開催、世界的危機へ諸宗教の信頼関係構築と人道支援で政治指導者との連携など協議

The Third Tokyo Peace Roundtable organized by Religions for Peace InternationalThe Third Tokyo Peace Roundtable organized by Religions for Peace International 
2025年7月5日

・アジア、アフリカ、ラ米の司教協議会連盟などが共同で、COP30に向けて”気候正義”と”共通の家”への呼びかけ

(2025.7.1 Vatican News   Isabella H. de Carvalho )

 アジア、アフリカ、ラテンアメリカの各司教協議会連盟と教皇庁ラテンアメリカ委員会が1日、今年11月にブラジルで開かれ国連気候変動枠組条約第30回締約国会議(COP30)に向けて、気候正義と環境への回心を呼びかける共同文書を発表した。共同文書は、教会の「気候正義」への誓約を改めて表明し、今年で公布10周年を迎える教皇フランシスコの回勅『ラウダート・シ』に沿って、各国政府に行動を呼びかけている。

 

 

*タイトルは「気候正義と共通の家への呼びかけ:エコロジーへの転換、変革、そして誤った解決策への抵抗」

 

 「気候正義と共通の家への呼びかけ:エコロジーへの転換、変革、そして誤った解決策への抵抗」と題する共同文書は1日のバチカンでの記者会見での発表とともに、教皇レオ14世にも手渡された。記者会見の冒頭で、アジア司教協議会連盟(FABC)会長のフィリペ・ネリ・フェラン枢機卿は、「私たちのメッセージは外交的なものではなく、極めて司牧的なもの。地球を単なる商品のように扱い、被造物を食い尽くそうとする体制に直面し、良心への呼びかけです」と述べた。

 記者会見には、フェラン枢機卿と共に、ラテンアメリカ・カリブ海司教協議会連盟(CELAM)会長のハイメ・スペングラー枢機卿、アフリカ・マダガスカル司教会議シンポジウム(SECAM)会長のフリドリン・アンボンゴ・ベスング枢機卿、教皇庁ラテンアメリカ委員会事務局長のエムリス・クダ枢機卿が出席しました。

 クダ枢機卿は「私たちは、被造物に対する各地で起きている戦争の真っ只中にあって平和を築くために、COP30に参加します。戦争では多くの人が命を落としており、私たちが今、行動を起こさねば、さらに多くの人が命を落とすことになるでしょう… 私たちがCOP30に参加するのは、教皇レオ14世が述べておられるように、教会が『常に、特に苦しむ人々に寄り添おうと努める』ためです」と説明。

 

 

*アマゾンからアフリカまで、教会は声を上げる

 

 またスペングラー枢機卿は「私は声を上げていますが、それは私だけのものではありません。アマゾンの人々、土地の殉教者たち、つまり気候の殉教者たち、そして川辺の先住民、アフリカ系住民、農民、そして都市のコミュニティの声です」と述べ、「生活様式、生産、消費における変革の必要性を緊急に認識する必要があります」として『グリーン資本主義』や『移行経済』といった名目で経済的利益を”隠蔽”することや、アマゾンで新たな油井を掘削することを非難、「『自然の金融化』というような仕組みを、教会は拒否します」と強調した。

 アンボンゴ枢機卿も、「何世紀にもわたる搾取、奴隷制、搾取によって貧困に陥った」アフリカ大陸の教会の名において語り、「武装集団の増殖の根源に、鉱物資源の採掘競争がある」と指摘。「アフリカの人々を犠牲にして他者を豊かにすることのない経済」を求め、「アフリカは、全人類にとって正義と平和の未来に貢献したい… ”偽りの解決策”はもうたくさんです。気候崩壊の最前線にいる人々の声に耳を傾けずに下される決定は、もうたくさんです」と訴えた。

 フェラン枢機卿は、アジア大陸の観点から、「台風、強制移住、島の喪失、河川の汚染など、気候変動の壊滅的な影響に何百万人もの人々が苦しむ一方で、巨大インフラ、人間の尊厳を尊重しない『クリーン・エネルギー』のための移住、そして『グリーン・バッテリー』の名の下に行われる無情な採掘といった”偽りの解決策”が進んでいます」と批判。 「豊かな国々は、南半球諸国に負債を負わせ続けず、自国の環境負債を認識し、返済すべきです」と訴え、教会として、「教育プログラム」「新たな経済的道筋」「最も影響を受けやすい女性と女児の支援」といった代替案を推進する意思を表明した。

 

*教皇フランシスコの遺産

 

 バチカンの総合人間開発省長官のマイケル・チェルニー枢機卿は、この文書がフランシスコ教皇の遺産と深く結びついていることを強調。「10年前、この記者会見が教皇回勅『ラウダート・シ』の成就と実践であると想像できた人はいたでしょうか。これは、教皇フランシスコが訴えてこられたこと、そしてレオ14世教皇が強調され、呼びかけを続けておらえることを、強く表明したものであり、このような文書が取りまとめられたことに感謝した」と語った。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二

