・タグレ枢機卿が枢機卿団の新主席にー「同輩中の第一人者」の地位

ルイス・アントニオ・G・タグレ枢機卿

(2026.10.9  Vatican News   Salvatore Cernuzio)

     ルイス・アントニオ・タグレ枢機卿(69)―福音宣教省副長官(初期宣教部門担当)―が8日、ジョヴァンニ・バッティスタ・レ枢機卿(92)の後任として、枢機卿団の主席に就任した。フィリピン出身のタグレ枢機卿は、アジアの枢機卿として、初めて枢機卿団の主席を務めることになる。

  9日バチカンが発表したもので、タグレ枢機卿は8日、枢機卿団のメンバーたちによって主席に選出され、教皇レオ14世の承認を受けた。アルバーノ郊外教区の称号を維持しつつ、オスティア郊外教区の称号を新たに受けることになる。

 レ枢機卿は、サビーナ=ポッジョ・ミルテト郊外教区の称号を維持しつつ、枢機卿団の「名誉主席」の称号を新たに受ける。この称号は、教皇フランシスコが2019年の教皇勅書(モトゥ・プロプリオ)で導入した新たな制度によるもので、同教皇はこれによって枢機卿団長職を改革し、その任期を終身制から5年任期とした。これは、「枢機卿数の増加」(伝統的な選挙権者数の上限である120人を15人上回ったこと)に伴い、枢機卿団の主席が「ますます大きな責任」を負うことになったもの。教皇フランシスコは、枢機卿団の主席が、枢機卿団のメンバーによって選出されることを確認しつつ、任期制を導入し、2期目の再任の可能性を設けた。

 2020年にアンジェロ・ソダーノ枢機卿の後任として主席に任命されたレ枢機卿は、2013年3月のコンクラーベにおける彼の功績を高く評価したフランシスコ教皇自身によって、2025年1月に再任され、3か月後、2025年4月26日、枢機卿団主席として、教皇フランシスコの葬儀を執り行ったほか、続く5月7日のMissa pro eligendo Pontifice(教皇選出のためのミサ)—コンクラーベ開始の朝に行われた聖体礼儀—も主宰した。

 ボルノ出身のレ枢機卿は92歳で、教会への奉仕を終え、後任には、アジアの教会および世界教会において広く知られる若手のタグレ枢機卿が就く。 タグレ枢機卿は世界中の枢機卿たちを率いることになるが、常にprimus inter pares(同輩中の第一人者)としての立場に留まる。つまり、彼は同僚の枢機卿たちに対して階層的な統治権を行使するのではなく、むしろ彼らの活動を調整する役割を担うことになる。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2026年10月10日

・「家族が直面する課題を通じて福音を再発見する」ー使徒的勧告『愛の喜び』10周年記念会議始まる

Participants gathered in the Paul VI Hall for the Amoris laetitia encounterParticipants gathered in the Paul VI Hall for the Amoris laetitia encounter (VATICAN MEDIA)

(2026.10.7 Vatican News   Edoardo Giribaldi)

 教皇フランシスコの使徒的勧告『愛の喜び』発表10周年を記念する会議が7日から、バチカンのパウロ6世ホールで、東方諸教会の首脳と世界の司教協議会会長たちが参加して始まった。

 初日の基調講演でシエナの聖カタリナ・ドミニコ会員で教皇庁社会科学アカデミー会長のヘレン・アルフォード修道女は、若者たちが家庭生活の「大きな挑戦」を受け入れるよう促す方法を議論するよう求めた。

 アルフォード会長は次のような実話をもとに黙想するよう、参加者たちに促した。

・・・・・・

 「空の上には誰がいると思う?」。アッシジからほど近いトラジメーノ湖のほとりで、両親が幼い息子にそう尋ねた。「神について話し始めたい」と願ってのことだ。子供は「太陽、月、星」といったお決まりの答えを返す。「でも、神様も天国にいると思わない?」と両親はまた尋ねた。すると子供はきっぱりと答えた。「いや、違うよ。神様はここにいる、僕たちと一緒に」と。

・・・・・・・

 会議は、シノドス事務局長のマリオ・グレッグ枢機卿と、命・信徒・家族省長官のケヴィン・ジョセフ・ファレル枢機卿による歓迎の辞に続き、アルフォード会長が基調講演を行った。

 会議の初めに、グレッグ枢機卿は、「皆さんが、『普遍教会の生命線』の代表者として、世界中の家族の喜び、希望、懸念をこれからの議論に持ち込むことになまります。その責任を果たすために、教会の使命の道筋に沿って、聖霊に導かれながら、耳を傾け、見極めることが求められます」と注文した。

 また、ファレル枢機卿は、教皇の出席を「計り知れない喜びの源」とし、「この会議は、各教会が歩んできた道のりと、今後待ち受ける困難について省察する機会となるでしょう。今こそ、各教会で歩んできた道のりを振り返り、待ち受ける課題を見据え、福音の宣教をいかにして家族にとってより意義あるものにするかを自問すべき時です。それは、家族がキリスト教の召命を再発見し、より深い自覚を持ってそれを生きることができるようにするためです」と強調。

 そして「世俗化、個人主義、そして技術の浸透が、家族内での信仰の伝承の漸進的な弱体化に影響している。そうした状況であるからこそ、人間関係、愛情、信仰、そして人生の選択を通じてキリスト教的生活を育む環境の必要性を再確認することが不可欠なのです」と語った。Sr. Alford delivers her meditation at the encounter

家族への福音宣教

 

教皇に続いて、基調講演をしたアルフォード会長は、今回の集会のきっかけとなった3月19日の教皇のメッセージを振り返り、「家族による、そして家族への」福音宣教の必要性を強調。

「家族こそが福音を受け入れる場であり、そこから最も恵まれない人々へと福音が届く場であることが多い。そのようにして、家族は『家庭教会』であり、『世界を変革するための生命の細胞』という二重の性質を体現しているのです」と述べた。

崩壊を防ぐ

 

そして、「多くの家族がストレスや負担を抱え、それが緊張や分裂を招いています。今日の世界において、こうした問題は、キリストの受難に照らして対処される必要があります… 教皇フランシスコが使徒的勧告『愛の喜び』が述べておられるように、家族生活が最も”暗い”時、見捨てられたイエスとの一致こそが、崩壊を回避する助けとなります。現教皇も、メッセージの中でこの考えに呼応され、『神の恵みへの信頼』と聖性を求めるキリスト教的な願望を再び呼び覚ますために、まさにその脆さを認識することにおいてこそ、結婚という召命の美しさを呼び起こすことを学ばなければならない、と述べて居られます」と語った。

対話の構造

 

