・カトリック東京教区で、また「司祭の司牧活動休止」の不祥事ー5日間で約700件と記録的閲覧数に

(2026.10.2 カトリック・あい)

 カトリック東京大司教区は1日、菊地功大司教名で、教区の全信者に対して「東京教区司祭の司牧活動休止について」の通知を行った。同様の通知は二年前の2024年5月11日にも行っているが、その時は匿名だったが、今回は司祭の実名を「冨田聡神父」と公表している。

 ただ、司祭として不適切な”事例”の具体的な内容については、前回同様、公表せず、その理由を「関係される方々のプライバシーを保護するため」としている。

 また、前回は文面の最後に、「当教区としては、再発の防止等に努めてまいります」とあったが、わずか二年で「再発」してしまった今回の文面には、教区の”皆さま”への”お願い”はあるが、再発防止等の教区としての”約束”は書かれていない。

 冨田聡神父は、 1992年、北海道弟子屈町生まれ。男子跣足カルメル修道会入会、東京カトリック神学院を経て、2023年3月21日に菊地大司教により司祭叙階。松戸教会・市川教会の助任司祭などを経て、2025年春、留学。先月9月29日付けの東京教区人事で、「留学」を解き、「休養(ペトロの家)」とされていた。

 *なお、この記事の閲覧件数は7日午前9時現在で、700件を超える記録的な閲覧状況となっている。(この部分のみ10月7日午前9時掲載)

 10月1日付けの文面と、前回2024年5月11日付けの文面の全文は以下の通り。

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 カトリック東京教区の皆様 2026.10.1

  カトリック東京大司教区 大司教 枢機卿 菊地功

東京教区司祭の司牧活動休止について

 カトリック東京大司教区司祭の冨田聡神父は、司牧活動における対応において、司祭として適切さを欠く事例が確認されたため、当面の間、すべての司牧活動から離れるように命じました。

 この期間、冨田聡神父は、今回の事柄について振り返り、必要な霊的指導を受けながら、霊的な省察の時を過ごします。

 東京教区としては、冨田聡神父がこれまでの司祭生活を真摯に振り返り、司祭としての務めを見直し、今後、より適切な司牧活動ができるように、必要な支援と指導を行って参ります。

 なお、関係される方々のプライバシーを保護するため、事案の具体的な内容については公表を控えます。

 信徒の皆様には、冨田聡神父の召命のために、また今回の出来事に関わった皆様のために、いつくしみ深い主のみ手が差し伸べられるようにお祈りをお願い致します。

以上

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東京教区の皆さま  2024年5月11日

 「東京教区司祭」神父に関し、当教区信徒との関係において、司祭として不適切な言動があるとの申し出を受けました。当教区は、事実関係の聴き取り,および第三者委員会の調査の結果に基づき、同神父には謹慎させ、必要な研修を受けさせます。なお、当教区としては、再発の防止等に努めてまいります。

                          カトリック東京大司教区 大司教 菊地功

2026年10月2日

・(PWJネパール大洪水被災者支援報告)初動調査を終え、支援物資を積んだトラックで夜通し山道を越えて目にしたのは…

(2026.9.7日 ピ-ス・ウインズ・ジャパン イ・チャンウ)

 8月28日、11年ぶりのネパール。2015年に起きた大地震の際に救援活動で初めてこの地を踏み、今回は洪水災害の初動調査で現地入りしました。

 11年前は、ネパールがこれほど美しい国だということを知ることはできませんでした。全土が被害を受け、余震は何週間も続き毎日が緊張の連続で、目の前にそびえるヒマラヤの存在さえ目に入らなかったのです。

 今回、カトマンズから被害が大きいと言われる北へ向かう道中、初めてこの国の美しい川と山々を眺めていましたが、数時間後、その光景は一変します。川の濁流が村を丸ごと消し去った跡を見ることになりました。

*”洪水”ではなく、川をくだってきた“津波”による大災害だ

 洪水は、8月26日午前9時頃、チベット国境側で始まりました。氷河湖が決壊し、土石流が発生。ラスワ、ヌワコットの二つの郡の川沿いの集落や町を一気にのみ込んでいきました。9月3日の時点で死者は1,200人以上、行方不明者も5,000人を超えたといいます。行方不明者の中には多くの外国人が含まれていると伝えられ、国境貿易とトレッキングの要衝で起きた災害だったことが、さらに被害を大きくしたと言われています。

 私たちが到着した日にも、上流の湖が再び決壊するおそれがあるとして警報が鳴り響いたことがあります。川岸で救助活動をしていた要員と住民全員に避難指示が発令され、現場は一時、騒然となるなか、私たちも引き返さざるを得なくなりました。

 ピース・ウィンズが海外で緊急支援の活動を行うとき、現地の地理に明るいドライバーを雇うことが多いのですが、今回、そのドライバーを探すことさえ容易ではありませんでした。政府から二次、三次の洪水発生の可能性が警告され、被災地の方へは行かない、あるいは行きたくないという方が多かったのです。「被災地にどのように入るか」その移動手段を見つけることに苦労しました。

 こうした事実からも、今回の被害の大きさを想像させられました。

 なんとかドライバーを確保し、初動調査を開始。初日は、ヌワコットのデビガット村を訪れましたが、その光景を見て、「これを“洪水被害”と呼んでいいのか」と疑いました。建物の1階まで土砂と瓦礫が押し寄せ、建物そのものが埋もれて見えなくなっている場所もあります。住民たちは膝まで沈む泥の中で、家財を掘り出し、商店や食堂、宿があった橋の向こう側は、川底になっていました。

活動2日目、ラスワのベトラワティ・バザールに行ったとき、その疑いは確信に変わりました。川が合流する地点にあったはずの町は川になっていて、横倒しになったスクールバスが川の真ん中に埋まっていました。町が丸ごと消えてしまったのです。

災害支援の観点からはこれは洪水ではなく、川を下ってきた「津波」として捉えるべきだと考えました。支援の方法が、まったく異なってくるからです。

*「政府の倉庫に入れて帰れ」と言われることも

 3日目、カトマンズで食料と生活必需品を購入してトラックに積み込み、災害調整委員会のあるビドゥールへ。途中の検問所では、トラックに積んだ物が何か、誰に配付するものなのかを問われる一幕もありましたが、いろいろ説明した末になんとか通過できました。

 ビドゥールの災害調整委員会(DCC)の事務所で物資を配付したいと伝えると、第一声は「政府が必要な場所に配分するから、政府の倉庫に入れて帰れ」。しかし、近隣一帯は、す「でに政府が十分にカバーしているので、もし直接届けたいのであればもっと北のエリアへ行ってほしい」とも言われました。

 11年前、救援物資を積んだトラックで山道を上っていた時、村の住民たちに道をふさがれたことを思い出しました。若者や妊婦まで出てきて、「物資を自分たちの村に下ろさなければ道を空けない」と言ってきたのです。

 村の人びとも食料不足で苦しんでいましたが、ここで奪われるように物資を渡してしまえば、彼らを強盗にしてしまうことになる…一時間以上かけて説得と交渉を重ね、なんとか通させてもらい、当初の目的地だった支援が行き届いていない村へと向かったのでした。

 あの時に比べれば、今回のネパール政府の統制ははるかによく機能していたように思います。物資がどこから入り、どこへ出ていくのかがきちんと記録され、11年前のようなカオスと呼ぶべき状況は少なかったからです。