 

2025年7月2日

・ダマスカスの正教会で自爆テロ、礼拝中の信者20人以上が死亡

 

An image shows the destruction wrought inside the Mar Elias Church in DamascusAn image shows the destruction wrought inside the Mar Elias Church in Damascus  (© Patriarchato greco-ortodosso di Antiochia )

2025年6月24日

*「ホスピスや緩和ケアの患者の命を守る権利が損なわれる」と英カトリック教会、”自殺ほう助合法化”法案に警告(Crux)

(2025.6.19 Crux  Managing Editor  Charles Collins)

 英国で、終末期の成人の「死を選ぶ権利」が認められる見通しになったが、同国のカトリック教会は「ケアホームやホスピスの患者の生命を守る権利を損われる」と警告している。

 労働党のキム・リードビーター議員が提出した法案は正式には「終末期の成人(終生)法案」といい、英国議会下院で20日行われた採決で、賛成314、反対291で通過した。上院で覆される可能性は低く、2029年までに、合法的に自ら命を絶つことができるようになる、という。

 安楽死と自殺幇助について英国では現在、イングランド、ウェールズ、北アイルランドの法律では違法であり、過失致死または殺人とみなされている。スコットランドでは、特別な法律はないが、殺人罪に問われる可能性がある。下院を通過した法案は、18歳以上の終末期の成人に、医療幇助による自殺を要請する権利を認めるものだ。

 イングランド・ウェールズ・カトリック司教協議会が19日発表した声明では、「法案が可決された場合、カトリックのホスピスやケアホームが何らかのメカニズムで自殺幇助に関わることを要求される可能性が高い。この法案はそのようなカトリック施設の将来を脅かすものである」と強く非難している。

 声明では、ホスピスやケアホームが自殺幇助に協力せざるを得なくなる可能性のある具体的なケースには、以下のようなものがあるとしている。

1. 政府の所管大臣は、自殺幇助の利用可能性を確保するための規制を作る権限を与えられる。これらの規制が議会で議論される可能性は低い。ホスピスやケアホームに要件を課す可能性がある。他の同様の分野では、「サービス」へのアクセスの平等は、ほとんど例外なく、制度の自由よりも優先される。

2. 自殺幇助の提供は、政府によるホスピスへの資金援助、地方自治体によるケアホーム入居者への資金援助、あるいは地方自治体の医療機関との契約に縛られる可能性がある。これはカナダで経験されている。

 リーズにある聖ジェームス・ホスピスは、法案委員会への証拠の中で次のように述べている— 「もし死への幇助の規定を遵守することが、政府による補助金提供の条件となれば、我々のような施設は、完全に運営を停止せざるを得なくなる恐れがある。
また、ホスピスUK(自殺幇助には基本的に反対していない)のCEOはこう述べている— 「ホスピスへの影響を過小評価したり、軽視してはならない。答えのない大きな問題がある」。

 イースト・ロンドンのハックニーにある聖ジョセフ・ホスピスは、2024年10月に次のように述べている— 「カトリックのホスピスとして私たちの立場は、『死への援助』は私たちの専門的な緩和ケアの実践に関係なく、私たちの理念や価値観に合致するものではない、ということだ。私たちは死を早めることも先延ばしすることもしない。私たちは生を大切にするが、自然な死が訪れることも受け入れる」。

3. 雇用主は、自殺幇助を選択した従業者に対して行動を起こすことができなくなる。ある国会議員は、ケアハウスやホスピスの不参加を認める修正案に反対した際、「ケアハウスやホスピスが、そのような施設の顧客が自殺するのを助けるために、職員が良心の権利行使を妨げることを認めるのは間違っている」と明言した。

 法案提出者は、施設の職員や入所者の「権利」は、施設の自由よりも優先されねばならない、と考えていることを明らかにしている。もし職員、特に上級職員が、自殺幇助を希望する入所者のために手配をしたり、医師の場合は直接援助を提供したりすれば、カトリックのホスピスやケアハウスは運営不可能な立場に追い込まれるかもしれない。

4. 人権や平等法への異議申し立ては、重篤な病気で快適に移動することができない人が、介護を受けている施設が施設内での自殺幇助の提供を支援しなければ、その人権が損なわれたり、平等法の不利益を受けることになる、ということを立証する可能性がある。この法案の実施を担当する所管大臣は、国会で、「自殺幇助を促進しない介護施設に対する人権侵害は、成功する可能性が高い」と指摘している。

