(2018.2.25 Crux Editor John L. Allen Jr.)
ローマ発―内戦が続くシリアで先日、空爆で多くの犠牲者が出たが、教皇フランシスコは25日正午のお告げの祈りの後、この空爆を”非人間的”なもの、と非難したうえで、このような凄まじい事態を速やかに終わらせるよう、強く訴えた。
教皇は「このところ、私の心はしばしば、大切な、悲惨な苦しみを受けているシリアに向いています。激しい戦闘が、特に東ゴータで起きています」と述べ、政府軍の爆撃が集中した首都ダマスカスの東の郊外での惨事に強い関心を示した。
シリアの人権監視団によると、この政府軍の攻撃で500人近くが殺され、そのうち120人が子供たちだ。国連安保理事会は24日、シリアにおける30日の停戦で合意したが、イランの通信社によると、シリア軍幹部は、ダマスカス郊外での”テロリスト”に対する攻撃を続ける、と言明しているという。
このような事態に対して、教皇は「2月は、7年続いている内戦でも一番ひどい事態が起きています」「何百人、何千人もの市民、子供たち、女性たち、お年寄りたちが犠牲になり、病院は怪我をした人たちでいっぱいになっている・・食べるものを見つけることもできない・・全部が非人間的です」と語り、「邪悪を他の邪悪をもって戦わせることはできません」と言明。
そして、「私は改めて心から訴えます。このような凄まじい事態をすみやかに終わらせるように、食糧と薬の人道援助が人々に届くように、怪我を負った人、病気の人を危険な地域の外に出すように」とシリア政府と国際社会に強く求め、「そうしたことが、遅滞なく実現するように、神に祈りましょう」とサンピエトロ広場に集まった会衆に呼びかけた。
フランシスコは、教皇に就任した2013年春以来、シリア和平の実現をバチカンの政治、外交の最優先課題とし、日米欧の主要7か国首脳たちをはじめ関係国首脳への働きかけを続ける一方、シリア難民の保護・受け入れにも努力を続けている。
(翻訳「カトリック・あい」岡山康子)
・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも昨年、全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載します。