この大規模な国際集会の中で、アルフォード修道女は、イエスとサマリアの女との親密な出会いに言及した。二人は一日の最も暑い時間帯に井戸で出会う。後の会話から明らかになるように、その女は「脆弱で不規則な家庭環境」の中で暮らしていた。

アルフォード会長は、ドミニコ会のマイケル・パルチ神父の考察を参考にしながら、会話が展開していく様子を考察した。

彼女は、最初の接し方を「やや挑発的」な「いちゃつき」と表現した。男と女が二人きりで話しており、そのやり取りは、イエスが彼女に真実を突きつけるまで曖昧なままだった。「行って、あなたの夫を呼んで……ここに戻ってきなさい」と。女性は完全に正直に答えた。「私には夫がいない」。するとイエスはこう返した。「『私には夫がいない』と言うのは正しい。あなたは五人の夫を持っていたが、今一緒にいる人はあなたの夫ではないからだ」。

彼女はそこで、自分が預言者の前に立っていることに気づき、やがて村の人々に自分に何が起きたかを伝えずにはいられなくなった。

福音宣教の段階

 

アルフォード会長にとって、この福音書のエピソードは福音宣教の段階をも示している。「まず、信じたいという願いが呼び覚まされます。次に、『避けたい』と思う段階、すなわち相手の脆さや弱さと向き合う段階が来る。その人は非難されるのではなく、教えに心を開き、それを理解するよう励まされ、最終的にはそれを他の人々と分かち合うことになるのです」と語った。

「イエスのまなざし」

 

そして、「もう一つの視点は、教皇フランシスコが大切にしておられた『イエスの眼差し』という概念から得られます。その眼差しは、他人を避けようとしていた孤独な女性を、信頼に値する人物へと変え、彼女自身の価値を再発見させる手助けをするのです… これが可能となるのは、イエスが『彼女が創造された現実のすべて』―欠点も、彼女の内側に秘められた新しい命の約束も―を見ているからです」と指摘。

さらに、「イエスのこの見方は、今日において特別な意義を持ちます。関係を『見る』ためには、それを探し求めなければならないからです… 関係は物理的な物体ではないが、確かに存在しており、「関係性を見据える視線」を通じて再発見されなければなりません… これは家族の中で特に重要です。なぜなら、人間の社会的現実―とりわけ家庭―は『関係性によって成り立っている』からです」と述べた。

家族に関する使徒的勧告

 

アルフォード会長はまた、教皇フランシスコが『愛の喜び』で、サマリアの女について4回言及されたことを指摘した。

聖ヨハネ・パウロ二世教皇は、家族に関するもう一つの使徒的勧告『家庭-愛といのちのきずな-』の中でサマリアの女に直接言及してはいないが、イエスとの対話の一節には言及している。

教皇レオ14世は、これら二つのテキストを「若者、夫婦、そして家族への奉仕に向けた教会の教義的・牧会的取り組み」への励ましとして提示している。

「3人の教皇に共通する概念の一つが『漸進性の法則』です。すなわち、人間は『成長のさまざまな段階を経て、道徳的な善を知り、愛し、実現する』ということです。… これは『法即の漸進性』ではなく、『法の客観的な要求を理解し、評価し、あるいは完全に実行する立場にない主体による、自由な行為の慎重な行使における漸進性』なのです」と指摘。

「したがって、先の2人の教皇は、『法そのものが道を示す神の賜物である』という理想を擁護しつつ、多くの人々が法の客観的な要求を理解し、評価し、あるいは完全に実行することができないという事実も認識しておられます」と語った。

脆弱さを体験する

 上記の二つの使徒的勧告は35年の隔たりを置いて公表された。会長は「この間、キリスト教の家庭生活の実情は、多くの新たな展開を遂げてきました…社会的状況が激動し、急速に変化している時には、『法の客観的な要求』と『漸進性の法則』の両方を調和させるような、新たな方法を見出す必要があるかも知れません」とし、「若者たちが結婚と家庭生活という大きな挑戦に立ち向かうよう励ます方法を模索する」よう参加者たちに呼びかけた。

 「若者たちは、その素晴らしさを実現する過程において、大きな脆さを経験することになること、そしてその脆さの中に、神の恵みの新たで予期せぬ源を見出し、自分たちならではの聖性への渇望を経験することになるということ、を十分に自覚した上で、そうすべきなのです」と講演を締めくくった。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2026年10月8日

・教皇がバチカンの福音宣教省の次官に使徒聖母宣教修道女会のメアリー・テレサ・バロン総長を任命

(2026.10.8  Vatican News)

 教皇レオ14世は8日、使徒聖母宣教修道女会総長のメアリー・テレサ・バロン修道女を2027年1月4日付けで、福音宣教省の世界宣教部門、初期宣教部門の次官および 教皇庁宣教事業事務局長に任命された。

 バロン修道女は、1968年11月7日にアイルランドのドネガルで生まれ、ダブリンの公共行政研究所で「公衆衛生管理」の修士号を、同じくダブリンのキメージ研究所で「国際開発」の修士号を取得。2022年から2025年まで、世界宣教に関する文書化と研究サービス(SEDOS)の会長を務め、2023年から2025年まで国際修道会総長連合の会長を務めた。2018年からこれまで使徒聖母宣教修道女会の総長を務めている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2026年10月8日

・「性的虐待からの保護は、教会活動と制度的責任の不可欠な一部」-教皇庁未成年・弱者保護委員会が総会で確認

(2026.10.5  Vatican News )

  教皇庁未成年・弱者保護委員会が2日、5日間にわたる総会を終えた。5日の報道関係者向け発表によると、総会では「説明責任」、「年次報告書の作成過程への被害者の参画」、そして「世界中の教会における保護体制の強化」に焦点を当てられ、委員会の新規約の実施状況、地域ごとの優先事項、そして世界的な保護イニシアチブの持続可能性について検討した。

被害者や生存者の声に耳を傾ける

総会では、教会の保護方針と手続きに関する次期第3回年次報告書が検討され、2027年に公表予定の第4回年次報告書に向けた作業文書が承認された。報道関係者向け発表では、「年次報告書の作成過程への被害者の有意義な参加は、虐待に対する組織的な対応を理解し、再発を防止できる政策を策定するために依然として不可欠である」と強調された。

 また、総会では、委員会が決定した「普遍的セーフガード・フレームワーク」の次の段階について、その普及および実施計画を含め検討し。ガイドラインをアクセスしやすいものにし、現地での適用を支援するために既存の教会および地域組織を活用する方策が話し合われた。

 

*修道会における”霊的権威”の乱用、告発を躊躇させる”障壁”