 「政府が管理する」という言葉は、時に歯がゆく聞こえるかもしれませんが、災害現場で政府の調整が機能し、物資が避難所に配付されていることは、良い知らせです。言い換えれば、「政府が把握できていないエリアには物資が行き届かない」ということでもあり、その政府の担当者は、ラスワ側のベトラワティにある救援物資の集積拠点を指定し、迂回路まで教えてくれたのです。

*夜通し山道に閉じ込められて


しかし、教えられた迂回路は、30分もたたないうちに車一台がやっと通れる土の道に変わっていきました。あちこちで水が道を遮るように流れ、日が暮れると雨が降りはじめました。ある地点では、道を横切る水の勢いが目に見えて強く、高くなり、先頭を走っていた車両の合図で、すべての車両は停止しました。

 「これ以上、前に進むのは危険だ。雨がやめば水の流れも落ち着くから待とう」

 その言葉を信じて私たちもエンジンを切り、灯りひとつない漆黒の闇のなか、窓を閉めたまま車内で待つことに。

 コーディネーターとして同行してくださっていたバクタさんが「水が上がってきている」と知らせてくれ、実際に車の外を見ると、水の流れは車のすぐ近くまで来ていました。

 このまま流れがもっと強くなってきたら、ここも川にのみ込まれる―そうした緊張した状態が3時間近く続きました。そして午前3時45分頃、ようやく雨がやみ、車列が再び動き出しましたが、ところどころ車が埋まってしまうほどの深い水たまりが残っていた道では、車に乗っていた全員が降りて、みんなで石を運んで道を補修しながら前に進んでいきました。

 この夜の出来事で、陸路で迂回路を使って物資を運ぶのはとても危険で、さらに時間がかかることを学びました。今、この地域に必要な支援は、トラックをもう一台送ることではなく、別の形の支援を設計することでした。

*生き残った550人の生徒、うち120人が親を失った

午前5時、ラスワのカリカスタンに到着。村の人びとが家の外の高い場所に集まっていました。「4時半ごろ山のほうで洪水が起き、外に出て避難した」といいます。

 人びとの目には不安と恐怖が宿り、私たちはしばらく彼らのそばに寄り添い、話を聞くことにしました。不安を抱える人の多くはその不安を言葉にすることで、少しだけ落ち着くことができるからです。

 少し明るくなって、物資が集積しているという丘の上のシュリー・ニーラカンタ中等学校に到着。生徒550人が通う学校で、高い場所にあったため生徒たちは生き残ったといいます。

 しかし生徒たちの家はほとんど川沿いのベトラワティ・バザールにあり、土石流で流されたといいます。校長先生が状況をこう説明してくれました。

 「生徒のうち120人ほどが親や家族を失った… うすればいいのか分からない」—物資を運んでいる間、ずっとその言葉が耳から離れません。

 集積拠点は、厳しい状況の中でもよく運営されていて、食料とそのほかの生活用品は分けて保管され、入ってきた物資を文書で記録。最も近い避難所から配分していく体制が整っていました。

 ですが、この拠点の先、道が途絶えた国境側の集落には、政府と軍のヘリコプター以外、誰もたどり着けない、といいます。

 近くの避難所を訪ね、「必要なものは何か」と尋ねると、彼らが真っ先に挙げたのは寝具とマット、タオル、そして調理用のガスでした。「道が途絶えたことで、LPGのガス燃料が地域全体で底をつきかけ、調理ができない状況だ」と説明してくれました。

 そのほか、電気もなく携帯電話が使えないため、「ソーラーランプと充電器、できれば発電機が必要だ」と訴えてきました。口には出さなかったのですが、衣類や衛生用品、枕、靴下やサンダル、子どものための物も不足していたように思います。

 また、名簿に記載されていない人びとが実はたくさんいることも分かりました。多くの家族が同じ地域や別の地域の親戚の家に身を寄せていたのです。一軒に数十人が一緒に暮らしているケースもあります。

 こうした人びとは、避難所の名簿にはないため、支援の対象からは漏れやすくなります。もしも被災者を受け入れている家が崩れれば、こうした“見えない”多くの被災者も行き場を失ってしまう、危い状況でした。

*「国内外の関心が薄れる一か月後のほうが心配」

今、食料等はアクセス可能な地域から入って来ています。問題は一か月後です。ニュースの露出が急激に減っていき、国内外の関心が薄れるころには、支援もなくなっていくのは、日本でも海外の災害現場も同じです。

 医療支援を訴える声も聞かれましたが、災害現場で中長期にわたって残る課題は、心の問題です。親を失った120人もの子どもたち、家も財産もすべてを失った人びとの心理支援を今から設計しなければなりません。この問題は、数週間のものではなく、数年かかる課題です。

 今回、往復24時間以上を道の上で過ごしましたが、トラック一台分の物資しか届けられませんでした。その一日を無駄にしないためには、この長い移動が、必要な支援を必要とする人びとに確実に届けられ使われなければなりません。

 そのためには行政と緊密なコミュニケーションをとりながら支援が行き届いていない地区を把握し調整すること、そして道の状況なども含めて現場の正確な情報を持つ人びとと連携し、協力することが重要です。

 ネパールの人びとと政府は、この初期対応のあと、強固なインフラを再建するため、長い復旧・復興の時間を必要とします。川が津波となってのみ込んだ村は、元の場所には戻れないかもしれません。それでも、丘の上の学校で物資を下ろしていた村の人びと、暗闇の中で車の脇に来て水が上がっていると教えてくれた人びと、一緒に石を運んだ人びとを思い、この国の未来を願います。次にネパールを訪れるときは、どうか災害のためではないように、と。

*イ・チャンウ(Jangwoo Lee)はピースウィンズ・ジャパン統括責任者補佐/コミュニケーション部・部長。国内外の数多くの災害現場で支援活動に従事。現在は様々な新規事業を手掛ける傍ら、広報・ファンドレイジングを担うコミュニケーション部を統率する。今回はネパール洪水・土砂災害の発生を受け、初動調査のため現地入り。被災状況の確認と今後の支援に関する情報収集を行った

2026年9月7日

・ネパール・チベット大洪水被害ーチベットの犠牲者は中国の”デジタル統制”で消されている

(2026.9.2 Bitter Winter  ロプサン・グルン)

中国とネパールの国境にある吉栄港を襲った洪水。Weiboより。    (写真右*中国とネパールの国境にある吉栄港を襲った洪水。Weiboより)。

 自然災害は、景観の脆弱性だけでなく、それ以上のものを明らかにすることが多い。それは、どの悲劇が認められ、軽視され、あるいは抹消されるかを決定する政治システムをも露呈させる。

 ネパールとチベットの国境沿い、特にラスワガディとその周辺の国境集落で最近発生した洪水は、環境災害がいかにして物語の争いへと変貌しうるかを如実に示す事例となった。

 8月下旬、ネパールと中国のチベット自治区を結ぶヒマラヤ山脈の高地回廊地帯で、豪雨により土砂崩れや洪水が発生した。道路は崩落し、橋は流され、家屋群全体が泥と水に飲み込まれた。

 ネパール内務省はその後、少なくとも903人の死亡と4,200人以上の行方不明者を確認した、と発表したが、救助隊がこれまで立ち入りが困難だった地域に到達するにつれ、この数字は刻々と変化している。