 以上の指摘から、声明は、「この法案が成立すれば、カトリックのホスピスやケアハウスがサービスを中止せざるを得なくなる恐れがある。英国における他の同様の法律分野や、国際的な自殺幇助法の経験が、こうした懸念を高めている」と述べ、「多くのカトリック系ホスピスは、都市の大部分の地域でサービスを提供している。緩和ケアの提供への投資と強化が必要な時期に、この部門からの撤退は、緩和ケアの提供に甚大な問題を引き起こす可能性がある」と警告している。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2025年6月21日

・ウクライナ北東部の都市で血塗られた「受難の主日」ー ロシアのミサイル攻撃で、礼拝に向かう信者や子供が多数死傷

Aftermath of the Russian missile attack in Sumy, UkraineAftermath of the Russian missile attack in Sumy, Ukraine 

 クルボカス大使は声明で、このような無意味な暴力を前にした無力感を嘆き、「私たちを守ってくださるのは主だけです。平和と命を守るために、他に頼れる力はないように思えます」と述べた。

 

2025年4月15日

・米国の司教団、トランプ大統領の連邦政府との難民支援に関する協力関係を解消

Afghan refugees arriving in the United States after being evacuated from Kabul (file photo)Afghan refugees arriving in the United States after being evacuated from Kabul (file photo)  (2021 Getty Images)

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2025年4月9日

・年間死者5600人と治安悪化のハイチ、武装集団が修道女2人を殺害(La Croix)

(2025.4.4 La Croix International sataff)

 (In late February last year, gangs launched an offensive on Port-au-Prince, seizing control of 80% of the country and worsening the already critical security situation. (Illustration photo)=Photo by U.S. Marine Corps /CC0 1.0)

In late February last year, gangs launched an offensive on Port-au-Prince, seizing control of 80% o

 

 ハイチ中部ミレバレスで3月31日、2人のカトリック修道女が殺害された。武装集団が市を制圧し、地元の刑務所から500人以上の受刑

者が脱獄した一連の暴力事件の中で起きた。

 現地の報道によると、修道女たちはミレバレスの学校で働いていたが、武装集団の襲撃から逃れて民家に避難したものの、その建物も襲われ、二人や少女を含む建物内にいた全員が殺害された。2022年にシスター・ルイザ・デルオルトが暗殺された事件や、昨年年1月に修道女6人が誘拐された事件(後に解放された)など、宗教関係者に対する攻撃の悲惨なリストに、今回の事件による犠牲者が加わった。

 被害者のシスター・エヴァネット・オネザイアとシスター・ジャン・ヴォルテールは、修道女の団体「幼きイエス修道会」の会員。首都 ポルトープランスのマックス・リロイ・メシドール大司教は、2人の死を確認し、「地域社会にとって大きな損失」と述べた。

 31日の襲撃は、「ヴィヴ・アンサンム」武装集団連合によるより広範な攻撃の一部であり、警察署、企業、ミレバレ刑務所が標的となった。  武装集団はミレバレ大学病院も襲撃し、医療スタッフと患者を脅迫した。 ハイチで最も近代的な病院のひとつであるこの施設は、毎日数百人の患者を治療している。 警察は、公式な死者数や被害状況の全容を

まだ発表していない。

 首都ポルトープランスでは、4月1日に治安悪化に抗議する数千人がデモを行った。武装集団の抗争が続く地区から避難した住民を含むデモ参加者は、早急な対応を求めたたが、。ハイチ警察は、大統領移行評議会本部前に集まった群衆を解散させるために催涙ガスを発射した。

 ハイチにおける武装集団の抗争による死者は、2023年には少なくとも5600人に達し、前年度から急増した。国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)のフォルカー・テュルク所長によると、2024年の最初の8か月間だけで、4200人以上が死亡し、1300人以上が負傷している。武器禁輸にもかかわらず、違法に輸入された武器が同国に流入し続けている。「この数字だけではハイチで引き起こされている絶対的な恐怖を捉えることはできないが、人々が絶え間なく暴力にさらされていることは示している」とテュルク氏は述べた。

 武装集団の残虐行為に加え、OHCHRは、警察が加担している場合もある、という。ギャング容疑者315人のリンチと、2024年に警察特殊部隊による281件の即決処刑の疑いがある事例を記録した。この暴力により、ハイチ国内で70万人以上が避難を余儀なくされ、その半数は子供である。

 ミレバレは、首都ポルトープランスから北東に約64キロの距離にある人口約20万人の都市で、主要な貿易ルートの交差点に位置している。月曜日の刑務所脱走事件は、2024年3月に首都の刑務所からギャング集団が約4000人の受刑者を”解放”した事件に続くものだ。

 昨年6月に国連支援の多国籍治安支援部隊が展開されたにもかかわらず、ハイチの治安危機は悪化の一途をたどっている。「我々は戦争状態にある」と、暫定評議会の議長であるフリッツ・アルフォンセ・ジャン氏は述べた。同氏のこの発言は、武装集団が国内を掌握するにつれ、絶望感が募っていることを浮き彫りにしている。