 さらに、「修道共同体内での性的虐待からの保護」と、「女性修道者の具体的な経験」も話し合われ、「権力、良心、霊的権威の乱用および性的虐待」に加え、告発を躊躇させ、効果的な対応を困難にする可能性のある構造的・文化的な障壁についても取り上げられた。

 今回の議論をもとに、委員会は、今年12月9日から11日までローマで、奉献生活における虐待防止に関する第2回年次会議を開催する予定。「交わり、ケア、正義:共有された使命のための相互関係」と題されたシノドス学習ワークショップには、5大陸から約300名の参加者が集まり、教皇との謁見をもって締めくくられることになっている。

*「『権力の不均衡』がもたらす脆弱性」への対処

 

 総会ではまた、「人間関係、状況、そして人間の尊厳に影響を及ぼす権力の不均衡によって形作られる状況を含む、脆弱性」についても取り上げられ、「脆弱性に関する研究グループ」の改訂された作業計画は、全会一致で支持された。最終報告書は2027年3月の総会で提出され、同年後半に公表される予定だ。

*オンライン上の子供たちの保護

 「オンライン虐待研究グループ」の成果を踏まえ、教皇の回勅『Magnifica humanitas』に示唆を受け、委員会は、テクノロジーを媒介とした搾取や児童虐待への対処に向けた取り組みについても、話し合われ、「デジタル技術、人工知能、オンラインプラットフォームが児童・青少年の司牧においてどのように活用されているか」を検討し、リスクを把握するとともに、保護者、教区、カトリック機関が適切に対応できるような支援策を検討した。

 人工知能を研究する国際的なパートナーやローマ教皇庁内の機関との幅広い連携を歓迎し、「子どもの尊厳、安全、福祉が、技術開発とガバナンスの中心に据えられ続ける」よう求めた。

 

*地域における保護活動の持続可能なモデルの構築

 委員たちは、進捗状況のモニタリングと効果的な成果の確保を強調するとともに、地域のネットワーク、パートナーシップ、多様な資金源に支えられた持続可能なモデルの構築を検討した。

 さらに「性的虐待からの保護を教会活動および制度的責任の不可欠な一部」と認識し、「傾聴、透明性、説明責任、そして地域教会への継続的な支援に対する新たな決意」をもって結論付けた。

2026年10月6日

・教皇特使のズッピ枢機卿が3度目のロシア訪問:ウクライナ人戦争捕虜を激励、ウクライナの子供たちの本国送還など要求

Cardinal Matteo Zuppi attends Mass in the Cathedral of the Immaculate Conception in Moscow(Cardinal Matteo Zuppi attends Mass in the Cathedral of the Immaculate Conception in Moscow=(REUTERS)

 教皇特使のマッテオ・ズッピ枢機卿が2日、3度目のロシア訪問を終え、モスクワから帰国した。今回の訪問では、行方不明者の捜索やウクライナへの子どもの帰還に加え、ウクライナ人戦争捕虜との面会が行われ、彼らの状況が協議の主要な焦点となった。

 教皇の人道問題担当特使であり、イタリア司教協議会会長でもあるズッピ枢機卿は、昨年7月にウクライナを訪問した際には、リヴィウ地方にあるロシア人戦争捕虜収容所も視察している。

 今回のロシア訪問で9月30日、ウクライナ人戦争捕虜が収容されている収容所を訪れ、捕虜たちと会話を交わし、教皇レオ14世の思いを伝え、彼らが一日も早く故郷に帰ることできるよう願った。

 訪問中、ズッピ枢機卿はプーチン大統領の外交政策顧問、ユーリ・ウシャコフ氏に会い、ウクライナの軍人および民間人の捕虜、行方不明者の捜索、家族の再会、そして子供たちの本国送還について話し合った。また、ロシア人権委員のヤナ・ラントラトヴァ氏、ロシア児童権利委員のマリア・リヴォヴァ=ベロヴァ氏とも面会。「家族が再会できるよう、必要な確認作業を強化し、迅速化する必要がある」とズッピ枢機卿は強調した。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2026年10月3日

(評論)第二バチカン公会議「諸宗教宣言」60周年を受けた声明が前々教皇の物議を醸した”レーゲンスブルク演説”を引用、教皇が承認(Crux)

(2026.9.16 Crux Now  Editor  Charles Collins)  

 ベネディクト16世の教皇在位期間において、最も物議を醸した出来事の一つは、2006年のドイツ訪問での発言だった。

 2006年9月12日、彼はレーゲンスブルク大学で「信仰、理性、そして大学 ― 記憶と考察」と題して講演し、14世紀にビザンツ皇帝マヌエル2世パレオロゴスと教養あるペルシャ人との間でキリスト教とイスラム教、そして両者の真偽について交わされた対話に関する、テオドール・クーリー教授の論文に言及。

 「皇帝は、ムハンマドが『剣によって自らが説いた信仰を広めよ』と命じたことに不満を述べた。そして、力強く自らの意思を表明した後、暴力によって信仰を広めることがなぜ不合理なのか、その理由を詳細に説明している」と語った。

 この発言は、イスラム教徒コミュニティから圧倒的な非難を浴び、イスラム世界では、複数の教会が襲撃され、死者も出た。ベネディクト16世は、バチカンで行われた日曜日の正午の祈りの中で、この反応について言及し、「レーゲンスブルク大学での私の講演の一部が、一部の国でイスラム教徒の感情を害するものとして受け止められたことについて、深くお詫び申し上げます」と謝罪した。

 そして、「これらは、中世の文献から引用したものであり、決して私の個人的な考えを表すものではありません。昨日、パロリン国務長官がこの件に関して声明を発表し、私の言葉の真意を説明しました。声明が人々の心を落ち着かせ、私の演説の真意を明確にする一助となることを願っています。私の演説は全体として、相互尊重に基づいた率直で誠実な対話への呼びかけでしたし、今もそうです」と釈明した。

 この論争はその年の残りの期間も続いたが、カトリック教徒とイスラム教徒の対話における火種であり続けた。

 だからこそ、この一文が、第二バチカン公会議における異宗教間対話に関する宣言である『Nostra aetate』60周年を記念して、16日に発表されたバチカンの3省による共同声明の中に見られるのが興味深いのだ。

 「宗教間対話における粘り強さは、原理主義が宗教の歪みであり、宗教の最も深い使命に反するものであることを示すためのものです。ベネディクト16世は、ビザンツ皇帝の言葉を引用した有名な演説の中で、『暴力によって信仰を広めることは不合理なことです。暴力は神の本質と魂の本質に相容れません』と断言しました」と声明は述べている。

