【教皇、東南アジア・オセアニア4か国歴訪】「愛は福音の中心」ーシンガポールでのミサで

2024.09.12 Viaggio Apostolico a Singapore - Santa Messa nello Stadio Nazionale

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2024年9月12日

【教皇【東南アジア・オセアニア4か国歴訪】「すべての人々の利益のために『包摂と友愛の精神』を反映し続ける努力を」シンガポール政府・各界代表に

 

2024年9月12日

【教皇、東南アジア・オセアニア4か国歴訪】「現代の課題に対処するため『質の高い適切な養成』が重要」-シンガポールでの初日、イエズス会士たちと懇談

Pope Francis with his Jesuit confreres in SingaporePope Francis with his Jesuit confreres in Singapore  (Vatican Media)

(2024.9.11 Vatican News   Salvatore Cernuzio – Singapore)

 11日午後、東南アジア・オセアニア4か国歴訪の最後の訪問国、シンガポールに到着された教皇フランシスコは、初日の唯一の予定として、同国で奉仕するイエズス会士たちと懇談された。

 シンガポールの市街地から30分の丘の上にある聖フランシスコ・ザビエル黙想の家のホールには、年齢の異なる25人のイエズス会士たちが集まり、冒頭、イエズス会士でバチカン文化教育省次官のアントニオ・スパダロ神父があいさつ。

 今回の歴訪に同行し、それぞれの地で現地のイエズス会士と教皇の出会いの感想として、「若い人も、新しく叙階された人もいました。年配の人も、病気の人もいました。そして、教皇は彼らにとても優しく接されました。出会いはいつものように1時間ほど続き、いつものように、とても温かく、兄弟の出会いのようでした。教皇はもっと話し続けたかった、とても親密で家族のような雰囲気から離れたくないようでした」と語った。

 この後すぐに教皇は質問を受けられたが、話題が多岐にわたる中で、特に現在、この地で教会に課せられた課題が多くを占めた。

 スパダロ師によると、「教皇は、信仰が人類の課題に関与しなければならないことを明確にされ、今日のアジアの重要性を強調された」とし、イエズス会士は、非常に特殊な課題を抱えるこの地で活動するよう求められていることが改めて確認されたという。

 教皇はまた、祈りの重要性を強調され、それは「挑戦」でもあり、「社会がもたらす挑戦に、ペドロ・アルペ神父の模範に倣い、祈りの精神で常に立ち向かう」こと、とされた。スペイン出身のアルぺ神父はイエズス会日本管区の管区長を務めるなど長く日本で活動し、1965年から1983年までイエズス会のトップ、総長を務め、現在、列福の手続きが進められている。

 「教皇は、この偉大な総長の人物像について何度も話され、『自分はこの偉大な総長に非常に近い存在であり、この列福と列聖に至ることを切望しています』と強調されました」とスパダロ師は述べた。

 教皇と会士たちとの会話で、司牧的なテーマも多く語られ、教皇は、特に召命について、例えば召命が実際に抱えている問題―修道生活に入りたいが、時にはそれができない人々、若者がいることについて語られた。そして、スパダロ師によると、「教皇は”期待値”を下げないよう勧められ、現代の課題に対処するための『質の高い適切な養成』の重要性を強調された」という。

 また会話の中で、アルペ神父のほかに、中国への偉大なイエズス会の使徒マテオ・リッチもクローズアップされたといい、スパダロ師は、「彼もまた模範とすべき人物でした。なぜなら、彼はこの地のイエズス会にとって模範となる存在だったからです」と指摘した。

 

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

2024年9月12日

【教皇、東南アジア・オセアニア4か国歴訪】・東ティモール訪問終え、最終訪問地のシンガポールに到着

(2024.9.11 Vatican News  Devin Watkins)

 教皇フランシスコは11日昼、3日間の東ティモール訪問を終え、首都ディリの国際空港から教皇専用機でシンガポールに向けて出発。現地時間同日午後3時過ぎにチャンギ国際空港に到着された。