 最も衝撃的な事件のひとつは、12月初旬にジェレミー埠頭の武装集団が、ポルトープランスにあるシテ・ソレイユ地区で少なくとも207人を虐殺した事件だ。被害者たちは、ブードゥー教の儀式によって、ある武装集団のリーダーの息子が死亡したと非難された。国連人権高等弁務官事務所によると、犯罪を隠蔽するために、ギャングのメンバーは遺体を損壊し、焼却し、一部は海に投げ捨てたという。

 ハイチで暴力が拡大し続けている中、同国の復興と再建を支援するという世界の決意が試されることになる。即時かつ持続的な行動がなければ、今後数年間で、人命と生活基盤に壊滅的な打撃がさらに悪化するだろうと、関係者は語っている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

(注:LA CROIX internationalは、1883年に創刊された世界的に権威のある独立系のカトリック日刊紙LA CROIXのオンライン版。急激に変化する世界と教会の動きを適切な報道と解説で追い続けていることに定評があります。「カトリック・あい」は翻訳・転載の許可を得て、逐次、掲載していきます。原文はhttps://international.la-croix.comでご覧になれます。

LA CROIX international is the premier online Catholic daily providing unique quality content about topics that matter in the world such as politics, society, religion, culture, education and ethics. for post-Vatican II Catholics and those who are passionate about how the living Christian tradition engages, shapes and makes sense of the burning issues of the day in our rapidly changi
ng world. Inspired by the reforming vision of the Second Vatican Council, LCI offers news, commentary and analysis on the Church in the World and the world of the Church. LA CROIX is Europe’s pre-eminent Catholic daily providing quality journalism on world events, politics, science, culture, technology, economy and much more. La CROIX which first appeared as a daily newspaper in 1883 is a highly respected and world leading, independent Catholic daily.

2025年4月6日

・「ロシアの軍事侵略は露骨な国際法違反、ウクライナとその国民へ支援続ける」と欧州司教団が声明

The Commission of the Bishops’ Conferences of the European UnionThe Commission of the Bishops’ Conferences of the European Union 
2025年3月4日

・米カトリック教会のコロンバス教区、2年半で神学生が二倍以上の40人に、その”秘密”は

Bishop Earl Fernandes visits the offices of Vatican News(アール・フェルナンデス司教、バチカン・ニュースのオフィスを訪問)

  米国カトリック教会のコロンバス教区では、アール・フェルナンデス司教のリーダーシップと司祭召命の働きかけのにより、わずか2年半の間に司祭候補者である神学生の数が17人から40人に大幅に増えた。

 2022年5月にコロンバス教区長となったのフェルナンデス司教は、自身の司教叙階式でのあいさつで、その年に叙階される司教の数が「コロンバス教区の司祭の数を上回ります」と語った。会衆は笑ったが、司教の発言は事態の深刻さを反映していた。

 「当時、教区には新しく叙階された司祭はおらず、私はまず、福音化と司祭の召命を増やす努力という2つの課題に直面していました」とフェルナンデス司教はVatican Newsの取材に答えた。司教は、教皇フランシスコが召命のために祈るよう教会に要請された先月、バチカンを訪問した。

*職業識別プログラム

 

 フェルナンデス司教はコロンバス教区長に就任後、直ちに職業識別プログラムを実施、2年半で神学生の数を倍増させた。そして、昨年は新たに5人の司祭を叙階したが、 「これは、信徒が秘跡を受けやすくなったことを意味します」と司教は成果を強調した。

 また、司祭召命の増加について、「一貫した努力と祈りの賜物。私たちには非常に有能な『召命ディレクター』がおり、『メルキゼデク・プロジェクト』、すなわち若者のための定期的な職業識別の日を担当し、教皇庁立ヨゼフィヌム大学で、召命の週末を企画・実施しています」と説明。

 さらに、教区として年に4回、司祭職への召命を考えている若者たちと夕食を共にする 「アンドリュー・ディナー 」を開いており、「この食事会の間、私は質問に答えながら、神学生たちは自分の証しを語ります。司祭生活がどのようなものかを肌で感じる機会にもなっています」としている。

*教皇と教会への愛で満たされる

 

 司教は「司祭と神学生の養成を重視ししており、特に信徒との効果的な対話には教養ある司祭が必要」と指摘。教区として、司祭と神学生をローマに派遣して学ばせることとし、現在、2人の神学生と5人の司祭がそうしている。「ローマ留学は、彼らが聖なる父に近づき、普遍的な教会に触れ、教区神学校で教えるための教育資格を得る機会となる。普遍教会と聖なる父への愛で満たされ、その愛を私たちの教区に持ち帰るでしょう」と期待を込めて語った。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2025年3月1日

・ウクライナ正教の大主教、「ロシアによる”冒涜的”な戦争は正当化できない」-ウクライナ人捕虜6人射殺のビデオで

(2025.1.30 Crux Managing Editor   Charles Collins)