 この災害はネパール国内だけにとどまらなかった。同じ洪水は国境付近に住むチベットの村人たちにも襲いかかった。国境を越えた親戚と連絡を取ることができたチベット人住民の1人によると、最初の洪水で3人のチベット人が死亡し、数十人が避難を余儀なくされたという。しかし、これらの数字は依然として不確かなままだ。状況が不明瞭だからではなく、当局が積極的に情報を隠蔽しているためだ。

 洪水発生から数時間後、チベット側の国境の町に住む住民が撮影した動画が中国のソーシャルメディア上で拡散し始めた。動画には、水没した家屋、崩壊したインフラ、そして閉じ込められた村人を救出しようとする必死の試みが映っていた。

 だが、この映像はWeChatなどのネットワークで広く共有されたが、その後突然消えてしまった。複数のチベット人ユーザーから、投稿が削除されたり、アカウントが一時的に制限されたり、「未確認の災害情報」を共有することはプラットフォームの規約違反、と警告を受けたとの報告があった。被害状況や死傷者の画像を投稿することは「デマの拡散」にあたり、法的措置につながる可能性があると告げられたユーザーもいた。

 

 政治的に敏感な地域で災害が発生した場合、中国政府は「透明性」よりも「情報統制」を優先することが多い。今回の検閲は、「チベット内部の被害規模に対する国民の監視を阻止すること」と、「インフラの不備や上流の水管理が下流のネパールにおける洪水被害の深刻化に寄与したという示唆を回避すること」という、二つの目的を果たした。

 ネパール当局は異例とも言える率直さで事態を明らかにした。死傷者数を確認し、行方不明者の規模を認め、インド、米国、ヨーロッパ、オセアニア出身の外国人が行方不明者の中に含まれていたことを明らかにした。

 また、ネパール当局は、洪水が中国のチベット領内の上流で発生したにもかかわらず、中国側から早期警報は受けていなかった、と述べた。ギロン港の洪水被害の様子を捉えた別の画像。ソーシャルメディアより。

 ネパールの森林・環境担当高官であるマダフ・プラサド・チャウラガン氏は、「中国とネパールは正式な災害情報協力メカニズムを維持しているにもかかわらず、北京は事前に水文警報を発令しなかった」と公言したと、ソーシャルメディア上で広く報じられた。

 彼の発言は外交的であったが、紛れもなく核心を突いていた。ネパールは通知を期待していたが、何も届かなかったのだ。

(写真左*ギロン港の洪水被害の様子を捉えた別の画像。ソーシャルメディアより)

 中国のチベット側から国境地帯の現場に入ろうとした外国人ジャーナリストは、繰り返し入国を拒否された。複数の国際メディアは、影響を受けたチベット人居住地への訪問要請が理由の説明もなく拒否されたことを確認している。

 ネパール、中国の政府が責任の所在について議論する一方で、一般市民は行動を起こした。ネパール国内のチベット人コミュニティは迅速に活動を開始し、資金を集め、被害が最も大きかった国境沿いの村々に物資を届けた。

 あるチベット人救援活動主催者は、海外のチベット人移民・難民団体から多額の緊急寄付があったと報告しており、その中にはチベット亡命者コミュニティからの700万ルピーという巨額の寄付も含まれている。

 こうした取り組みは、政治的な言説では覆い隠せない真実を浮き彫りにしている。それは、国境は国家による統制が厳格であっても、人間関係においては境界が曖昧であるということだ。家族、貿易ネットワーク、そして文化的なつながりが、両国を結びつけている。災害が発生した時、こうしたつながりは命綱となる。

 ネパールと中国チベットの国境地帯で起きた悲劇は、検閲、官僚主義的な不透明性、そして地政学的な敏感さによって、いかに災害が隠蔽されうるかを改めて思い起こさせる。ネパールの開放的な姿勢は、チベットから発信されるあらゆる画像、あらゆる統計、あらゆる文章を統制しようとする中国の姿勢とは、著しい対照をなしている。

 この中国側の沈黙は、重大な結果を招く。正確な情報がなければ、国境を越えた災害対策は不可能になる。透明性がなければ、被災地の住民は安全なインフラやより良い警報システムを求めることができない。そして、可視性がなければ、中国の政治体制の中で既に疎外されているチベットの一般市民の苦しみは、忘れ去られる危険性がある。

 洪水は引くだろう。道路は再建されるだろう。しかし、根本的な政治力学が変わらない限り、次の災害も同じように展開するだろう。地上では壊滅的な被害が残る一方で、真実が記録されるべきデジタル空間では沈黙が続くのだ。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2026年9月3日

・PWJがネパール洪水・土砂災害 の「すべてを失った」被災地に入る、道路・橋などインフラに甚大な被害

(2026.8.29  ピース・ウインズ・ジャパン)

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 8月26日にネパール北部の中国との国境付近で発生した大規模な洪水・土石流は、ボテコシ川(Bhote Koshi River)からトリスリ川(Trishuli River)の流域を襲い、住宅や道路、橋、発電施設などの重要インフラに甚大な被害をもたらしています。

 27日、ネパール国家災害リスク削減・管理当局(NDRRMA)は被害状況について、死者は389人、負傷者73人、行方不明・連絡不能者977人と発表(第6次状況報告)。

 その後、8月29日午前時点の発表では死者626人、行方不明・連絡不能者2,426人、負傷者は101人にまで人的被害は拡大したとしています。しかし、現在もなお捜索・救助活動は続いており、被害の全容はまだ明らかになっていません。

 また、NDRRMAの救援要請をもとにしたIOMの状況報告によると、約8,692世帯が被災。さらに国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)の調査では、少なくとも1万世帯が家を失ったと推計しています。

 こうした被害状況を受け、ピースウィンズは現地での支援に向けた被災状況の把握とニーズ調査を開始。28日に被災地へ入った調査員からは、統計だけでは捉えきれない、現場の深刻な状況が報告されました。

*「津波被害に近い」―現地調査員が見た被災地

 今回の洪水で多くの道路は大規模に流失し、特にラスワ郡からヌワコット郡北部にかけてのボテコシ川・トリスリ川上流域では道路が寸断され、広範囲にわたって孤立した地域が残されています。

 ピース・ウィンズの調査員は、ネパールの首都、カトマンズから車でおよそ3時間かけて、大きな被害を受けたというデビガット村へ。その状況について「津波被害に近い」という印象を受けたといいます。周囲には強い腐敗臭が漂い、洪水によって道路や周辺の土地は大きく侵食されていました。

 一部の家屋はかろうじて残っているものの、ホテルやリゾートがあった一帯は、ほぼ更地となっていたといいます。洪水・土砂災害は、人びとの住宅だけでなく、地域の生活基盤や経済活動にも大きな爪痕を残しています。

 単純な修復作業では対応できず、道路そのものを新設する必要があるとみられており、復旧には数年単位の時間がかかる可能性があるといわれています。

*二次災害の危険—現場への移動が突然遮断されることも

 現地では、被害を受けた地域へ向かうこと自体が危険を伴います。ピースウィンズの調査員が現場に滞在していた際には、土石流によって川がせき止められて形成されたダム状の地形が、決壊したとのアラートが発令。現場へ向かう車両の交通規制がしかれ、周辺の商店は一斉に閉鎖、現場から戻ってくる車両が急増して交通が一時麻痺するなど、緊迫した状況も報告されました。

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 現地では、危険が去ったわけではありません。今回の災害では、上流で形成されたせき止め湖や不安定な地形による二次的な洪水発生の危険が指摘されており、29日現在も、悪天候などによって救助活動が一時的に制限されるなど、現場の安全確保が大きな課題となっています。