 共同声明は、ビクトル・マヌエル・フェルナンデス枢機卿、クルト・コッホ枢機卿、ジョージ・ヤコブ・クーヴァカド枢機卿によって執筆された。彼らはそれぞれ、教理省、キリスト教一致推進省、宗教間対話省の長官を務めている。

 これはレオ14世教皇自身が書いたものではないが、6月22日に教皇によって承認され、約3か月間公表を待っていた。そして、興味深いことに、この文書は、教皇レオが列聖省主催の会議「21世紀:殉教者の新たな時代?」で参加者に向けて挨拶したのと同じ16日に発表された。

 これは偶然だったのかもしれない。教皇は16日の挨拶で権力乱用や、キリスト教の信仰を擁護したために犯罪組織によって殺害された人々に、より重点を置いていた。

 だが同じ16日に発表された声明は、ベネディクト16世に関する3段落の記述で「レーゲンスブルク演説」を重点的に取り上げていた。それは声明全体の24番目の段落、つまり最初の段落である。

 「同様に、『ノストラ・エターテ』の精神に基づき、ベネディクト16世教皇は2006年、アッシジ事件20周年を記念して、『神の似姿として創造された人間を兄弟愛をもって扱うことを拒むならば、私たちは真に万物の父である神に祈ることはできない』と改めて表明しました。なぜなら、神への信仰は、すべての人間の間の普遍的な友愛関係を育むことしかできないからです。宗教間対話への粘り強い取り組みは、原理主義が宗教の歪みであり、宗教の最も深い使命に反するものであることを示すためのものです。教皇は、ビザンツ皇帝の言葉を引用した有名な演説の中で、『暴力によって信仰を広めることは不合理である。暴力は神の本質と魂の本質に相容れない』と断言しました」と。

 この箇所ではまず、ベネディクト16世が2006年にアッシジで聖ヨハネ・パウロ2世と会った記念日に述べた発言を引用し、次に”有名なスピーチ”からの引用を付け加えている。

 一般の読者は、それが「アッシジ事件に関する発言」と推測するかもしれないが、そうではなかった。

 レオ教皇は現在、第二バチカン公会議とその現代カトリック教会における役割について、一連の謁見挨拶で語っている。この3省の共同声明は、その議論をさらに興味深いものにしている。

 

2026年9月17日

・「原理主義に対抗し、宗教の自由を守り、兄弟愛に基づく共存を」ー第二バチカン公会議の「諸宗教宣言」から60年、バチカン3省が共同の呼びかけ

文書『希望の歩み』に署名する教皇レオ14世と、教理省、キリスト教一致推進省、諸宗教対話省の各長官・局長たち(文書『希望の歩み』に署名する教皇レオ14世と、教理省、キリスト教一致推進省、諸宗教対話省の各長官・局長たち )

 

*第2バチカン公会議から現在に至る道のり

 約20ページにわたる声明には、3省のトップであるあるヴィクトル・マヌエル・フェルナンデス枢機卿、クルト・コッホ枢機卿、ジョージ・クーヴァカド枢機卿、およびそれぞれの秘書、アルマンド・マッテオ神父、フラヴィオ・ペース大司教、インドゥニル・ジャナカラトネ・コディトゥワク・カンカナマラゲ神父が署名している。

 声明は、喫緊の課題である次の問いから始まる。「文化的・宗教的多様性の高まり、戦争や暴力、そして世俗化の傾向が強まる社会において、普遍的兄弟愛への呼びかけを具体的にいかにして生きることができるか」。そして、『Nostra aetate』は、「ホロコーストという最悪の結末に至った反ユダヤ主義の悲劇的な結果に対する応答」がもとになっており、「1965年10月28日のこの宣言公布は『深遠な変化』を画するものだった… 教会が初めて、他の宗教における『真実かつ聖なるもの』を『何一つ拒絶しない』と明言し、信者たちに、それらの戒律や教義を『敬意と尊重』をもって受け止めるよう呼びかけたからだ」と説明。

 さらに、同公会議のもう一つの宣言『Dignitatis humanae(信教の自由に関する宣言)』を想起しつつ、「他者の宗教的自由に対する相応の尊重がなければ、他宗教との敬意に満ちた関係は、誠実でも実現可能でもない」と断言。

 そして、同じ「確信」をもって、署名者たちは「キリスト教徒が少数派である国々においても、キリスト教徒に同様の自由が保障されること」を主張。今日なお「世界の様々な地域で、過激な宗教団体によって」キリスト教徒が被っている「迫害」に焦点を当て、「宗教的な理由によるあらゆる迫害は、常に人間の尊厳に対する侵害であり、これに対して『Nostra aetate』の精神に基づき、すべての人々の間およびすべての人々に対する尊重、対話、平和的共存を促進するような、共通の対応を早急に模索しなければならない」と訴えている。

2026年9月17日

・「21世紀は殉教の世紀、すでに1700人以上の殉教者が出ている」ーバチカンの新殉教者委員会が国際会議

(2026.9.15  Crux Now  Staff )

「殉教の世紀」:バチカン委員会は、21世紀に1700人以上の殉教者が亡くなったことを記録した。

 会議の講演者には、エルサレムのラテン総大司教であるピエルバッティスタ・ピッツァバラ枢機卿が含まれており、同枢機卿は聖地におけるキリスト教徒の平和的な役割について講演する予定。

 会議に先立って先週、記者会見した「新殉教者および信仰の証人委員会」のファビオ・ファベネ委員長は、委員会は「世界各地で福音のために亡くなったキリスト教徒に関する通知や情報を収集し続けている」と述べた。

 また、バチカンのマルチェロ・セメラロ列聖省長官は、「必要な条件が満たされれば、目録に記載されている人物の一部について、列福や列聖の手続きが開始される可能性は否定できないが、全員が必ずしも列聖されるとは限らない… 教会における聖性の恵みは、列聖という形に表れるが、それに限定されるものではない」とも語った。

 長官はさらに、聖ヨハネ・パウロ二世教皇が称賛した「普通のキリスト教徒の生活の高い水準」と、フランシスコ教皇の「隣人の聖性」という言葉を強調。「キリスト教の聖性の人間学的価値」は「真理のために苦しむ能力」に表れる、と述べた。

*殉教者に多宗派キリスト教徒も含める

 フランシスコ教皇が2023年にコプト正教会の殉教者21人をローマ殉教者列伝に加えたことは、委員会が洗礼を受けた人々や異なるキリスト教宗派の人々の間で「共通の殉教者列伝」を認めるという、今後の展開を示唆するものだった。「キリストを告白し、福音を証しするために血を流した人々」の名簿を作成するという委員会の活動は、カトリック教徒に限ったものではない。