 教皇は、東ティモールを発たれる前に、最後のイベントとして、ディリのコンベンションセンターで約3000人の若者とお会いになり、「自由、献身、友愛の価値の重要性」について語られ、「自由を、他の人々ために善を行う機会とするように」と促された。

 9日に東ティモールに着かれた教皇は、カトリック教徒が人口の大半を占めるこの国で3日間を過ごされ、政府首脳はじめ各界代表や教会関係者との会見、障害児学校の訪問、そして10日にはディリ近郊のタシ・トル広場で周辺国からの信者も含めて約60満人参加のミサを捧げられた。

 今回の東南アジア・オセアニア4か国歴訪の最後となるシンガポールでは、11日午後に空港での歓迎式、続いて黙想センターでイエズス会関係者と私的な集いに参加される。12日は、国会議事堂での公式の歓迎式典、大統領への表敬、首相との会見、さらに各界代表や駐在外交団との会見の後、国立競技場でミサを捧げられる。訪問最終日の13日は、カトリック系施設に高齢者と病者を訪問、カトリック・ジュニア・カレッジで諸宗教の若者たちとの出会いを持たれるのを最後に、ローマへの帰途に就かれる予定だ。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2024年9月11日

【教皇、東南アジア・オセアニア4か国歴訪】「これほど多くの子供たちのいる国は素晴らしい、だが”ワニ”にも気を付けて」東ティモールの人口の約半分、60万人参加の野外ミサで

(2024.9.10 Vatican News  Joseph Tulloch)

   東ティモール訪問中の教皇フランシスコは10日夕、東ティモールの海岸部にあるタシ・トルの広場に集まったこの国の人口のほぼ半分、約60万人と共に野外ミサを捧げられ、「子供たちは”祝福”であると同時に、しるしなのです」と語られた。 

 教皇はミサ中の説教の冒頭で、第一朗読に記された預言者イザヤの言葉―「我らのために子供が生まれ、我らに与えられた息子が」を取り上げられた。

 「この言葉は、エルサレムの住民に向けられたものですが、当時のエルサレムは繁栄していると同時に、道徳的退廃が著しく進んでもいた。莫大な富を保有していましたが、貧しい人々は見捨てられ飢え、不信心が蔓延し、宗教的な行為は、単なる形式主義に陥っていました… このような状態に対して、預言者イザヤは、神によって開かれた『新たな地平』を宣言するために来ました。そして、神は、軍隊、武器、富の力ではなく、御子を賜物とすることによって、彼らを救おうとされるのです」と説かれた。

 続けて教皇は、「世界のどこでも、子供の誕生は、喜びと祝福の輝かしい瞬間であり、善への欲求、純粋さと素朴への回帰を印象付けるもの」とされた。

 そのうえで、「ここ東ティモールにこれほど多くの子供たちがいるというのは、なんと素晴らしいことでしょう。あなた方は若い国であり、あなたの国の隅々まで生命にあふれているのを、私たちは見ることができます… これは素晴らしい贈り物であると同時に、『しるし』であり、子供、小さな子供たちのために場所を作り、歓迎し、世話をすることの重要性を思い起させます」と強調された。

 さらに、「子供の誕生は、自分を『小さく』することの重要性についての教訓でもあります。恐れてはなりません。神とお互いの前で自分を小さくすること、時間を捧げること、兄弟姉妹が回復し幸せになれるよう何かを犠牲にして計画を見直すことを。そして、必要なときに計画の規模を変更すること、つまり縮小するのではなく、自らの贈り物と他者の歓迎によってさらに美しくすることを、恐れてはなりません」と励まされた。

 ミサの終わりに教皇は、「子供の世話をすること」の重要性を改めて強調。滞在中に通った東ティモールの村について語り、「その村の一番の魅力は、子供たちの笑顔でした」とされ、「子供たちに笑顔を教えてくれる町は、未来のある町です」と希望を語られる一方、「文化を変え、歴史を変えようとする”ワニ”に気をつけるように」と忠告された。