*孤立する地域—支援を届けること自体が課題に

 北側の被災エリアでは、道路の寸断によって広範囲が孤立した状態となっており、現在も多くの住民が自宅などにとどまっているとみられています。まずは被災地域にどれだけの住民が残っているのか、またどの地域でどのような支援が必要とされているのかを把握することが、今後の支援活動において重要になります。

 道路や橋などが破壊され、被災地へのルートが閉ざされているなか、28日の時点で唯一アクセスが可能な避難所として確認されているのがカトマンズからおよそ2時間ほど北にあるセカンダリースクールで、約250人が避難しています。明日以降、衛生用品に加え、シャベルや長靴など、被災した家屋の整理・清掃に使用する資材などの支援物資を届ける予定です。

*ヘリも物資調達も—支援活動を阻むさまざまな壁

 今回の現地調査で浮かび上がったのは、被害の大きさだけではありません。被災地へ向かう道路そのものが失われ、現地では物資を調達することも容易ではなく、支援団体の活動も限られています。

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 政府は、陸路によるアクセスが困難なことから、ヘリコプターを動員して捜索救助・救援活動を行っています。また、被災地では物資を調達することもできません。そのため、必要な物資はすべてカトマンズで購入し、車両で被災地まで運び込む必要があります。

 被災地へ向かうドライバーや車両の確保も容易ではありません。現場へ向かう車両そのものが少なく、今回の支援では「何を届けるか」だけではなく、「どのルートを使い、どうやって被災地まで届けるか」が大きな課題となっているのです。

 

*生活に必要なものすべてがない

 今回の初動調査に同行してくれた現地コーディネイターのハシムさんは、現状をこう説明してくれました。

「貧富の差に関係なく、被災した人はすべてを失いました。家や衣服のような生活必需品だけでなく、出生証明書や家屋の権利証のような重要書類を亡くした人も多いでしょう。社会全体で支援しないと間に合いません。生活に必要なものすべてがありません。地域社会だけでなく、国際社会としてもやるべきことが山積しています」

 災害から時間が経つにつれて、現地で必要とされる支援は変化していきます。まずは、いち早くいま必要とされる物資を必要としている被災者に迅速に届けること。そして、現地の状況を継続的に確認しながら、医療支援や中長期的な復旧支援につなげていくことが求められています。

 ピース・ウィンズでは、物資支援に加え、関係機関と調整した上で医療面での支援も検討。空飛ぶ捜索医療団“ARROWS”の看護師が29日に日本を出発し、現地に向かいます。甚大な被害を受けたネパールの被災地で、現地関係者やパートナー団体と連携しながら、必要な支援を一人でも多くの人へ届けるための活動を続けていきます。

2026年8月29日

・PWJネパール洪水・鉄砲水災害 緊急支援チーム現地に到着、活動開始

(2026.8.29 12:12 ピース・ウインズ・ジャパン)

 現地時間2026年8月26日(水) 朝、ネパールと中国の国境付近に位置するラスワ郡で、大規模な洪水や土石流が発生しました。ネパール政府によると、8月28日15時30分時点で538人の遺体が収容され、多数の住民・観光客がなお行方不明となっているとのことです。 発災2日後の28日に先遣隊チームが被災地に到着し、ニーズ調査と物資調達を開始しています。

 

 皆さまのご寄付が、困難な状況にある被災地の支えになります。温かいご支援をどうぞよろしくお願いいたします。

2026年8月29日

・土石流再発の危険の中でカリタス・ネパールも支援活動を開始

A drone view of one of the areas destroyed by the flash floods in NepalA drone view of one of the areas destroyed by the flash floods in Nepal

(2026.8.28  Vatican News   Isabella H. de Carvalho)

 中国との国境に近いネパール北部の地区で、壊滅的な鉄砲水が地域社会や集落を襲ってから2日が経過し、同国の死者数は少なくとも547人に達し、負傷者は1473人、行方不明者は900人以上に上っている。

 カトリックの慈善団体、カリタス・ネパールは、155人を超えるボランティア、スタッフ、パートナーを動員しこの緊急事態への対応にあたっている。

 事務局長のシスター・シュレスタがVatican Newsの取材に応じ、インフラの損壊により被災者への支援がどれほど困難であるか、またカリタスが特に災害により避難を余儀なくされた人々をどのように支援しているかについて語った。

 「本当に悲惨な状況です。事態は決して良くない。現地の役所、他の支援団体などと緊密に連携して被災者支援を進めていますが、さらなる鉄砲水発生の危険があること、すでに甚大な被害を受けている被災者へのアクセスが困難であることから、支援は難航しています…」と窮状を説明。

 続けて、「主な橋や道路が崩落しているため、現場にたどり着くことができない。私たちのチームは(29日に)ようやく現地入りし、道路が通行可能な最も近い場所までたどり着きましたが、当局から、安全のため、現場から移動するよう求められ、最新情報を待ちつつ、被災者に支援物資を届けるための可能な手段も模索しているところです」と語った。

 また事務局長は、ネパール政府の取り組みについて、「人々を救助し、より標高の高い安全な場所へ避難するよう呼びかけだけでなく、最前線に立ち、遺体や行方不明者の捜索に懸命に取り組んでいる。ネパール警察は4473人の警官に加え、数千人の兵士や軍関係者が災害対応にあたっています」と述べた。

 カリタス・ネパールは、可能なルートで被災者たちに衣類、シーツ、毛布、タープ、テント、医薬品、食料、その他の必需品を届け、妊婦や幼い子供を持つ母親への医療支援にも力を入れている。「食料や非食料品を積んだトラックを2、3台用意しており、農村部へ送り出す準備ができています」とシュレスタ修道女は強調した。

 カリタス・ネパールには、この地域が2015年にマグニチュード7.8の地震に見舞われ、約9,000人が死亡、21,000人が負傷した際に対応した経験があり、今回も、様々な援助機関、団体と速やかに連携・協力することができた。また、ネパール全国各地に州事務所や現地事務所を配置し、直ちに人員を動員できる態勢にあったほか、他のカリタス支部からも支援を受けている。

 シュレスタ事務局長は、世界中から寄せられた気遣い、祈り、そして支援に感謝を述べ、「カリタス・ネパールは、困難な時期に私たちを助け、支えてくれるカトリック共同体やあらゆる組織に常に感謝しています。それこそが、私たちが前進し、人々を支援し続けるための十分な励みになっていると思います」と語った。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2026年8月29日

・ネパールで大規模な洪水・土石流が発生、命を支える支援を(PWJ)

(2026.8.27 ピースウインズ・ジャパン)

 現地時間26日朝、ネパールの中国の国境付近に位置するラスワ郡で、大規模な洪水や土石流が発生しました。大量の土砂や洪水が押し寄せ、現地警察当局によるとこれまでに157人の死亡が確認されています。この甚大な被害を受け、ピースウィンズ・ジャパンは緊急支援の実施を決定しました。

 AP通信によると、ネパール当局の話として外国人341人を含む403人が行方不明となっており、内訳はインド人133人、アメリカ人47人、オーストラリア人34人などと伝えられています。また、観光客とみられる日本人5人とも連絡が取れておらず、現地の日本大使館が確認と情報収集を進めている状況です。

(撮影日時:2026年8月26日 写真:ロイター/アフロ)