 この委員会を設けられたフランシスコ教皇は「委員会の活動によって、教会によって公式に認められた殉教者たちが、私たちの兄弟姉妹たちの数多くの記録された証言と並び立ち、キリスト教の殉教という一つの声が響き渡る広大なパノラマの中に立つことができるようになるでしょう」と語っている。

*新たな殉教の世紀が到来している

 歴史家であり、同委員会の副委員長を務めるアンドレア・リカルディ氏は、「21世紀は殉教によって特徴づけられる世紀」とし、「『新たな殉教の時代に直面しているのか』という問いに、我々はイエスと答えねばならない。フランシスコ教皇が強く予感されたように、新たな殉教の世紀が到来している。殉教の時代は続いているのだ」と彼は述べた。

 今会議では、コンゴ民主共和国のキンシャサ大司教、フリドリン・アンボンゴ枢機卿も講演するが、同国では、イスラム国を名乗るテロリストが8月に130人のキリスト教徒の殺害したと公言したばかりだ。同国に限らず、アフリカ大陸全体で多くのキリスト教徒が殺害されており、ナイジェリア、モザンビーク、ブルキナファソをはじめとする多くの国々で、大規模な流血事件が発生している。

 会議では、聖地、ヨーロッパ、南北アメリカ、アジアの殉教者についても取り上げられる予定。今世紀に入って、南米だけでで304人の殉教者を記録している。

 セメラロ長官「多くの宣教師や信徒が、麻薬密売、森林破壊、あるいは天然資源の搾取に反対したことなど、様々な理由で殺害されている… 彼らに共通しているのは、違法行為を牛耳る者たちにとって『都合の悪い存在』になったことだ」と述べている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」)

2026年9月16日

・教皇レオ14世が9月14日、71歳の誕生日を迎えられた

教皇レオ14世教皇レオ14世  (@Vatican Media)

   教皇レオ14世が14日、71歳の誕生日を迎えられた。教皇はこの一年、平和をアピールし、人間の尊厳への擁護を呼びかけ、多くの司牧訪問や出会いを通し、福音のメッセージを告げてきた。

 教皇レオ14世(ロバート・フランシス・プレヴォスト)は、1955年9月14日、米国・シカゴに生まれた。

 71歳の誕生日のために、世界中から祝福の言葉と温かいメッセージがバチカンに寄せられた。

 イタリア司教協議会(CEI)は、全国の地方教会からのお祝いを伝え、教皇の奉仕に感謝するメッセージを送った。この中で、イタリアの司教たちは、教会生活において福音を本質的な優先事項に据え、信仰をキリストとの出会いとして説く教皇の教えを思い起こした。

 寄せられた数多くのメッセージの中では、宣教的共同体、受容性ある小教区、教会活動に皆が参加できる仕組みに対する教皇の励ましについても言及されている。

 教皇14世が、この一年間、最も頻繁に繰り返してきたテーマの一つは「平和」だ。教皇選出直後の言葉で「武装しない、武装を解く平和」について語られて以来、司牧訪問や、人々との出会い、説教や講話や文書の中で、繰り返し平和と和解の重要性を説いてこられた。在位1年目に、「平和」と「和解」というテーマに400回以上言及したほか、一致、対話、希望、そして人間の尊厳についても繰り返し語っていおられる。

 教皇は最初の海外司牧訪問(イタリアを除く)として、トルコとレバノンを訪れた。トルコでは、イズニクで行われたニケア(ニカイア)公会議1700周年を記念する祈りの集いでキリスト教徒の一致を強調、レバノンでは対話と平和を説かれた。モナコ、アフリカ4カ国(アルジェリア、カメルーン、アンゴラ、赤道ギニア)、スペインへの司牧訪問も行われた。これらの中で、モナコとアルジェリアを訪問した最初の教皇となった。アルジェリア訪問では、古代のヒッポにあたるアンナバの、聖アウグスティヌスゆかりの地を訪れた。また、スペイン訪問では、同国の議会で教皇として初めて演説をされた。

 今年1月6日、教皇は、バチカンの聖ペトロ大聖堂の「聖なる扉」を閉じることで、前任の教皇フランシスコによって開幕された「2025年の聖年」を締めくくった。

 自身の最初の回勅『マニフィカ・フマニタス』を発表。人工知能を扱ったこの回勅で、テクノロジーは、「人間の尊厳、自由、責任、共通善に奉仕するものでなければならない」と述べられた。

 また、前教皇フランシスコが着手された「貧しい人々への愛」をテーマにした使徒的勧告『ディレクシ・テ』を完成させておられる。

(翻訳・編集「カトリック・あい」)

2026年9月14日

・「三位一体の神への責任ある兄弟愛的応答が必要」教皇庁国際神学委員会が『共に暮らす家を大切にする』発表

NETHERLANDS-NATURE-WEATHER

(2026.9.2  Vatican News  Isabella Piro)

   教皇庁国際神学委員会(ITC)が2日、文書『Caring for Our Common Home(共に暮らす家を大切にする)― 三位一体の神に対する責任ある兄弟愛的な回答』を発表、「三位一体の神に対する、責任ある兄弟愛的な応答」を呼びかけた。

 「環境問題は神学的な問題でもある。私たちが被造物をどのように大切にするによって、神との関係が明らかにされ、その絆が形作られるからである。環境が悪化していくことは憂慮すべきことであり、地球の持続的可能性のために緊急の対策が必要とされる。すべては繋がっている。地球と貧しい人々の叫びに耳を傾けなければならない」としている。

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 「人類が陥っている「近視眼的で自滅的な」「生態学的かつ社会的な危機」に、私たちはキリスト教的観点からどのように対応すべきか」。

 これは、ITCの文書が投げかける根本的な問いだ。教皇レオ14世の認可のもとに公表された同文書は、2022年から2025年にかけて行われた考察の実りである。

 出発点となるのは、「三つの変化」—「長年にわたり自然を神の被造物として捉えてきた自発的な認識の喪失」、「人間と被造物との関係におけるより人間中心的で略奪的な見方の肯定」、そして、「地球規模の危機の蔓延」だ。

 

*人は単独の存在ではない、相互に関連し合い、生命共同体を形成する

 文書は3章で構成。第1章「三位一体の神の御業としての『共に暮らす家』」では、被造物に見られる「神的のみならず、三位一体的な刻印」が強調されている。

 その刻印は、「秘跡性」、すなわち「聖体において至上のものに達する神聖で隠された現実のしるし」という特徴と、「人間は神、他者、そして被造物との関係を正しく築くことによって、自らの使命に応える」という相互関係性的な特徴を兼ね備えている。そして、「何ものも、誰一人として単独の存在ではない… すべては相互に関係し合い、唯一の生命共同体を形成している」と強調している。