   ウクライナ東方カトリック教会の首座司教、シェフチュク大司教は30日、ロシア兵が非武装のウクライナ人捕虜6人を処刑する様子を収めたビデオについて、「衝撃的」と強く非難した。

 1月23日以降、ソーシャルメディアで広く拡散されているこのビデオには、ロシア兵が交代で非武装のウクライナ人捕虜の背中を銃撃する様子が収められている。動画の終わりに、ロシア兵の一人が「一人は俺のものだ」と言い、7人目の兵士が地面に倒れている様子が映し出されているが、彼に何が起きたのかは不明だ。

 ウクライナの検察当局は1月23日の声明で「初報によると、ドネツク地方におけるウクライナ軍の陣地への攻撃の際、占領軍がウクライナ国防軍の兵士6人を捕虜とし、その後、彼らを射殺した」とし、「捕虜の処刑は、捕虜の待遇に関するジュネーブ条約の重大な違反であり、重大な国際犯罪だ。現在、犯罪の全容と実行犯の特定に向けた捜査が進められている」と述べた。

 ロシアは2014年にクリミアを違法に併合し、2022年2月にウクライナへの全面侵攻を開始した。ロシア軍はウクライナで徐々に前進しているが、ウクライナ人と同様に、ロシア人も甚大な犠牲を被っている。

 シェフチュク大司教はビデオメッセージで、「ロシアはどんな犠牲を払ってでも、軍事力によって政治的目標を達成しようとしており、毎日何千人もの兵士を”野蛮”な攻撃で犠牲にしている… これは大虐殺だ」と批判したうえで、「先週、私たちは6人のウクライナ人捕虜に対する残虐な処刑の映像と、処刑したロシア人が、自分の胸に『無原罪の御宿り』のイコンのステッカーを貼っていたのを見て、最も大きな衝撃を受けた。それは本当に恐ろしい光景だ… キリスト教徒の良心はこれを許容することはできない」と言明した。

 そして、「神を冒涜する戦争は正当化できない。無防備な犠牲者が、神の名のもとに虐殺されてはならない。教皇は、現在の状況を明確に定義している。これはもはや『戦争』ではない。軍隊の慣習や規則、国際人道法を尊重していないからだ。これは暴挙だ」と付け加えた。

 シェフチュク大司教の「冒涜的な戦争」という発言は、ロシアによるウクライナ侵攻が、ロシア正教会のキリル総主教によって強く支持されていることを浮き彫りにしている。キリル総主教は、1月7日の正教会のクリスマスにロシア国営テレビで放送されたインタビューで、「ロシアは、”病んだ西洋”と”聖書的な戦い”を繰り広げている、若く、非常に強い文明だ」と述べたのだ。

 またシェフチュク司教は、ウクライナの都市や村が毎晩ロシア軍の砲撃を受けている事実も指摘。「私たちが受け入れることも、慣れることもできない残虐な現実を、ウクライナ国民の声を、世界の人々にもう一度聞いてもらいたい。ウクライナは立ち上がる!ウクライナは戦う!ウクライナは祈る!」と訴えた。

 最近の調査では、ウクライナ人の大半が、敗北を受け入れるのでない限り、ロシアとの和平協議に賛成していることが明らかになっている。だが、ロシアのプーチン大統領は今週、国営テレビで、2022年の侵攻開始以来、ウクライナでは選挙が実施されていないことを理由に、「ゼレンスキー大統領には正当性がないため、話すことはできない」と述べた。

 大司教は、「ウクライナ領土防衛部隊の隊員が2022年の侵攻以来、行方不明になったり、ロシア軍に捕虜として連れ去られたりした人々の親戚や友人である女性や母親たちの話を聞いた。その中で最も心を打たれたのは、捕虜として投獄されている人々が祈りを捧げることさえ許されていない、という話だった。ロシア軍は彼らを動物のように扱い、『動物は祈りを捧げない』と言っているという。捕虜は十字架や聖書で祈ることを含む宗教的な行為をすべて否定されています」とロシア軍の非人道性を訴えている。

 

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。
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2025年2月3日

☩「『希望の聖年』にウクライナ和平が達成できるように対話を」-教皇、ウクライナの若者たちと初のオンライン会議

(2025.2.2 Crux  Managing Editor  Charles Collins)

 カトリック教会の2025年聖年が2か月目に入った1日、教皇フランシスコがウクライナの若者たちと初のオンライン会議を開き、速やかな和平に向けた取り組みを、ロシア、ウクライナ双方に改めて訴えた。

 ロシアは2014年にクリミアを違法に併合し、2022年2月にはウクライナへの全面侵攻を開始した。ロシア軍はウクライナで徐々に前進しているが、ウクライナの人々と同様に、ロシアの人々も大きな犠牲を払わされている。