 スタッフはまず首都カトマンズに入り、現地での支援のための調査を進めるとともに、被災された方々への支援を開始していきます。

 また、ピースウィンズが運営する医療を軸とした災害緊急支援プロジェクト「空飛ぶ捜索医療団”ARROWS”」は、WHOが認証したEMT(Emergancy  Medical Teams)Type 1 Mobileの認証チームとして、現地の情報収集を続けています。

 皆さまからの温かいご寄付が、困難な状況にある被災地の命を支える大きな力になります。どうか緊急の温かいご支援をよろしくお願いいたします。

 クラウドファンディングの詳細はこちらから緊急支援|ネパール洪水・鉄砲水災害 被災地へのご支援を https://readyfor.jp/projects/nepal-floods-2026

2026年8月27日

・カリタス・インドネシア、フローレス島地震の被災地で支援活動開始

Rescue workers inspect a collapsed building in Maumere, East Nusa Tenggara, IndonesiaRescue workers inspect a collapsed building in Maumere, East Nusa Tenggara, Indonesia 

  この地震はフローレス島全域およびスンバ島、アドナラ島、ソロル島の一部などに及び、15日午後の国家災害管理庁(BNPB)のまとめによると、38人の死亡が報告されている。ロレンツ・サイ港の崩壊や、マウメレのペルニ旅客ターミナルの損傷などインフラへの被害も報告されている。

 カリタス・インドネシアは、ルテン、ラブアン・バジョ、クパン、マウメレ、エンデの各教区教区のカリタスチームや社会経済開発委員会(PSE)と連携し、支援体制を構築。

 事務局長のフレディ・ランテ・タルク神父「カリタス・インドネシアは、インドネシアのカトリック教会が負う人道的責任の一環として、地震災害に迅速に対応している… 各教区におけるボランティアやカリタスチームの動員を進め、被災者への支援や避難活動の支援も始めています」と説明した。

 カリタス・ルテン支部は、被災した地元の総合病院から患者を避難させ、余震や病院建物の被害に備えて、患者用の緊急用テントを設置した。

 カリタス・インドネシアは、カリタス・ネットワーク内での情報共有と緊急対応調整の中核プラットフォームとして、WhatsAppグループ「カリナ緊急対応ネットワーク(KERNET)」を稼働させるとともに、「全国緊急対応連帯基金(Dana APP Tanggap Darurat Nasional)」を通して支援金を集め始めた。

 カリタス・ネットワークによる初期評価では、避難・安全支援、清潔な水、即食食品、シェルターキット、衛生キット、緊急医療サービス、そして子ども、高齢者、妊婦・授乳中の女性、障害者、定期的な服薬を必要とする人々といった脆弱な立場にある人々への支援など、いくつかの緊急のニーズが特定された。

 フレディ事務局長は、「教会の対応はカリタスという組織に限定されるものではなく、教会共同体全体が関与するもの。『一つの教会、一つの対応』が、カトリックの人道支援活動の指針。教区、小教区、カリタスのチーム、ボランティア、その他の教会組織が協力し、支援を最も必要とする人々にできるだけ迅速に行おうとしている」としている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2026年8月17日

・「アジアの教会には『一に回心、二に回心、三にも回心』が求められている」アジア司教協議会連盟総会を主宰したジャカルタ大司教

(2026.7.30  Crux   Asia Corrrespondent)

 アジア司教協議会連盟の第16回総会が7月20日から26日にかけてジャカルタで開かれたが、総会を主宰したジャカルタ大司教のイグナティウス・スハリョ枢機卿がCRUXのインタビューに応じ、1週間にわたる総会で得られた最も重要なものは、アジアの教会に「一に回心、二に回心、三にも回心」が求められている、ということだった、と述べた。スハリョ枢機卿がCrux Nowに語ったところによると、アジアの教会は「回心、回心、回心」を求められているとのこと。

 総会で司教たちは、シノダル(共働的)な回心とアジアにおいて架け橋となる使命について議論したが、枢機卿は、「真の共同体の交わりとなるために、私たちは真剣な回心をせねばなりません。考え方を改め、教会を『制度』ではなく、『共同体の交わり』として捉えることへと変えていく必要があります」と議論を総括。

 「教会は『一つの組織』であると同時に『共同体の交わり』であり、宗教との対話、文化との対話、貧しい人々との対話、そして今や地球、創造物との対話の四つの対話を進めることが求められています」と語った。

 教会を「共同体の交わり」と捉える考え方は、レオ14世教皇のアジアの現地教会間の交わりを強化するようとの呼びかけを発展させたもの。総会へのビデオメッセージで教皇は、キリストを中心とした、とりわけ聖体におけるキリストを中心とした交わりを特に呼びかけられた。そして、先に出された回勅『マグニフィカ・ヒューマニタス』を取り上げ、キリスト教徒の連帯は「キリストの神秘にその源を見出し、特に聖体拝領における私たちの交わりから生まれる」とされた。

 そして、教皇は司教たちに対し、それぞれの教会において「聖体における主の賜物から流れ出る愛に基づいた教会の一致の霊性」を「引き続き促進していく」よう求められ、「このようにして、地方教会内および地方教会間の交わりの絆は強まり、各国における神の存在のより大きなしるしとなり、ひいてはアジア全域で皆さんが共に架け橋となる助けとなるでしょう」と語られていた。

 今総会の最終声明で、司教たちは、これを受けて、「アジアの教会にとって、文化的・宗教的に多様な社会において架け橋となる使命を果たすことは不可欠である」ことを確認し、「宣教的なシノダル(共働的)教会として、互いの国の宗教や文化と共に、エキュメニカルな方法で歩んでいく決意」を改めて表明した。

 そして、アジアは「古代文明、活気に満ちた主要宗教、そして若々しい人々に恵まれた大陸」であり、カトリック教徒はそこで「様々な種類の分断を乗り越える架け橋を築くよう求められている」とし、「暴力と紛争がコミュニティを分断する場所に、平和の架け橋を、貧しい人々、弱い立場にある人々、疎外された人々が尊厳を切望する場所に、思いやりの架け橋を」、さらに「急速な社会・技術の変化、世界的な分断、そして私たちの共通の家である地球を脅かす生態学的危機の中で、人生の意味を探し求める若者たちのために希望の架け橋を築くよう召されている」と述べた。

 スハリョ枢機卿は、「司教たちの姿勢は一般的な意味での政治的なものではなく、道徳に基づいた市民意識から生まれたもの… 私たちの会合は政治とは全く関係ありませんでした。私たちは道徳的な使命について話し合った。それは、インドネシア国民として、そして教会の市民として感じていることでもあります… (アジアの指導者たちに求めたいのは)人間の尊厳、公共の利益、貧しい人々との連帯、誠実さ、そして創造物への配慮を尊重しながら、リーダーシップを発揮することです」と語った。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2026年8月3日

・マレーシア当局、UNHCRに再定住支援を求め、首都クアラルンプールに来たロヒンギャ難民113人を拘束

(2026.7.28  Crux Staff)

 亡命希望者たちは、クアラルンプールから北西に200マイル以上離れたペナンから、首都にある国連難民高等弁務官事務所まで旅をしてきた。

 報道によると、拘束されたグループは113人の難民で構成されており、そのうち110人はロヒンギャ族で、少なくとも数人は国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に難民登録されていたという。

 ペナン地方警察は、難民たちは州および連邦当局の支援を受けて「自発的に」移動した、との声明を発表したが、ロイター通信は、「地元住民が、私たちを住居から追い出した」と語る難民たちの話を引用した。