 そして、「皆さんがこれからもたくさんの子供を産んでくださることを願っています… 子供たちの世話をしてください。しかし、この土地の記憶である年長者の世話もしてください」と願われた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

2024年9月10日

【教皇、東南アジア・オセアニア4か国歴訪】「『福音の香り』を社会悪と戦うために広めよ、司祭は立場を個人的利益に利用するな」東ティモールの聖職者たちに

Pope Francis meets with clergy, consecrated persons, seminarians and catechists in DiliPope Francis meets with clergy, consecrated persons, seminarians and catechists in Dili  (VATICAN MEDIA Divisione Foto)

 

2024年9月10日

【教皇、東南アジア・オセアニア4か国歴訪】「世話をしてもらうことで主を証しする」ーディリの障害児学校を訪問されて

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2024年9月10日

【教皇、東南アジア・オセアニア4か国歴訪】「大きな苦難に勝利した『忍耐と決意、勇敢さ』で現在の困難を克服できる」東ティモールの各界代表、外交団との会見で

(2024.9.9 Vatican News  Christopher Wells)

 9日午後、東ティモールに入られた教皇フランシスコは同日夕、大統領官邸で政府指導者、市民社会の代表、外交団と会見され、東ティモールの人々が「信仰に触発されて未来への選択を行う」ことを希望された。

 あいさつで教皇はまず、この国が独立を目指して四半世紀以上も「暗く困難な日々」を続けた末に、「再び立ち上がることができ… 平和と自由の夜明けを迎えたこと」を神に感謝され、人々の中に「平和への道筋を見つけ、新たな発展段階の始まり、生活環境の改善、そしてこの土地の手つかずの素晴らしさと自然資源、人的資源へのあらゆるレベルでの感謝の気持ちが芽生えたこと」を称えられた。

 とくに、独立闘争の「劇的な」時期に東ティモールの人々が決して希望を失わなかったことを強調され、「インドネシアの兄弟姉妹との完全な和解を達成するための熱心な努力」を称賛され、この国だけでなく、「世界のさまざまな場所での他の紛争でも、平和と浄化への願いが勝利する」よう、神に祈られた。

 教皇は、この国に開かれた「新たな地平」に言及する一方で、「移民、農村部の貧困、アルコールの過剰な摂取、若者の強盗団など、この国が直面している新たな問題、解決すべき新たな課題」を指摘され、「だからこそ、私はこう言いたいのです。過去に皆さんを啓発し、支えてきた信仰が、現在と未来にインスピレーションを与え続けますように」と願われた。

 そして、ポルトガル語で「Que a vossa fè seja a vossa cultura」(「あなたの信仰があなたの文化となりますように」)と励まされ、「それが福音に即した原則、プロジェクト、選択を刺激しますように」と付け加えられた。

 教皇はさらに、この国が直面している困難に立ち向かうために、教育の必要性、特に、将来、国家を率いることのできる人材を育成する必要性を強調され、「『カトリック教会の社会教説』が、そのような人材育成の基盤を提供できます。それは『不可欠かつ信頼できる柱』であり、さらなる進歩の基盤であり、さまざまなアプローチが総合的な発展に役に立つかそうでないかかを判断する手段なのです」と説かれた。

 あいさつの最後に教皇は、人口の65%以上が30歳未満の「東ティモールの若々しい顔」を強調され、若者たちに、「あなた方の持つ新鮮さと機知に富んだ精神から恩恵を受けるように」と呼びかけられた。また、高齢者たちに対しても、「あなたがたの経験と知恵は、素晴らしい資源。(それを生かすことに)消極的になることはもちろん、悲観的になることも許されません」と励まされた。

 そして、改めて東ティモールが「大きな苦難の時代」に立ち向かった「忍耐と決意、勇敢さ」を称賛され、最近達成されたことを踏まえて、「あなたがたの国が、過去と同じように今日の困難や問題に知的かつ創造的に立ち向かうことができる、と確信する理由が私にはあります」とあいさつを締めくくられた。

 