 米大統領に就任したトランプ氏はこの問題に終止符を打つことを公約し、先週には記者団に対し、「我々は話し合い、おそらく重要な何かを行うことになるだろう。我々はあの戦争を終わらせたいのだ」と言明した。

 ウクライナの若者たちとのオンライン会議の冒頭、教皇は「戦争は常に破壊をもたらします… その解決策は対話です。常に、私たち自身の間で、そして私たちに反対する人々とも、対話を行うのです。どうか、対話しようとすることに疲れてしまわないでください。対話を通じて平和が築かれるのです。確かに、一部の人々の頑固さにより対話が不可能な場合もあるでしょう。でも、私たちは常に努力しなければならない」と強調。

 そして、「今、命が軽んじられている。人間の命よりも、金や戦争の立場が重視されています」と批判された。

 このオンライン会議は、ウクライナとロシアの対話を長年呼びかけてきた教皇の姿勢を浮き彫りにした。ウクライナのカトリック教徒はこの紛争の被害者であり、ロシアの侵攻に強く反対してきた。これに対して、教皇は昨年3月、「状況を見極め、人々について考え、白旗を揚げる勇気を持って交渉する人が、最も強い人だ」と、ウクライナ側に降伏を進めるように受け取られる発言をして、非難された。それで教皇は改めて、「『交渉する』という言葉は、勇気のいる言葉です。自分が負けている、物事がうまくいっていないと気づいたとき、交渉する勇気を持たなければならない」と言い換えていたが、和平を掲げるトランプ大統領の登場で、教皇の紛争終結の呼びかけが改めて脚光を浴びるようになっている。Pope Francis engages in dialogue with young Ukrainians on Feb. 1, 2025. (Credit: Vatican Media.)

 会議で、教皇は、ウクライナ東部の激戦区ドネツク州のアウディイフカで命を落とした若いウクライナ兵士、オレクサンドルが携帯していた新約聖書と詩篇の書を手に掲げ、「私にとって、これは祖国のため、平和のために命を捧げた若者の遺品、あなたがたウクライナ人の遺品なのです。私はこれを机の上に置き、毎日これと共に祈っています。祖国を守った英雄たちを忘れてはなりません。ウクライナの人々は苦しんでいます。目を覚まして、戦争が何をもたらすのかを見ようではありませんか!」と呼びかけられた。

 また、ウクライナ国外に住む若いウクライナ人たちに対しては、「愛国者たれ」と語りかけ、「すべての若者には使命がある。困難な時代にあって、若者たちは『祖国の精神』を継承していかねばなりません。祖国は戦争によって傷ついていますが、その祖国を愛すること。祖国を愛することは素晴らしいことです」と強調。「あなた方の祖父母は、『記憶』の守護者です。彼らのことを忘れてはならない」とも説かれた。

 ウクライナのゼレンスキー大統領は、2日朝、X(旧Twitter)に投稿し、「ロシアは連日、無人機、ミサイル、爆弾で我が国を攻撃している。今週だけでも、我々の都市や地域に対して数百回の攻撃があり、敵が我々に対して発射したミサイルは約50

Pope Francis urges peace in Ukraine during 2025 Jubilee

発、攻撃用無人機は約660機、誘導航空爆弾は760発を超えている」とロシアを強く非難した。

 そして、「ロシアは自発的に戦いを止めることはないだろう。世界は、この残忍で理不尽な侵略を終わらせるよう、ロシアに強制せねばならない。ウクライナが防衛力を強化することは絶対に必要だ。我々には、より優れた防衛力、すなわち、防空システム、長距離兵器、制裁圧力が必要だ。これらはすべて、ウクライナ国内の人命を救うのに役立つ」と強調。「この重要性を理解し、我が国を信じ続け、支援してくれている世界中のすべての人々に感謝する」と述べた。

 教皇は1日の会議で、ウクライナの若者たちに、「この戦いを終わらせることが容易なことではないことは、私も理解しています… 赦すことは最も難しいことのひとつです。それは誰にとっても難しいことで、私にとっても難しいことです」と認めたうえで、「私は、次のように考えて、助けられています―自分が赦されたように、私も赦さなければならない、と。私たち一人ひとりが、自分がどのように赦されたかを思い出す必要があります。赦すことは容易ではありませんが、私たちは常に前進し、常に赦さねばなりません」と語った。

 そして、教皇は、「私たちは皆、間違いを犯しますが、転んだら立ち上がり、前進し続けなければなりません。恐れてはならない!リスクを冒し、転んだとしても、そこで立ち止まってはならないのです」と強調して、”忍耐のメッセージ”で締めくくった。

 2025年に起こる変化、すなわち、「希望の聖年」が、ウクライナで目標を達成するかどうか、まだ分からない。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2025年2月3日