 ロイター通信によると、難民たちは、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)からの再定住支援を受けることを期待して、日曜から月曜にかけての夜にバスで首都へ向かった、と述べているが、首都の警察は、国連難民高等弁務官事務所の外にいた難民とその所持品を連行し、警察本部へ連行した。

 マレーシアのアンワル・イブラヒム首相はこの事件について声明を発表し、「首都での難民拘束は、市民からの苦情を受けて行われたものだ… 誰にもこの町の一部を占拠する権利はない」と述べた。

 ロヒンギャ族は、仏教徒が多数を占めるミャンマーのラカイン州に住む、主にイスラム教徒の民族集団。数十年にわたり、幾度となく凄惨な迫害に直面してきた。2017年の夏には、特に激しく残忍な迫害の波が始まり、その間に約25万人のロヒンギャ族がミャンマーから他国へ逃れた。多くが、安全な場所を求めてジャングルを何日もかけて旅し、また、粗末な船でベンガル湾を渡り、バングラデシュを目指す者もいた。難民の中には両方の方法を試みた者もおり、多くの人が逃亡中に命を落とした。国際人権監視団体は、2017年の迫害をジェノサイドと呼んでいる。

 このような事態に対して、フランシスコ教皇は、2017年8月に暴力的な迫害を非難。その残虐さに関するニュースが世界中に広まる中で、同年11月には危機真っ只中のミャンマーを訪問された。

 それから約10年経った今も、120万人以上のロヒンギャ難民が避難生活を送り、無国籍状態にある。大半はバングラデシュにおり、マレーシアには12万5千人以上の難民が登録されている。

 昨年9月下旬、バチカン国務省のポール・ギャラガー外務局長は、ニューヨークの国連本部で開かれたハイレベル会合で、ロヒンギア難民を巡る現在進行中の危機を取り上げ、近隣諸国による「寛大な」人道支援に言及しつつも、苦しむ人々が「悲惨な状況の中で直面し続けている深刻な脅威」を強調。「数えきれないほどのロヒンギャの人々が依然として厳しい状況に直面しており、特に女性と子どもたちは現在、過密状態の難民キャンプで生活している」と指摘し、人道支援の緊急増額や危機をもたらしている根本原因への早急な対処も訴えている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2026年7月30日

☩「愛によって結ばれ、アジア大陸全体に架け橋を築け!」・教皇がアジア司教協議会連盟の総会にビデオ・メッセージ

(2026.7.25   Vatican News  Deborah Castellano Lubov)

 教皇レオ14世は25日、ジャカルタでのアジア司教協議会連盟の第12回総会に集まった司教たちにビデオ・メッセージを送られ、「アジアのカトリック教会の活動と未来に影響を与える重要な課題について議論する中で、それぞれの国において神の臨在を示す、より大きなしるしとなるように」と呼びかけられた。

 メッセージで教皇はまず、今回の総会のテーマが、イエスがナタナエルに語られた「あなたはもっと大きなことを見るようになる」(ヨハネ福音書1章50節)という言葉に由来することに注意を向けられ、「フィリポとナタナエルに、ご自身に従い、弟子となるよう呼びかけた時、主はご自身が、神と人間との間の唯一の仲介者であることを示唆されました(同福音書1章51節参照)」と語られた。

 そして、 「今日の弟子として、私たちは、イエスが『神との交わりの源』であるだけでなく、『互いの交わりの源』でもあることを知っています」とされた。続けて、先に出された回勅『Magnifica humanitas―人工知能の時代における人間の尊厳の擁護について』で、「キリスト教徒の連帯はキリストの神秘にその源を見出し、秘跡、とりわけ聖体における私たちの交わりから生まれる」と記されたことを指摘されたうえで、「各地方教会において、聖体における主の賜物から湧き出る愛に根ざした、教会の統一の霊性、すなわち聖体霊性を引き続き推進するよう二」と、総会参加者たちを励まされた。

 さらに教皇は、 「このようにして、それぞれの現地教会の中の、教会間の交わりの絆が強化され、各国の神の臨在を示すますます大きなしるしとなり、ひいては、皆さんがアジア全域で共に『架け橋』を築く助けとなることを願っています」と強く希望された。

 メッセージの最後に教皇は、総会に集まったすべての人々と彼らの審議を、教会の母である聖母マリアの取り次ぎに委ね、主からの知恵と強さの賜物を皆に授けるよう祈りを捧げて、結びとされた。「全能の神、父と子と聖霊の祝福が、あなたがたの上に降り、永遠にあなたがたと共にありますように。アーメン」。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2026年7月25日

・「大事なのはシノダリティ(共働性)を語ることではない、教会の日常生活で実践することだ」-シノドス事務局長、アジア司教協議会連盟の総会で

12th Plenary Assembly of the Federation of Asian Bishops' Conferences (FABC) in Jakarta, Indonesia12th Plenary Assembly of the Federation of Asian Bishops’ Conferences (FABC) in Jakarta, Indonesia 

〈2026.7.24 Vatican News)

 バチカンのシノドス事務局長、マリオ・グレック枢機卿が24日、ジャカルタで開催中のアジア司教協議会連盟(FABC)第12回総会であいさつし、”シノドスの道”を進めるうえでアジアの現地教会が果たすべき重要な役割について語った。

 グレック事務局長は、”シノドスの道”の進め方について、「大事なのは、シノダリティ(共働性)について語ることではありません。私たちの教会の日常の中でそれをいかに実践していくかを模索することです」と強調したうえで、2024年の「シノダリティに関する世界代表司教会議」後の、基本的な視点、「現地教会が果たす中心的な役割」について概説した。

 「実施段階および各大陸の司教協議会連盟総会の道のりの主題は、何よりもまず、『現地教会』です」と述べた事務局長は、「『現地教会』は、単に普遍教会(バチカン)の行政上の下部組織ではなく、福音が宣べ伝えられ、秘跡が執り行われ、信徒たちがキリストとの交わりに集められる、特定の場所における教会の『真の現れ』なのです」と指摘した。

*神の民は、”シノドスの道”の歩みの「対象」ではない、「主体」でなければならない

 続けて、事務局長は、今総会のテーマである「シノダル(共働的)回心への招きと、アジアにおける『架け橋』および『架け橋を築く者』としての使命」について言及。「普遍教会を、それが存在する具体的な共同体から切り離された『抽象的な現実』として理解してはならない… もしある現地教会が貢献を怠れば、それは普遍教会から不可欠な何かを奪うことになります。なぜなら、現地のすべての個々の教会は、神がキリストの体全体を豊かにしようと意図されている、独自の賜物、経験、資源、そして明確な証しをもたらすものだからです」と注意した。

 そして、教皇フランシスコのリーダーシップのもとに2021年10月に始まった”シノドスの道”を振り返り、この道の歩みの根底にあるのは、「いかにして神の民に到達できるか」であり、「すべての人の参加は、何よりもまず『方法』であるべきだった。同様に、神の民は、この歩みの、単なる『対象』ではなく、何よりもまず、『主体』でなければなりません」と強調。

 したがって、「教会に耳を傾けること。『シノダル(共働的)教会とは、耳を傾ける教会である』という観点から、これが私たちの(”シノドスの道”の歩みの)意図するところだった。具体的に言えば、各教会に耳を傾けることを意味しているのです」と述べた。

 

 

