・ラテンアメリカの教会が”センター”にー世界青年の日(WYD)22日から

(2019.1.21 Crux National Correspondent Christopher White)

 パナマ市発=今週始まる世界青年の日でラテンアメリカがホスト役を務めることで、”南”がカトリックを刺激する役割を果たしていることを改めて想起させることになりそうだ。

 パナマが一週間にわたるバチカン後援の若者たちの祭の開催場所となる一方で、ラテンアメリカとカリブの国々もまた、この中央アメリカで初めて開かれる祭りの象徴的な主催者となると考えている。

 米国カトリック司教協議会の若者司牧事務局の副局長を務めるポール・ジャルゼンボウスキー氏は、Cruxの取材に「米国のスペイン系カトリック信徒たちが、昨年9月のEncuentroの集会で注目されたように、WYDは、全世界にとって『スペイン系、ラテン系のカトリック信徒が世界の教会にもたらしている熱烈さ』を一瞥する機会になるでしょう」と語った。

 「ラテンアメリカの教会は、私たちの活力をかき立て」ており、WYDは、「スペイン系カトリック信徒に先導してもらう」ことで起きる素晴らしさを披露することになる、と期待を寄せている。2016年7月の前回WYDの閉幕時に今回のパナマ開催が発表されて以来、ジャルゼンボウスキー氏は、開催支援のために5回、パナマを訪れ、米国から800に近い教区や組織から1万2000人を超す大部隊が参加しても大丈夫なように準備万端を整えた。

 今回のWYDでは、一週間を通して、参加者たちは教理学習、コンサートなどに参加し、23日夕には、教皇フランシスコがおいでになる予定だ。WYDの公式行事に加えて、米国カトリック司教協議会は、米国の信徒団体 Knights of Columbusなどと共催で英語圏の全ての参加者を対象に“U.S. Pilgrim Fiat Festival” を開き、ショーン・オマリー枢機卿とロバート・バロン司教による「聖なる時」も予定されている。

 バチカンが先週発表したところによると、22日から始まるWYDの公式行事への参加登録者は15万人、ここ数年、大幅な減少を続けている。とはいえ、教皇が主宰される27日の日曜ミサには50万人を超える参加者が見込まれている。 大型の教会行事の長年の経験者で国際的なメディアのコーディネーターを務めるジェイミー・リン・ブラック氏はCruxに「今回の大会は当初から、主催者が行事の規模を若干小さくする計画をしていました」と言う。

 「WYDは通常、7月に開かれてきました。それは欧米の参加者たちに合わせたものでしたが、中央アメリカの大部分の若者たちにとっては、学校が休みに入っていないので参加しにくかった。それが、今回は、彼らが”夏休み”中に行事を主催することができるようになったのです」と説明した。

 ジャルゼンボウスキー氏は、人口150万人のパナマ市のエネルギーは人に”伝染”し、ホセ・ドミンゴ・ウオラ・メンディエタ大司教が世界中を回って大会参加を呼び掛けたこともあって、盛会は保障されている、と言う。大司教の熱心な活動と共に、この大会はパナマ政府、ホアン・カルロス・ベレラ・ドロリゲス大統領の強力な支持がある。

 「教皇フランシスコはラテンアメリカ出身で、多くのスペイン語を話す参加者たちにご自分の言葉でお話しになるでしょう。大会の規模が縮小されることとスペイン語は特別の結びつきを作ることでしょう」とブラック氏。 また、今回の大会で主題と予想されるものの中に、教皇のお話しとともに、環境問題が出てくるのではないか、とジャルゼンボウスキー氏は予想する。「今回は、若者たちに取って、教皇の環境回勅 Laudato siを真に受け止める機会となるでしょう」と。

 また、パナマ市の自然の美しさは、それ自体が環境を大切することの重要性を実感する助けになる、と付け加えた。「神の創造されたものが満開になっていることを感じざるをえないでしょうから」。

 氏はまた、エルサルバドルで殉教し昨年10月に列聖されたオスカー・ロメロ師のことから、世界的な迫害に遭っているキリスト教徒を思い起こす機会になる、と期待する。

 ブラック氏は、今回の大会が、世界の400人の若者が参加して先週、パナマ郊外で開かれた「原住民の若者たちの世界会合」の初の大会と連携していること、参加者たちが、WYDに合流することを指摘した。参加者たちは、原住民の人たちと生活体験をし、日々の生活の中に信仰が息づいていることを確かめた。「パナマの人たちは自分たちの食べ物、芸術、民族衣装、それにもちろん、信仰を、他のキリスト教徒たちに披露するのを強く希望しています」とも言う。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

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2019年1月22日