   また第1章では、「宇宙をめぐるいくつかの科学的および哲学的視点からの対話」を行い、宇宙の初期段階を「正当に」調査したとしても、創造主なる神における信仰は、科学が与えることができない何かをもたらすこと、を説明している。宇宙論が世界の誕生を考察する一方で、信仰はその理由を説明し、「神は、宇宙に、物理的な起源だけではなく、形而上学的な起源をも与え、それ自体では存在し得ないものへと導く。

*民族、性別、文化などによる差別は、神の計画とかけ離れている

 第2章「共に暮らす家の中の人間」では、「神の似姿」として創造された人間をめぐる考察で始まり、「民族、性別、文化、社会的地位、経済的地位などの違いは、決して階層的な序列を意味するものではない」と強調。「これらの違いによって他者を差別したり、服従させたりすることは、神の計画とはかけ離れている」と指摘する。

*環境的回心への呼びかけ

 ITCは、生態系の悪化に関する「非常に憂慮すべき」データをいくつか要約している。

 生物多様性の喪失、大気汚染、水質の悪化、環境破壊を「乱暴に」加速させる戦争、そしてこれらすべてが最貧困層に及ぼす「極めて深刻な」影響、すなわち、彼らの天然資源の搾取、移住の強制などだ。

 前例のない生態系危機に直面する今、必要なのは科学的・技術的な解決策のみならず、何よりも「文化的価値観の変革」だ、と私たちの生活様式における真の環境的回心を強く訴えている。

*「被造物と創造主に対する罪」

  この点に関して、同文書は「被造物および創造主に対する罪」という表現を用いることを提案している。これは、「環境への被害」を「被造物に対する神の計画の拒絶」と結びつける神学的な表現であり、「ecocide」といった純粋に科学的な用語や、責任の拡散を回避するものだ。

 現在の歴史的状況において、「公的生活に責任を持つ人々をはじめ、すべての人々に、地球の持続可能性と、居住性を促進するための、緊急の行動が求められている。これは倫理的であると同時に、神学的な要求でもある」としている。

*環境問題の学び舎である聖体

  信仰の眼差しは、「受け入れがたい二つの極端な考え方」を拒否させる。それは、人間を「すべての創造物の絶対的な支配者」とみなす略奪的な「人間中心主義」と、自然を絶対視する「生物中心主義」または「生態中心主義」だ。

 これに対し、キリスト教的提案は、「状況に沿った人間中心主義」(教皇レオ14世が前教皇フランシスコから受け継いだ表現)であり、人間を「被造物の管理者でありしもべ」として位置づけるものである。この二重の使命は、聖体において頂点に達する。聖体は「自然に対する積極的かつ主体的な態度」を促進する「環境問題の学び舎」である

*「共に暮らす家を大切にする」ための実践的な指針

  第3章「共に暮らす家を大切にする」は、人の5つの基本的な関係性を中心に構成された実践的な指針がいくつか提示されている。

  「聖年的」論理は、神との関係から生まれ、兄弟愛、連帯、寛容、謙遜に基づき、社会正義へと導く。自分自身との関係からは、「エコロジー的霊性」が生まれ、健全なライフスタイル、消費に対する注意(「あらゆる購入上の行為は倫理的行為である」)、責任感を促される。

*大地と貧しい人々の叫びに耳を傾ける

 被造物との関係から、畏敬の念、持続可能性、「貧しい人々の叫びと悲劇的に結びついた」大地の「衝撃的な叫び」に耳を傾けること、命の尊重、節制や断食(特に豊かな国々における資源の過剰利用に対する道徳的な対応として)、そして各国の責任に応じた異なる取り組みなどが生まれる。

 

*人間の命に対する尊厳と戦争の拒絶

 さらに、他者との関係からは、人間のいのちの神聖さ(国家が保護し促進すべき無条件かつ不可侵の権利であり、戦争の拒否もその中に含まれる)、資源・資財の普遍的な目的(私たちが共に暮らす家は、未来の世代のためにも大切にされなければならない)、兄弟愛(「偽りの、利己的、冷酷、貪欲な」個人主義への解毒剤)、慈しみ、そして貧しい人々の優先が浮かび上がる。

 

*「すべての被造物を敬意をもって守る」ことで諸宗教の協力への扉は開かれている

 文書の終盤では、様々な宗教による被造物の保護への貢献を考察。最も共通的な要素として、「存在するあらゆるのものの相互の関連性」、「すべての生き物を尊重する義務」、そして「人間に託された責任」を強調し、「キリスト教信仰の観点から、『すべての被造物を敬意をもって守る』という共通の課題における諸宗教間の協力への扉は開かれている」としている。

 

 

 

*文化的かつ精神的な「生態学的転換」が求められている

 

 結論として、アッシジの聖フランシスコの例に倣い、私たちには、「文化的かつ精神的な『生態学的転換』が求められている… 環境危機がいかに深刻であろうとも、それは『すべてのものを新しくされる神』への信頼を損なうものではない」と希望を込めた言葉で締めくくっている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2026年9月3日

・教皇、大洪水被害者を支援中のカリタス・ネパールに資金援助

(2026.8.29  Vatican News)

 教皇レオ14世は29日、バチカンの支援援助省を通し、大洪水被害者へ食料、医療品、避難所の提供などで支援しているカリタス・ネパールに対して資金援助を実施された。

 同省長官のサン・マルティン大司教は今回の資金援助について「他の機会と同様に、教皇が、住民の差し迫ったニーズに応えるために送りたいと望まれた初期支援… 特に最も弱い立場にある人々に対し、聖父の親しみと慈しみを伝えるための迅速かつ具体的なしるしであり、彼らに寄り添い支る教会の愛の行為です」と説明した。

 最新の統計によると、被災各地での死者数は630人以上、行方不明者は500人以上の外国人を含む約3,000人に上る。ネパール軍は、同国で最も被害の甚大な地区にある水力発電所のトンネル内に閉じ込められているとみられる100人以上の救助活動にあたっている。

2026年8月30日

・ウクライナ紛争を「終わらせ、その先を見据えることが急務」バチカンの外務局長が訪露、ラブロフ外相との会談で強調

(2026.8.26  カトリック・あい)

 訪露中のバチカン国務省のギャラガー外務局長が25日、モスクワでラブロフ外相と、ロシアのウクライナ侵攻開始以来初めての会談を持った。

ロシアのラブロフ外相と会談したバチカン(ローマ教皇庁)のギャラガー外務局長(外相、大司教)。

 ロイターなど内外の報道機関の報道によると、会談で外務局長は、4年半に及んでいるロ​シアとウクライナの戦争が続く限り、⁠「日々、新たな犠牲者が生み出され、将来の和解​がますます困難になっている」と指摘した。