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

2024年9月9日

【教皇、東南アジア・オセアニア4か国歴訪】9日、パプアニューギニアから東ティモールへ、何千人もが歓迎

 東南アジア・オセアニア4カ国を歴訪中の教皇フランシスコは9日午前、パプアニューギニアの訪問を終了され、東ティモールへ向かわれた。

  9日朝、パプアニューギニアにおける最後の公式行事として、ポートモレスビーのサー・ジョン・ギーズ・スタジアムで若者たちとの集いを行われた教皇は、この後ジャクソン国際空港で送別式に臨まれた。ジェームス・マラペ首相および教会関係者の見送りを受けた教皇は、現地時間正午過ぎ、次の訪問国、東ティモールの首都ディリへ特別機で出発。ディリのプレジデンテ・ニコラウ・ロバト国際空港への到着は、現地時間同日午後2時過ぎに。

(編集「カトリック・あい」)

Pope Francis greets children who welcomed him to Dili's airportPope Francis greets children who welcomed him to Dili’s airport  (VATICAN MEDIA Divisione Foto)

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2024年9月9日

【教皇、東南アジア・オセアニア4か国歴訪】「皆さんは未来の希望、神と人との出会いを通して調和を育むように」PNGの首都での若者1万人との出会い

2024.09.09 Viaggio Apostolico in Papua Nuova Guinea - Incontro con i giovani nel SIr John Guise Stadium

 

2024年9月9日

【東南アジア・オセアニア4か国歴訪】「互いの愛で分裂を乗り越え、破壊的行為を終わらせよう!」PNG北西部のバニモで信者たちに

(2024.9.8 バチカン広報)

 8日午後、バニモ教区の信者たちと会われた後、教皇は車でバロにある聖十字架人道学校に向かわれ、そこで活動する宣教師たちと個人的に面会された。教皇は彼らの案内で校内のホールに入られ、生徒たちの歓迎の演奏をお聴きになった後、宣教師たちとの個人的に面談。この後、車でバニモの空港に戻られ、オーストラリア軍の輸送機で空路、ポートモレスビーに帰られた

 (翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2024年9月8日

【東南アジア・オセアニア4か国歴訪】教皇、アジア太平洋地域の平和と創造物への配慮、そのための一致を訴え

Pope Francis prays before a statue of Mary after MassPope Francis prays before a statue of Mary after Mass  (Vatican Media)

 

2024年9月8日

【東南アジア・オセアニア4か国歴訪】「神は『開け!』と言われる。神と御言葉に心を開こう」ーパプアニューギニアで2万人ミサ

 パプアニューギニア訪問中の教皇フランシスコは8日朝、首都ポートモレスビーのサー・ジョン・ギーズ・スタジアムで、約2万3000人の信者と共にミサを捧げられた。

 ミサ中の説教で教皇は、この主日の福音朗読、マルコ福音書の、耳が聞こえず舌の回らない人をイエスが癒されるエピソード(7章31-37節)を取り上げられ、耳が聞こえず舌の回らない人の「隔たり」とイエスの「近さ」という2つの要素を見出しながら、要旨次のようにお話しになった。

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 この耳が聞こえず舌の回らない人は、いわゆる「郊外」にいました。ヨルダン川を越えたところにあるデカポリス地方は、宗教的中心地であるエルサレムから遠く、異邦人が住んでいたために、当時の人々の慣習から、「不浄な土地」「神から離れた場所」とみなされていたのです。

 しかし、この人は別の種類の「隔たり」も生きていました。他の人の話しを聞けないと同時に、他の人に話すことのできない彼は、意思疎通を図ることが難しく、そのために神からも人々からも隔てられていました。世界から切り離されたこの人は、自分が置かれた状態に囚われ、他の人に自分を開くことができずにいました。

 私たちはこのような状態を、別の意味で読み取ることができます。それは、私も、耳と口以上に、心を閉ざすことで、神と人々との交わりと友情から隔てられる可能性がある、ということです。そうした精神的に耳が聞こえず舌の回らない状態は、エゴイズムや無関心、恐れや怨恨などによって、自分自身に、神に、他の人に、また生きる喜びに、心を閉ざすことによって起きます。