・ガザ停戦合意ー聖地の司教団、歓迎するも「長い和平プロセスの第一歩」と楽観戒め

Christmas celebrations at the Church of the Nativity, in BethlehemChristmas celebrations at the Church of the Nativity, in Bethlehem 
(2025.1.17 カトリック・あい)

  ガザ地区の停戦合意が15日発表されたのを受け、聖地のカトリック司教団は16日、声明を発表し、これを歓迎するとともに、15か月にわたる戦争による「計り知れない苦しみ」に終止符を打つことを期待する述べた。ただし、これは「長いプロセス」の第一歩に過ぎない、と手放しの楽観を戒めている。

 実際、19日からの停戦履行期間に入るのを前に、ガザ地区では16日もイスラエル軍による激しい攻撃が続き、現地のメディアは合意が発表された後に77人が死亡した、と伝えており、ハマスは声明で「イスラエル軍の攻撃は解放される予定の人質の安全を脅かしている」などとけん制した。

 一方、17日には、イスラエル政府が、パレスチナ自治区ガザでの停戦合意について話し合う治安閣議を開き、全体閣議で停戦合意を承認する見通し。イスラエル首相府は声明で、承認されれば「計画に従って19日に人質解放が実施される」とする見解を示した。

 聖地のカトリック司教団は16日の声明で、エルサレム、パレスチナ、イスラエル、ヨルダン、キプロスを管轄するすべてのカトリック司教、司教区大司教、総大司教で構成される司教会議は、「戦争の終結は紛争の終結を意味するものではない」と強調。必要なのは紛争の核心にある「根深い問題」に対処するための「長期にわたるプロセス」であるとし、国際社会に対して「戦後の明確かつ公正な政治ビジョンを打ち立てる」よう呼びかけている。

 また、司教団は「巡礼者の聖地への帰還を切に待ち望む」とも述べている。キリスト教の巡礼者は通常、パレスチナとイスラエルの聖地に一年中集まるが、2023年10月の戦争勃発以来、彼らはほぼ完全に姿を消した。観光業に依存する地元経済にとって悲惨な影響をもたらしている。

 声明で司教団は「希望の巡礼者」をテーマとする2025年の聖年にも言及。「失望させない希望に捧げられた聖年」の始まりにおいて、停戦合意は「神の誠実さを思い起こさせる兆し」であると期待を示した。

*声明の全文以下の通り。

 

“How beautiful upon the mountains are the feet of the messenger who announces peace, who brings good news,” (Is. 52,7)

Declaration of the Catholic Ordinaries on the Ceasefire in Gaza

The Catholic Ordinaries of the Holy Land welcome the announcement of the ceasefire in Gaza, which aims to end the hostilities in Gaza, return the Israeli hostages and release the Palestinian prisoners. We hope that this ceasefire will mark an important end to the violence that has caused immeasurable suffering. It is a necessary step to halt the destruction and meet the urgent humanitarian needs of countless families affected by the conflict.

However, we are aware that the end of the war does not mean the end of the conflict. It is therefore necessary to seriously and credibly address the deep-rooted issues that have been at the root of this conflict for far too long. Genuine and lasting peace can only be achieved through a just solution that addresses the origin of this long-standing struggle. This requires a long process, a willingness to acknowledge each other’s suffering and a focused education in trust that leads to overcoming fear of the other and the justification of violence as a political tool.

We pray that this ceasefire will bring a sense of serenity and relief to all. May this moment of calm allow all to find solace, rebuild their lives and regain hope for the future.

We sincerely hope that this ceasefire marks the beginning of a new path towards reconciliation, justice and sustainable peace. May this be the first step on a path that promotes healing and unity among all the people of the Holy Land.

We eagerly await the return of pilgrims to the Holy Places in the Holy Land. The Holy Places are meant to be places of prayer and peace, and we long for the day when pilgrims can visit them again in safety and spiritual joy.

Despite the pain we have suffered, we continue to look to the future with unwavering hope. May this ceasefire inspire new efforts for dialog, mutual understanding and lasting peace for all. At the beginning of the Jubilee Year dedicated to hope that does not disappoint, we read in this event a sign that reminds us of God’s faithfulness.

Finally, we call on political leaders and the international community to develop a clear and just political vision for the post-war period. A future built on dignity, security and freedom for all peoples is a prerequisite for true and lasting peace. We urge all parties to implement the immediate steps and negotiate the future steps of the agreement in good faith.

May the Lord bless this land with peace and lead us all on the path of reconciliation and healing.