*”シノドスの道”の歩みの目的は、交わりを深め、宣教を支える賜物の循環を促すことだ

 事務局長はまた、「経験」と「賜物」を分かち合うよう召されている各教会間の相互関係の重要性を強調し、「”シノドスの道”の歩みの目的は、新しい文書を作成することではない。交わりを深め、宣教を支える賜物の循環を促進することです」と説明した。

 そして、”シノドスの道”の歩みから生まれた革新の一つは、「レストイトゥティオ(restitutio)」、継続的なフィードバックだ、とし、「歩みの各段階は、現地の共同体に戻され、そこで受け入れられ、改めて考察されるようにされた。したがって、その動きは一方向ではなく、双方向、いや、循環的なものとなりました… この方式は、”シノドスの道”の歩みが各共同体の現実の生活と密接に結びついた形で進むのを保証するために必要なことでした」と強調。

 「現地の教会、すなわち、洗礼を受けた男女から成る『生身の人々』である神の民に耳を傾け、繰り返し耳を傾けることによってのみ、たとえ彼らが世界代表司教会議の通常総会のメンバーであったとしても、限られた数の『専門家』による取り組みが、教会の草の根を単に『押しつぶす』ことにならないという十分な保証が得られるのです」と述べ、このような方式を、アジアの各司教協議会が、形式ではなく、実質を伴う形で実践するよう暗に求めた。

 

 

*問い続けるべきは、「聖霊がアジアの教会を通して、全教会にどのような賜物を与えることを願っているか」だ

 続けて事務局長は、特にアジアの教会について、他宗教との対話、文化的多様性、キリスト教徒がしばしば少数派である状況、そして貧しい人々との近さが、聖霊が今もなお働き続けている経験を指摘し、「根本的に問い続けるべきなのは、アジアの教会が”シノドスの道”の歩みから何を受け取るか、ではありません。聖霊が、アジアの教会を通して全教会にどのような賜物を与えたいと願っているか、です」と強調。

 そして、「現在の段階―受容の段階―が、多くの点で、重要な段階であり、決定的なものになる得る… ”シノドスの道”の歩みが、文書や形式的な決定にとどまるのではなく、各教会内で生きた経験とならなければなりません」と司教たちに強く求めた。

 

 

*司教たちは、神の民に耳を傾け、交わりを守りつつ、教会の識別プロセスを伴走するよう召されている

 さらに、”シノドスの道”の歩みにおける司教の役割について、事務局長は、シノダリティ共働性)とは、単なる参加の問題であるだけでなく、教区司教に委ねられた権威の奉仕について、より深い理解を得る機会でもある。司教たちは、神の民に耳を傾け、交わりを守りつつ、教会の識別プロセスを伴走するよう召されているのです」と強調。

 「それぞれの現地教会が、自らを『賜物』の受け手であると同時に、『賜物』の担い手でもあると認識したとき、”シノドスの道”の実践は、大きな成果をもたらすでしょう… 教会間の実りある交流を通じて、教会は交わりとして、また福音宣教の主体として成長し続けるのです」と訴えた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

 

2026年7月25日

・「アジアの教会は多様な現実を生きつつ、一つの信仰を共有している」アジア司教協議会連盟の菊地事務局長

Cardinal Tarcisius Isao Kikuchi Cardinal Tarcisius Isao Kikuchi   (Vatican Media)

(2026.7.24  Vatican News   Deborah Castellano Lubov)

 アジア司教協議会連盟(FABC)第12回総会が26日までジャカルタで開かれているが、事務局長で日本の司教協議会会長の菊地功枢機卿(東京大司教)が24日、Vatican Newsのインタビューに応じ、「信仰」「人間の尊厳の擁護」「移民問題への緊急の司牧的対応」を、アジア全域の教会が共有するべき優先課題として強調した。

菊地事務局長は、インタビューで、20日に始まった総会を中間総括する形で、「この3日間、私たちはアジアにおける自らの現実について理解を深めると共に、実に多様な現実の中にありながらも、一つの信仰、キリストの体において一つに結ばれているという認識を深める機会を得ました」と述べた。

総会についての中間総括や、バチカン・日本の教会の教会の現状、教皇レオ14世のAI回勅『Magnifica humanitas』についても、以下のように語った。

問:FABC総会のこれまでの主な成果は何だとお考えですか。また、討議における主要テーマや優先問題は何でしたか。

菊地枢機卿:アジアの教会は、文化、言語、政治、経済などの多様な現実の中にありますが、私たちの多くに共通することが一つあります。それは、フィリピン以外では、社会の中で絶対的な少数派であることです。

21日から23日までの3日間、私たちは考察と体験の分かち合いをしました。初日には、メンバーによる3分間のビデオ・プレゼンテーションを共有し、2日目は、バチカン福音宣教省副長官のタグレ・枢機卿の導きのもと、祈りと「聖霊における対話」の時を持ちました。そして3日目には、アジアの社会・政治情勢の動向について学び、各地方教会の現状を分かち合いました。

この3日間を通じ、私たちはアジアにおける自らの現実について理解を深めると共に、「実に多様な現実の中にありながらも、一つの信仰、キリストの体において一つに結ばれている」という認識を深める機会を得ました。

私たちは、現地の事情に根差した宣教のための課題と機会を共有し、いくつかの共通事項、特に対話の重要性を見出しました。

私たちは、自らが「架け橋」となるべく最善の道を模索すると同時に、多彩な文化や、貧しい人々をはじめとする多様な人々との対話、数多くの宗教が共存する様々な現実の中での対話、そして環境危機への対応において、人々の間に、そして人々と共に、「架け橋を築く者」となりたいと願っています。

 

問:アジアは極めて多様性に富んだ大陸です。今会議において、兄弟である他の司教からどのようなことを学ばれましたか。

菊地枢機卿:アジアにおける大きな人の移動の波は、多くの国で早急な司牧的配慮を必要としています。また、人間の尊厳の擁護も、多くの国で優先事項となっています。

各国特有の状況や課題はありますが、私たちはアジアの教会の共同体間で協力の道を模索できます。アジアの各教会共同体に求められているのは、互いの実情に対する相互理解と相互協力です。兄弟である司教たちは皆、それぞれの現実は異なっていても、互いにその置かれた状況を理解し合い、支援を、とりわけ霊的な支援を求めています。

 

問:日本ではカトリック信者が人口に占める割合はわずかです。東京大司教として、こうした状況のもと、このたびの討議が、日本の教会の信仰のより良い証し、さらには宣教にどのように寄与すると思われますか。

菊地枢機卿:教会の公式統計によれば、日本におけるカトリック信者の数は50万人に満たないものです。しかし、実際には、国内には少なくともさらに50万人の移民のカトリック信者が存在しています。日本の教会の公式の登録システムは、こうした移民のカトリック信者を完全に把握できていません。例えば、東京大司教区内には、推定4万人のフィリピン人が居住しています。また、一時的なビザで日本で就労している若いベトナム人たちの多くもカトリック信者です。

他のアジア諸国の司教たちとの出会いを通じて、私たちは移民のカトリック信者の現状について実りある議論を行い、そして、これらの人々への司牧的配慮をめぐり、有意義な見解を交換しました。

私たちは皆、移民のカトリック信者の存在が地域の教会共同体に大きく貢献しているという点で意見を同じくしています。彼らの存在は、共同体の多様性を深め、特に日本のように、しばしば排除やナショナリズムに傾きがちな社会において、教会が「多様性の中の一致」の証しとしての立場を確立することを可能にしています。