 会談後の共同会見でも、外務局長は、「紛争を終わらせ、その先を見据えることが急務か​つ必要だ」と強調。バチカンは戦争を終わらせるため「対話に貢献​し、その場を​提供する⁠ことで、精神的、外交的、人道的に強力な支援を続けていく」と述​べた。

 会談後の共同会見で、ギャラガー外務局長は、「双方の間に大きな隔たり」があることを認めつつも、真摯な交渉、民間人の保護、そして捕虜、行方不明者、家族と離ればなれになった子どもたちをめぐる人道協力の重要性を訴えた。 また、会談ではウク​ライナ和平に向けた道筋について協議し、戦争の影響‌を受⁠けた子供たちのケアといった人道問題で協力することで合意したことを明らかにした。

 またラブロフ外相も共同会見で、「デリケートな子どもに関する問題についてバチカンと協力を継続する」と表明した。

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(2026.8.26 Vatican News   Stefano Leszczynski – Moscow)

 モスクワのロシア外務省で25日行われた二国間会談で、バチカンの国務省外務局長のポール・リチャード・ギャラガー大司教と、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は、国際問題における共通認識について協議し、対話継続で合意。またロシアのカトリック共同体に関する事項や、ロシアとウクライナの間の平和への道を切り開くことを目的とした人道支援活動について話し合った。

*交渉と人道的な取り組み

 1時間以上にわたる会談の終了後、ギャラガー大司教とラブロフ外相は報道陣に対して声明を発表した。

 大司教は、ロシアとウクライナ間の敵対行為を終わらせ、国際社会の支援のもとで「真の交渉」を開始するよう求めた教皇レオ14世の呼びかけに言及。「バチカンの立場は明確だ。この紛争は軍事的な手段では解決できない」と言明。「政治的・外交的プロセスを進めるための条件を整えることが不可欠だ」と強調した。

 また、ロシアとウクライナ双方に対し、「開放性と善意の姿勢を示し、特に民間人、インフラ、負傷者、および戦争捕虜に関して、国際法および人道法を尊重するように」と呼びかけた。

*戦争を終わらせねばならない

 ウクライナの状況について、大司教は「はっきり言っておくが、この戦争は終わらせねばならない… 敵対行為の結果、双方の死傷者数は着実に増え続けており、民間人の苦しみも同様に増大している。敵対行為を終わらせ、過去の過ちに囚われ続けることのないよう将来の関係性を計画し、憎しみに息の根を止めることは、緊急かつ不可欠だ」とロシア側に強く求めた。

*ラブロフ外相は、バチカンの平和への取り組みに謝意、「人道問題での協力強化の必要で一致」と

 ラブロフ外相は、対話に前向きな姿勢を示し、平和への取り組みを続けているバチカンに対し謝意を示すとともに、紛争に関連する人道問題について協力を強化する必要性について、バチカンの担当者と意見が一致したと述べた。そして、今回の会談を「非常に有益なもの」と評した。

*平和に向けバチカンは「善意の仲介」を続ける

 大司教は、「人道分野におけるいかなる具体的な成果も、苦しみを和らげ、紛争当事者間の最低限の信頼を回復することを可能にするだろう」と期待を込め、この点に関して、(注・教皇特使の)ズッピ枢機卿による今後のロシア訪問の重要性が改めて指摘した。

 また、「バチカンは、対話の場の創出に貢献し続け、人道支援活動を強化し、平和の実現に向けて『善意の仲介』を提供していく、という決意を改めて表明している」と述べた。

 ラブロフ外相との会談で、ギャラガー大司教はまた、「和解の精神に基づき、最も弱い立場にある人々を支援する上で、教会や地域の教会共同体が果たす重要な役割」について言及。「ロシアにおけるカトリック教会の状況とニーズ、特に信徒への牧会活動や、教会および宗教団体によって行われている慈善活動」についても強調した。

*ロシア正教モスクワ総主教庁の対外局長とも会談

 ギャラガー大司教は25日夕、モスクワ総主教庁の対外教会関係局局長であるヴォロコラムスクのアントニー大主教と会談。現在の地域情勢も踏まえなつつ、共通の関心事について言え権を交わし、アントニー大主教は、両教会とバチカンの間で継続している友好的な交流について、満足の意を表明した。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2026年8月26日

・バチカンのギャラガー外務局長が、ウクライナ軍事侵攻下で初のロシア訪問

Archbishop Paul RIchard GallagherArchbishop Paul RIchard Gallagher  (ANSA)

(2026.8.24  Vatican News)

 バチカン国務省が24日、Xに投稿した記事によると、ギャラガー外務局長・大司教が同日から28日までモスクワに滞在、ラブロフ外相はじめロシア政府、ロシア正教会、カトリック共同体の幹部と会談する予定だ。

 ギャラガー外務局長の訪露は、ロシアがウクライナに一方的な軍事侵攻を始める直前の2021年11月の訪問以来。軍事侵攻下で初となる。

 外務局長は25日、ラブロフ外相と会談し、続いてモスクワ総主教庁対外教会関係局長のヴォロコラムスクのアンソニー都主教との会談を予定。26日には、大統領外交政策担当補佐官のユーリ・ウシャコフ氏と会談する。

 この日程は、世界的な国際関係において最も困難な局面の一つにある中でも、対話の道を歩み続けるという聖座の決意を裏付けるものだ。

 また、27日にはカトリック共同体の信徒たちと面会。聖職者や修道者らとの面会から始まり、モスクワの聖母マリア無原罪の御受胎大聖堂でミサが執り行われる。

 ロシアのカトリック教会は信徒数が少なく、広大な領土に地理的に分散している。その管区組織は、モスクワの「神の母」大司教区、サラトフの聖クレメント司教区、ノボシビルスクの「変容」司教区、イルクーツクの聖ヨセフ司教区で構成されている。

 ギャラガー大司教は前回2021年11月のモスクワ訪問の際、ミシュスチン首相、ラブロフ外相、および当時のモスクワ総主教庁対外教会関係局局長であるヒラリオン都主教と会談している。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2026年8月25日

・来年1月1日・第60回「世界平和の日」のテーマは「(AIなど)技術の”武装解除”、平和への奉仕:政治の予防責任」に

(2026.8.11  Vatican News   Alessandro Di Bussolo and Kielce Gussie) 

 バチカン総合的人間開発省は11日、2027年1月1日の第60回世界平和の日のテーマとして、教皇レオ14世が「技術の”武装解除”、平和への奉仕:政治の予防責任」を選定されたと発表した。