2025年1月17日

・キリスト降誕の地ベツレヘムでは、飾りもなく、疲れと不安に彩られたクリスマス(LaCroix)

 毎年、クリスマスが近づくと、エルサレムの教会は信者たちに、喜びと希望をもって主の誕生を迎えるよう呼びかける。しかし、その誕生の地、ベツレヘムでは、経済的に息が詰まり、先行きが不透明な状況の中で、将来への不安が人々の心に重くのしかかっている。(写真はベツレヘムのキリスト降誕広場、クリスマスの飾りつけは皆無だ=CC BY-SA 4.0/adriatikus)

Manger Square and the Mosque of Omar in Bethlehem, West Bank (CC BY-SA 4.0/adriatikus)

 今年のベツレヘムには、イルミネーションも飾りもない。代わりに、ヨルダン川西岸地区唯一の大学であるベツレヘム大学に、ガザ地区で命を落とした子供たちを追悼して、パレスチナの伝統色で彩られ、木製の天使とたくさんの名前が付けられたクリスマスツリーが飾られているだけだ。

 「クリスマス? どんなクリスマス?」と、キリスト生誕の地に漂う重苦しい雰囲気を反映した人工のツリーを見つめながら、同大学の芸術学部長を務めるパレスチナ人キリスト教徒のハナディ・ユナン教授は言った。「喜ぶことなど不可能だわ」。

 この私立カトリック大学には、キリスト教徒とイスラム教徒の学生約3600人が学んでいるが、クリスマスに向けた準備は、パレスチナ人の悲しみと不安を反映した簡素なものとなっている。大学の共同ホールには、学生たちに毎週の質問に答えるよう促す「自由表現テーブル」が置かれている。12日は、「あなたは何を待っていますか?」という質問が書かれていた。 これに対する答えは様々だ。「戦争の終結」、「別の国籍」、「平和な場所を見つけること」、「結婚式、母親、叔母、祖母になること」、「お金」など。 パレスチナの若者たちが直面

する恐怖や課題を端的に表す骸骨の絵もあった。

 「学生生活における通常のストレスは、軍事占領下での生活の重みによってさらに増幅され、その上に、頻繁な移動制限が加わっています」と、イエズス会士でソーシャルワーカーでもある米人のギャレット・ガンドラック神父は説明する。神父は「オアシス」と呼ばれるコミュニティスペースを管理している。「人々は疲れ果てています」。

 ベツレヘムの馬小屋が置かれた広場には、昨年同様、クリスマスのイルミネーションやクリスマスツリー、お祭り市場などは設けられない。 待降節の初め、エルサレムの教会の長老や指導者たちは、キリスト教徒たちに「キリストの到来と誕生を祝うために、キリスト教徒の『希望』を象徴するものを公に示そう」と呼びかけた。

 昨年、彼らの装飾を控えるよう求める呼びかけは、一部の人々によって「クリスマスの取り消し」と解釈された。「『闇の中に輝く光』についての私たちの証しは弱められてしまった」と、教会指導者たちは共同声明で嘆いた。今年は、ガザ地区でのクリスマス停戦を呼びかけながら、「戦争を認識すること」と「希望を育むこと」の微妙なバランスを取ることに努めている。困難にもかかわらず、クリスマスには「喜び」と「希望」という、本来のメッセージを伝えねばならない、という信念を、彼らは持ち続けている。

 だが、人口3万人のベツレヘムには、経済的な絶望感が蔓延している。観光業に大きく依存していたこの町は、現在は観光収入は皆無であり、働いて収入を得ようにも、住民の就労許可は昨年10月7日の攻撃を受けてイスラエル政府によって取り消されたままだ。「学費を払えなくなった学生もいて、授業も半分しか出ていない。パートタイムの仕事もほとんどない」と、過去5年間に学術水準が低下しているのを目の当たりにしてきたハナディ教授は嘆く。

 町には、貧困の兆候がますます顕著になっている。「最も困窮している人々を支援するための予算を3倍に増やしました」と、匿名希望の宗教団体関係者は語る。「12月のとある日曜日、9家族が食料を求めてやって来ました。こんなことは初めてでした。その日の終わりには、食料庫は空っぽになっていました」。

 ジョージ(仮名)は、11月に兄が米国に移住するのを見送り、今度はスペインへの移住の準備をしている。「ここには将来がない。チャンス

もない。八方ふさがりです」と言う。昨年10月のテロ事件が起こったとき、ユースホステルを開業する予定だった。「ただ、戦争前の生活に戻ってほしいだけなのに」と深くため息をついた。

 

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

(注:LA CROIX internationalは、1883年に創刊された世界的に権威のある独立系のカトリック日刊紙LA CROIXのオンライン版。急激に変化する世界と教会の動きを適切な報道と解説で追い続けていることに定評があります。「カトリック・あい」は翻訳・転載の許可を得て、逐次、掲載していきます。原文はhttps://international.la-croix.comでご覧になれます。
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2024年12月22日

・ノートルダム大聖堂、 大規模火災から再建後の初ミサー「フランスの教会の再生のしるし」と教皇

Official ceremony marks reopening of Notre-Dame CathedralOfficial ceremony marks reopening of Notre-Dame Cathedral  (ANSA)

 

2024年12月9日