日本の教会は、異なる国を出身とする人々が共に歩み、共に祈る、「多様性の中の一致」を体現する共同体となることで、その存在そのものを通して、福音の価値を宣べ伝えることができます。この証しにおいて鍵となるのが「シノダリティ」だと思います。

 

問:東京大司教として、教皇レオ14世のは日本でどのように受け止められているとお考えでしょうか。技術革新における日本の主導的立場を踏まえ、この文書は日本の社会に共感を呼んだと思われますか。

菊地枢機卿:新回勅『Magnifica humanitas』は、日本のいくつもの報道機関で取り上げられました。実際、教皇選出以来、教皇レオの言葉や動静は、日本のメディアで積極的にフォローされてきました。同時に、この新しい回勅は、目下、国全体の関心事でもあるAIの問題を扱っていることから、その内容には大きな関心が寄せられています。公式の日本語訳は現在作成中ですが、その公開が待ち望まれます。その時初めて、一般の人々の反応を見守ることができるようになるでしょう。

 (カトリック・あい注:菊地事務局長は触れていないが、「日本のいくつもの報道機関で取り上げた」どころか、「カトリック・あい」では、回勅『Magnifica humanitas』が発表された直後に、すでに全文の日本語仮訳を完成し、掲載しており、閲覧件数は、7月25日朝時点で1014件に上っている。信徒の関心の高さに比べて、いまだに全訳を発表できないでいる司教団の対応の遅さを反省する必要がある。)

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2026年7月25日

・アジア司教協議会連盟(FABC)総会が開幕、アジアの教会に「アジアにおける『架け橋』」となるよう呼びかけ

12th Plenary Assembly of the Federation of Asian Bishops' Conferences (FABC)12th Plenary Assembly of the Federation of Asian Bishops’ Conferences (FABC) 
(2026.7.22  Vatican News    Fr. Kasmir Nema, SVD – Jakarta)

 アジア司教協議会連盟(FABC)の第12回総会が20日、インドネシアのジャカルタで開幕した。アジアの22の司教協議会ら120名以上の枢機卿や司教が集まり、1週間にわたり、アジア大陸全体における教会の使命について、祈り、見極め、そして省察を行う。

 総会は7月20日から26日まで、「シノダル(共働的)な回心への招きと、アジアにおける『架け橋』および『架け橋を築く者』となる使命」をテーマに協議を続ける。

 参加者たちは、アジアの多様な文化的・宗教的文脈において、各地方教会が、いかにして「シノダリティ(共働性)」を深め、対話、和解、そして宣教活動を強化できるかについて考察する。

 FABCは、教皇聖パウロ6世のマニラ訪問中に開催されたアジア司教会議を契機として1970年に設立され、南アジア、東南アジア、東アジア、中央アジアの各地方教会間の協力を促進している。それ以来、地域全体において、福音宣教、宗教間対話、神学的考察、社会活動などを促進してきた。

 Radio Veritas Asiaによると、今回の総会は単なる会議ではなく、シノダリティ(共働制)の体験として企画されている。参加者は1週間、祈り、「霊による対話」、地域別会合、グループ討論に時間を費やす。また、貧困、移住、紛争、被造物の保護など、司牧的課題について考察する。

*対話を通じた架け橋の構築

 開幕記者会見で、FABC会長を務めるフィリペ・ネリ・フェラン枢機卿(インド・ゴア・ダマン大司教)は、ジアの多くの地域で少数派として暮らすキリスト教徒の状況について言及。「教会は、その歴史を通じて、常に困難な状況に直面してきました… 恐怖をもって対応するのではなく、教会は関係を築き、対話を育み、和解を促進するよう召されている… この使命を果たすためには、キリスト教徒が民族、文化、宗教の間の『架け橋』となることが求められます」と強調した。

 FABC副会長を務めるパブロ・ヴィルジリオ・デイヴィッド枢機卿(フィリピンのカロオカン教区長)も、その呼びかけに賛同して、「敵対的な状況に対する私たちの対応は、防御の壁を築くことではなく、対話の架け橋を築くことであるべき」と述べ、また、多くのキリスト教共同体が社会的緊張の中で「小さな群れ」として暮らしていることに言及。「対話とは、一人ひとりの尊厳を認め、共通の善を追求することから始まるのです」と語った。

*「シノダリティ(共働性)」は地域共同体から始まる

 総会初日は、FABC事務局長の菊地功・枢機卿(東京大司教)が司式したミサをもって締めくくられた。説教で菊地枢機卿は、インドネシアのフローレス島エンデにある小さな有機農業共同体を最近訪問したことを振り返り、そこを「シノダリティ」の生きた実例として挙げ、「希望とは、単に購入したり、他者に与えたりできるようなものではありません。互いを心から思いやる人々と出会ったときに生まれるのです」と語った。

 そして、国際カリタス会長としての経験を踏まえ、「シノダリティは抽象的な概念ではなく、共に福音を生きる道です… 私たちは世界全体を一気に変えることはできません。まずは草の根の共同体から始めるのです」と述べた。

*アジアの教会にとっての実践の道は

 総会の広報担当であるマラリット・ジュニア司教(フィリピン・サンパブロ教区長)は、「この集まりは、教会のより広範なシノダリティの旅路の一部を成すもの」とし、FABC第50回総会、2023年の「バンコク文書」、シノダリティに関するシノドの最終文書、2025年の「希望の聖年」、そして教皇レオ14世の在位開始を重要な節目として挙げ、「この総会がアジアの教会が共に祈り、時代のしるしを見極め、福音を宣べ伝える新たな方法を見出す手助けとなることを目指していること』を強調した。

*二つの最終文書取りまとめを予定

 

 Radio Veritas Asiaによると、この総会では、2つの最終文書をまとめる予定。一つは、現地教会を導くための『アジアにおけるシノダリティに関する手引書(Vademecum)』、もう一つは、カトリック信徒がシノダリティによる刷新の旅を継続するよう奨励する『アジアの教会へのメッセージ』だ。

 総会のプログラムには、レオ14世教皇の特使としてオズワルド・グラシアス枢機卿の参加、ルイス・アントニオ・タグレ枢機卿が主導する黙想の日、マリオ・グレッチ枢機卿による「共議性に関するシノド」の実施に関する基調講演、そして教皇からのビデオメッセージが含まれている。

 総会は26日、ジャカルタの聖母被昇天大聖堂での聖体祭の挙行をもって閉幕する。その後、参加者たちは、大聖堂と隣接するイスティクラル・モスクを結ぶ「友好のトンネル」を通り抜ける。このトンネルは、インドネシアが宗教間の調和に尽力していることの象徴だ。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

 

2026年7月22日

・ミャンマー北西部の紛争地域に新たな小教区が開設

File photo: Catholics praying during a Mass in Myanmar
(2026.7.9  Vatican News   Deborah Castellano Lubov)

 バチカンの通信社フィデスによると、紛争が続くミャンマーの北西部、カレイ教区に新たな小教区として聖パトリック教会が開設。大半が国内避難民のカトリック信者600人以上が参列してリアン・ケン・タン司教司式によるミサが捧げられた。

 ミャンマーでは、2021年2月の軍事クーデターの後、軍事政権の国軍と反政府武装勢力の間で内戦が続いているが、カレイ教区には約6万人の信者がいる。サガイン地域とチン州の間に位置し、最も深刻な打撃を受けている地域の一つだ。

 インドと国境を接しており、多数のチン族を含む、民族的に多様な住民が暮らしている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2026年7月10日