 この「隔たり」に、神は、イエスの「近さ」をもってお答えになります。御子を通し、神は、特に次のことを伝えたいと欲しておられます。それは、神は「憐み深く、近くにおられる神、私たちの人生の世話をされ、あらゆる隔たりを超える方」ということです。

 イエスは、その「近さ」をもって、人間の耳が聞こえず舌の回らない状態を癒されます。私たちは、神や兄弟たちから隔たりを感じる時、あるいは隔たりを選んだ時、自分自身を閉じ、その中に閉じこもり、自分の周囲だけをまわり、神の御言葉や隣人の叫びに耳を閉ざし、神と隣人と話すことができなくなります。その時、イエスは、私たちの傍に来られ、「エッファタ」-「開け」と言われるのです。

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 教皇はこうして福音を説いた後、さらに、パプアニューギニアの信者に向けて、次のように説教を続けられた。

「太平洋に面したこの大きな島に暮らす皆さんは、『自分たちは世界の果ての遠い場所にいる』と思ったことがあるかも知れません。そして、様々な理由で、神とその福音に距離を感じ、神との交わり、あるいは皆さん同士での交わりを困難に思っているかも知れません。

 耳が聞こえず舌の回らない人にイエスが近づかれたように、今日、主は、皆さんに近づかれ、隔たりを取り払い、皆さんが主の御心の中心にいること、皆さん一人ひとりが主にとって大切であることを、感じさせてくださいます。

 皆さんの耳が聞こえず舌の回らない状態を癒すことを望まれる主は、今日、こう言われます。「開け!」と。一番大切なのは、このことです。神に開き、兄弟たちに開き、福音に向けて開き、福音を皆さんの生活の羅針盤とすることです。

 神と御言葉に、福音に、教会の信仰に自らを開きましょう。そうすることで、私たち同士の交わりが可能となり、ここパプアニューギニアでも、異なる社会を築くことができるでしょう。」

(編集「カトリック・あい」)

2024年9月8日

【教皇、東南アジア・オセアニア4か国歴訪】「勇気、素晴らしさ、希望の証人となれ」ポートモレスビーで教会関係者たちに

Pope Francis during the meeting with Bishops, priests, deacons, consecrated men and women, seminarians, and catechistsPope Francis during the meeting with Bishops, priests, deacons, consecrated men and women, seminarians, and catechists

(2024.9.7 Vatican News   Christopher Wells)

   パプアニューギニア訪問中の教皇フランシスコは7日夕、ポートモレスビーの扶助者聖母巡礼聖堂で、パプアニューギニアとソロモン諸島の司教たち、司祭、助祭、修道士、神学生、カテキスタたちとの集いを持たれ、「常に勇気を持って新たな始まりをし、『今ここにいること』の素晴らしさを分かち合い、使命の実りに希望を持ち続けるように」と呼びかけられた。

 司祭、修道女、シノドスの代表者、信徒カテキスタが、それぞれの聖職で直面している課題について証言するのを聴かれた後、教皇は希望のメッセージを伝え、パプアニューギニアの司牧者たちに「自分たちの努力は必ず実を結ぶ、という確信を持って、勇気を持って新たな始まりをするように」と求められた。

 教皇は、聖母マリアに触発されて聖母を称える教会を建てた聖ヨハネ・ボスコの物語を思い起され、「聖母マリアは、『教会の建設を始める勇気があれば、大きな恵みが続く』と約束されました。その物語が、この集会の開催地である扶助者聖母巡礼聖堂建設の彼の動機となったのです」と指摘。

 「まさにそれは、宣教の旅の3つの側面の象徴であり、私たちが今聞いた皆さんの証言で強調されたもの―始める勇気、今ここにいることの素晴らしさ、そして成長への希望―なのです」と説かれた。