 同省の声明によると、教皇はこの「世界平和の日」のメッセージで、「政治の場で行動するよう召された者たちの道徳的責任」を強調することを強く希望され、「技術の非武装化」を第一歩として、一人ひとりの尊厳を促進し、平和の醸成に寄与するよう人類に呼びかけられる。

 そして、ご自身の回勅Magnifica humanitasの第198項―「戦争を道徳的に容認しうるアルゴリズム(ある目的を達成したり、問題や課題を解決したりするための計算や作業手順)など存在しない」―を取り上げ、軍事上の判断などAIを用いることに関連するリスクについて、世界の国々、国際機関の指導者に対して強く警告。「人命や、民族間の平和的共存が危機に瀕している状況において、人間の責任と人道主義の原則を守ることのできる共通の合意」に努めるよう求めている。

 今年5月の回勅発表の際、教皇は、この200ページ近くに及ぶ文書が、「私たちの生活・活動の多くの分野に影響を与え、意思決定に関与し、『戦争の遂行方法を根本的に変えつつある新技術と人工知能(AI)』についてのバチカンにおける考察の成果であること」とされているが、特に、「AIは”武装解除”されねばならない」と指摘したことについて、「これが強い表現だと承知しているが、今この瞬間、人々の注意を引き、良心を呼び覚まし、人類が進むべき道を指し示すことのできる言葉が必要と判断し、意図的にこの言葉を選んだ」と説明されていた。

 また教皇は、教会が「平和と人類家族の尊厳への奉仕」として、これまで核軍縮に向けて取り組んできたことを強調したうえで、同じように、「今、AIも非武装化されねばならない。なぜなら、原子力と同様に、AIもすべての人々と共通善に奉仕せねばならないからです… 技術に関する決定は、良心と責任から、決して切り離してなされてはなりません」と強調。

 回勅で教皇は、平和を「単に戦争がない状態」ではなく、「正義が実践された状態」と定義されているが、「技術に対して、私たちが批判的感覚を弱めるとき、平和そのものが危険にさらされる。”武装解除”だけでは不十分。私たちは、平和を築き上げることに努めねばならない」と訴えられる。

 教皇は続けて、ご自身がペルーでの宣教活動中に洪水が起きた際に得た教訓について、「『再建』とは、単に『破壊されたものを新しいものに置き換えること』ではない。『絆を修復し、信頼を取り戻し、未来への希望を再び灯すこと』だ。また、誰も一人で『再建』はできない」と述べ、「こうした包括的な視点があって初めて、AIを共通善へと導くことができる。システムを設計する者と、その結果を背負う者、豊かな国と貧しい国、機関と個人、権力の中心と周辺にいる人、これらすべてが共に歩んでこそ、特権的な少数者のためではなく、人類家族全体のための未来を築くことができるのです」と強調される。

 

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2026年8月11日

・教皇、9月25日から4日間フランス訪問、性的虐待被害者とも非公式面談を予定

Pope Leo is set to travel to France this SeptemberPope Leo is set to travel to France this September 

(2026.8.7 Vatican News)

 教皇レオ14世が9月25日から28日にかけてフランスを訪問されることが、7日正式に発表された。パリ、サン=ドニ、ルルド、メスをの各市を訪れるという、盛りだくさんの日程となる。

 フランシスコ教皇は2024年12月にコルシカ島のアジャクシオ、2023年9月にマルセイユ、2014年にストラスブールを訪れたが、いずれも公式の国賓としての訪問ではなかった。教皇のフランス公式訪問は、2008年9月ベネディクト16世が訪問して以来となる。

 9月25日:ローマからパリへ

 教皇は9月25日朝、午前7時50分にローマ・フィウミチーノ国際空港を出発し、パリ・オルリー国際空港に午前10時に到着。歓迎式典の後、エリゼ宮でエマニュエル・マクロン大統領と会談される。その後、政府高官、市民社会、外交団に向けて演説を行う。午後には、ユネスコ本部を訪れ、そこで演説を行う予定だ。

 夕方に、ノートルダム大聖堂での聖職者や奉献生活者たちとの夕の祈りがあり、教皇は説教をされる。続いて、サン=ドニのスタッド・ド・フランスで若者たちとの祈りの集いを持たれる。

 

 9月26日:パリとルルド

 2日目の26日は、パリ大司教区が運営する社会支援・社会統合センター「メゾン・バキタ」への訪問から始まる。2021年9月に開設された同センターは、亡命生活を送る人々を対象に、的を絞った革新的な支援・擁護プログラムを提供、あるいは直接実施している。2017年2月に教皇フランシスコが「すべての移民を『迎え入れ、守り、促進し、社会に統合する』こと」を呼びかけたことへの応答として始まった。教皇はこれを「正義、文明、連帯の義務」であると述べている。

 その後、教皇レオはパリ・カトリック大学(Institut Catholique de Paris)で、教区シノドス総会のメンバー、求道者、そして新たに洗礼を受けた人々と会見される。

 空路ルルドへ向かう前に、教皇はコンコルド広場でミサを捧げられる。ルルド到着後、聖母聖堂にあるマサビエルの御出現の洞窟で祈りの時間を過ごされる。

 

 9月27日:ルルド

 ルルドでの最初の朝、教皇はルルドの聖母聖堂内のサン・ベルナデット講堂で、フランスの司教団と会見され、その後、聖堂の「プラリー(草原)」でミサを捧げられる。

 その後、アキュイール・ノートルダムのスタッフや患者たちと面会される。同施設は、世界中から巡礼者が訪れ、巡礼期間中に滞在する専門の医療介護施設兼歓迎センターだ。

 続いて教皇はルルドのカルメル会修道院で、黙想生活を送る修道女たちと非公開の会見を持ち、夜は、聖堂で行われる伝統的な松明のロザリオの行列で締めくくられる。

 

 9月28日:ルルド、メス、ローマ

 フランス滞在最終日の28日、教皇はメスを訪れ、「ロベール・シューマン」会議センターで開かれる宗教間会合および「平和と統一のための欧州のルーツ」会議に出席する。

 サン・テフィアン大聖堂での最後のミサで、フランス訪問は幕を閉じ、午後7時の便でメッツ・ナンシー・ロレーヌ国際空港からローマへ戻られる。

 

 虐待被害者との会見

  公式日程の発表と同時に、バチカン報道局は、教皇がフランス訪問中に、教会で性的虐待を受けた被害者数名と非公開でお会いになることを明らかにした。

 この面会は、教皇がスペイン訪問中に被害者たちとされた交流に続くもの。聖職者による信徒への性的虐待問題によって教会が深く揺さぶられ、近年、構造改革や説明責任の履行、癒しのプロセスを継続しているフランスで、この面会は特に重要な意味を持つ。

 

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2026年8月8日