・世界の新型ウイルス被害拡大よそに”感染源”中国が太平洋で覇権狙う活動?

 新型コロナウイルスの感染拡大で欧米はじめ世界中の政治・経済・社会が機能マヒに陥ろうとしている最中に、”感染源”とされている中国が太平洋を巡る覇権獲得を目指す行動を活発化させている。

 26日付けの ニュースで軍事社会学者の北村 淳氏が明らかにしたもの。

 それによると、米国での新型コロナウイルス感染が顕著になり、トランプ大統領が本格的な対策を取ろうとして2月26日、米海軍当局は中国に対し、中国海軍軍艦がその10日ほど前、米海軍哨戒機に対してレーザー照射をしたことに強く抗議した。米海軍によると、グアム沖公海の上空を警戒飛行中のポセイドン海洋哨戒機に対して、同海域を航行中の中国海軍駆逐艦「呼和浩特(フフホト)」がレーザーを照射した。

 このレーザーは肉眼では感知できないものの、各種計器により察知された。乗員や計器類にダメージを恐れのある行為であり、米中海軍間ならびに多国籍海軍間の取り決めで禁止されている。米海軍当局は「今回のレーザー照射は国際的取り決めに対する重大な違反であると同時に危険きわまる行為であり、決して容認できない」と強く抗議したという。。

アメリカ海軍哨戒機にレーザーを照射した中国海軍の「呼和浩特」(出所:米海軍協会)© JBpress 提供 アメリカ海軍哨戒機にレーザーを照射した中国海軍の「呼和浩特」(米海軍協会)

中国軍艦に搭載されているレーザー装置© JBpress 提供 中国軍艦に搭載されているレーザー装置

 米海軍から抗議を受けた中国軍当局は3月10日になって、「中国の領土である西沙諸島」の周辺海域に「侵入」したアメリカ海軍軍艦に対して、中国海軍航空機と軍艦を差し向け、中国の主権的海域から駆逐した」との声明を発表、アメリカに厳重に抗議した、という。

 中国側が「侵入した」とする軍艦は、米海軍ミサイル駆逐艦「マッキャンベル」で、中国が軍事基地化を既成事実にしている西沙諸島周辺海域で公海での航行自由原則維持のための作戦を実施していた。

 米海軍による南シナ海でのFONOPと、中国側による「米軍艦を追い払った」という声明ならびに厳重抗議は、“日常的出来事”とはなっているものの、米中双方ともに新型コロナウイルスとの戦いの最中でも引き続き南シナ海でのバトルが続いていることを示している、と北村氏は解説している。

 また別の報道によると、これらの中国艦隊は、米太平洋艦隊が司令部を置くハワイ・オアフ島の西約300キロ・メートルまで近づき、空母への給油能力をもつ新型補給艦も参加していた。中国の軍機関紙・解放軍報は、「フフホト」などが太平洋で遠洋訓練を実施したと伝えた記事で、「(兵士らは)興奮と緊張の中で、実戦想定の訓練で初めて日付変更線を越えた」と接近を示唆。さらに米軍側の情報では、「フフホト」には、最新鋭で迎撃が困難とされる極超音速対艦ミサイルが搭載され、米艦隊司令部を射程内に収めていた。中国軍は、SNS上に別のミサイル駆逐艦がこの最新鋭ミサイルの試射映像を流し、暗に米軍側を威嚇した。

 3月に入っても中国の空・海軍の威嚇行動は続いている。北村氏によれば、16日、複数機の中国軍戦闘機と早期警戒管制機が台湾海峡上空を台湾本島へ接近し、夜間機動訓練を実施した。新型コロナウイルス騒動が始まって以来、初の中国軍機による台湾本島への接近行動であり、台湾空軍は戦闘機を緊急発進して中国軍機を追い払った、という。

 さらに、19日、米海軍当局が、原子力空母「セオ中国高速艇が台湾警備艇に乗り上げた瞬間ドア・ルーズベルト」が率いる空母打撃群と強襲揚陸艦「アメリカ」が率いる水陸両用即応群が、それぞれ南シナ海で機動訓練を実施した旨を公表したのに対し、中国の「環球時報」は「中国の主権的海域である南シナ海に軍艦を乗り入れて軍事演習を今後も続けるならば、それらの艦艇に対して電磁パルス攻撃を加えることも厭わない」との中国当局者の発言を掲載した。

 同じ19日には、中国海軍052D型ミサイル駆逐艦1隻、054A型ミサイルフリゲート2隻、093A型戦闘補給艦1隻からなる中国艦隊が宮古海峡を通過する状況を、海上自衛隊哨戒機が確認している、という。

 翌20日、台湾当局は、4日前の16日に金門島沖合をパトロール中の台湾沿岸警備隊の小型警備艇が中国の小型スピード艇に襲撃され、損害を受けた事実を公表するとともに、中国政府に対して厳重抗議を行った。台湾沿岸警備隊の小型警備艇2隻が、台湾漁船3隻とともに、金門島沖合で中国漁民が仕掛けた違法漁網の撤去作業と周辺海域の警戒に当たっていたところ、船名・船体番号を記していない10隻を超す高速艇が襲いかかり、石やビンを投げ込み、高速で体当たりしてきた、という。

 中国沿岸に位置する金門島周辺で発生した事件である以上、スピードボートが中国のものであることは確実。中国海上民兵あるいは中国海軍特殊部隊などが操縦していたもの、と思わる、と北村氏は見ている。

© JBpress 提供 中国高速艇が台湾警備艇に乗り上げた瞬間(出所:台湾沿岸警備隊、以下同)

 

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2020年3月30日