 さらに教皇は、「この国に信仰を伝え、最初の努力が失敗に終わったように見えても諦めなかった外国人と現地人の両方の初期の宣教師たち」を称えられ、「彼らの『出発』と『再出発』のおかげで、私たちはここにいます。そして、現在の困難にもかかわらず、自分たち孤独ではないことを知りながら、恐れることなく前進し続けています」と語られた。そして、「出発」は、都市部の住民の片隅であろうと、国内で最も遠く離れた見捨てられた地域であろうと、周縁にいる人々からとすることを、勧められた。

 教皇は続けて「そこにいることの素晴らしさ」に注意を向け、会見の参加者たちに「私たちは、父の目に最も素晴らしい宝物」とされたうえで、「イエスに共に従い、福音を宣べ伝えること」の素晴らしさすべての人に証しするよう求められ、「そこにいることの素晴らしさは、大きな催しの中にあるのではなく、私たちが日々共に成長しようと努める誠実さと愛の中にあるのです」と強調された。

 会見での言葉の最後に教皇は、「聖堂のイメージによる教理教育」、特に信仰によって実り豊かになった旧約聖書の族長たちのイメージに目を向けられ、「これは重要な象徴です。なぜなら、たとえ小さな始まりに見えても、私たちの使徒職の実り豊かさに自信を持つよう、今日も私たちを勇気づけてくれるからです… ですから、困難や誤解に落胆することなく、忍耐強く福音宣教を続けましょう。特に出会いたくない場所で困難や誤解が生じても、落胆しないように」と参加者たちを励まされ、「勇気、美しさ、希望の証人として、使命を果たしてください!」と呼びかけられた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

2024年9月7日

【東南アジア・オセアニア4か国歴訪】「愛の火を燃やし続けよう!」パプアニューギニアの保護施設の子供たちや障碍者との出会いで

 

(2024.9.7 Vatican News   Francesca Merlo)

   パプアニューギニア訪問中の教皇フランシスコは7日夕、首都ポートモレスビーのカリタス技術中学校の体育館で、路上生活や障害のある子供たち約800人との出会いを持たれ、「神が私たちを様々な姿で創造されたので、誰もが異なっているのです」と語られた。

 イエズス聖心会のシスターたちが運営する路上生活児童保護施設は、7歳から14歳の貧しい子供たちの世話をし、彼らに基本的なニーズと教育を提供している。

 またCallan Servicesは、障害のある子供と大人にサービスを提供する同国最大の組織で、国内のすべての障害のある人々のための包括的な教育とトレーニングに焦点を当て、障害者の権利と代表権の主導的な擁護者として機能している。

 ポートモレスビーのジョン・リバト枢機卿の挨拶の後、イエズス聖心会の施設の子供たちが伝統的な歌と踊りを披露。その後、質問の時間となり、2人が質問した。

 最初にCallan Servicesで支援を受けている人が手話で教皇に「なぜ私は他の人のように振る舞うことができないのですか?」と問い、児童保護施設にいる子供は「世界を美しい場所にするために、私たちはどのように役立つことができるでしょうか?」と尋ねた。

 教皇は質問してくれた2人に感謝の言葉をかけた後で、質問に答え、まず「なぜ私は他の人のようにできないのですか?」に対しては、「私たちは誰一人として他の人と同じではありません。神の前では私たちは皆、唯一無二です!」と強調。

 「一人ひとりが独自の役割と使命を与えられ、それぞれに課題と深い喜びの両方をもたらす可能性があります」とされ、「与える愛と受け取る愛に焦点を当てる」ように勧められ、「私たちの喜びは他の何にも依存しません。愛だけに依存するのです!」と念を押された。

 「世界をもっと美しく、もっと幸せにするにはどうしたらよいか」という2番目の質問には、「愛が、そのための鍵です」と強調され、「毎日、神と他者を心から愛することを、学ぶことです!」と語られ、子供たちに、「学び、全力で取り組むことで成長し、向上するように」と励まされ、全ての人に、世界への希望の象徴として「愛の光を燃やし続ける」よう促された。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

2024年9月7日